変わり映えのない日常
ある日、突如として街中に大きな穴が発生した。すぐさま専門家による調査が行われたが彼らは誰も戻ってこなかった。その次に軍隊による調査が行われたが彼らが持ち帰った調査は耳を疑うものであった。中には異形の動物たちが存在し、また彼らが持ち帰った鉱物は地球に存在しないものであり謎のエネルギーを秘めていたことだった。その後間もなくして世界各地にその穴が出現し世界は混乱に包まれた。
それから20年後・・・。
「ありがとーござっしたー」
世界は平穏だった。穴の発生がなくなったわけではない。それが日常の一部になっただけである。穴が発生してから一時期は大混乱していたのだがその後、特殊な能力を持った人間たちが現れ事態の収束に大きく貢献した。そして彼らがその穴[ダンジョン]から持ち帰った鉱物から出るエネルギーは世界的な問題になっていたエネルギー問題を解決した。
とはいえそれとは関係ない人物もいるのだが。
「武村さん。そろそろ上がりですか?」
「おっ、そろそろだな。じゃあお先ー」
俺、武村裕也もダンジョンなどと関係のない人生を送っていた。大学を卒業しコンビニバイトで食いつないでいく。将来の心配などもなくはないが日々の生活で手いっぱいだ。
「じゃあ店長、お先に失礼します。」
「あぁ、武村君。今度清水さんのお別れ会を開こうと思うんだけど空いてる日とかあるかい?」
「そっか清水さんも就職か~。年取ったな~俺も。あ、予定ならバイト以外はないと思います。」
「じゃあこっちで予定決めとくから決まったら連絡するね。」
「分かりました」
確か俺が3年の時に入ってきた子だっけ。もうそんなに経ったのかと時間の流れを感じつつ家に帰宅。誰もいない空間の中でテレビをつけながら廃棄の弁当とビール缶を開ける。テレビではダイバーと呼ばれるもの達の活躍が取り上げられていた。
「すげーよなー。こいつらどんだけ稼いでるんだろ。」
彼らの仕事は常に死と隣り合わせだ。どんなに強い者でも油断をすればダンジョン内の魔物たちに殺されてしまうのだ。それだけあって彼らの収入は高くトップダイバーとなれば1か月で何億もの稼ぎをたった一人でやれてしまうのだ。其れだけにあこがれる人も多い。俺もその一人だった。
「ま、最低ランク止まりだったんだがな」
財布の中にあるダイバー証。昔何度かやっていたのだが全く結果が出ずすぐに辞めてしまった。
パーティを組んでみても他の人よりも成長が遅く、周りに置いて行かれるのはかなりくるものがあった。
「しかし、俺も24か・・・。そろそろ将来のこととか考えなきゃな~」
就活に失敗して現在フリーター。あまりいい状況とは言えないが打開策も思いつかない。
「明日は10時からか。そろそろ寝ないとな」
俺は残ったビールを飲み干し床に就いた。




