猫ととんかつ
「お先に失礼します。お疲れ様で~す。」
「お疲れ~。」「お疲れ様で~す。」
その日も仕事を終え、廃棄の弁当を片手に帰路についた。
今日の弁当はとんかつ弁当。俺のお気に入りだ。見つけたときは残ってくれてありがとうと思ったくらいだ。
「ん?猫かあれ。」
通りがかった公園に何やら白い生き物らしきものが寝転がっていた。
「見つけた以上、知らないふりするのもな・・。」
俺はその白い物に近づいた。
「猫か・・野良猫にしては毛がきれいだけど首輪はなしか。」
寝転がっていたのはきれいな白猫だった。いいところで飼われていると言われても信じるくらいの綺麗さだ。
恐る恐る撫でてみるとピクリとわずかに反応した。ただあまり元気がなさそうにみえる。
「お腹でも空いているのか?あげられるものは・・・」
さようならとんかつ弁当。また会おう。
とんかつ弁当に別れを告げながら、俺は猫にとんかつをあげる。猫ってとんかつ食えたっけ?と思ったが猫には好評だったらしい。一切れ、また一切れと食べていき全てのとんかつが猫の腹に収まった。
「美味しかったか?」
「大変美味であった。感謝するぞ若い人間」
「え、」
「なんじゃ。ああ、そうか今の私は猫であったな」
信じられない光景を目にしたとき人は話せなくなるらしい。
「まさかモンスター・・」
「中々失礼な奴じゃな。こんなプリティなモンスターがいるか。それに周りを見てみぃ」
猫(暫定)にそういわれ周りを見渡す。
「人がいない・・」
決して人通りが多いわけではないがいくら何でも静か過ぎる。車も通っていない。
「今ここには私とお前しかおらんのじゃ。騒がれても困るからな」
「ま、まさか・・誘拐?」
「一発殴りたくなってきたな」
「じゃあ何故こんなことを?」
「そなたの親切心の礼をしたいということでな。神様からのありがた~いご利益をやろうというわけじゃ」
「神様だったんですか・・。でご利益って何を?」
「何が出るかは分からん。」
分からんないのかよ。おみくじ要素でもあるのか?神様だし。
「何が出るかは分からんがかな~り強力なものであることは確定じゃ。」
ソシャゲの最高レア確定ガチャみたいなやつか。
「じゃあやるのじゃ。」
そう言って猫がフンニャカフンニャカ唱え始めると俺の体が光り始めた。
「おぉ、なんか光ってる!」
1分ぐらいするとその光は収まり、猫の詠唱も終わっていた。
「ふむ、これで完了じゃ。何が貰えたか私が見れぬのは残念じゃが、お主の役に立ってくれるじゃろう。頑張り給え青年!」
先ほどまでの無音が嘘のように騒がしくなった。周りを見渡していると猫に会う前の喧騒に戻っていた。
「てか、どうやって確かめ・・いない?」
あの猫は一瞬目を離したすきにいなくなっていた。
「狐に騙された気分だな」
疑問の消えないまま俺は帰宅したのだった。
「ゲッ!弁当買い忘れた!」




