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【VRMMO】非デスゲーム編その1

「前回でデスゲームと異世界ファンタジーの大まかな違いは語れたと思うので、次は非デスゲームとデスゲームの違いについて言及していくのじゃ。」

「つっても、要するに死んでゲームオーバーしても問題ないってだけだろ? 言っちまえばゲームの難易度が下がるだけじゃねえの?」

「逆じゃな。コンテニューができるからこそ、ゲームの難易度は上がらなければならん。即死トラップや特定の装備・技能が必要となる戦闘、レイドボスといった犠牲を出すことが前提に調整された強大なモンスターや負けイベント、それらを登場させても良いのじゃからな。」

「デスゲームでそういうのは出せねえのか?」

「出せんわけじゃないが、あったら誰もクリアできんじゃろうが。前回でも言ったがクリアできるように作られているのがゲームじゃからな。」

「そういった理不尽を乗り越えるからこそ、主人公がカッケェんじゃねえの?」

「一理ある。だからこそ、非デスゲームにおいて面白いのは、その理不尽に負けてもいいというところじゃ。」

「負けてもいいって?」

「デスゲームであれば理不尽は乗り越えなければならん。そうでなければゲームオーバーでコンテニューはないのじゃから。

 だからその理不尽を乗り越えるために書き手は理由をあれこれとつけるわけじゃ。仲間が庇った、嫌な予感がしていた、身代わり・逃走用のアイテムがあった、見逃されたなどなど。物語の中での山場であり、盛り上がりどころである。

 逆に言えば、そういう理不尽要素は出せて一つ、せいぜい二つじゃろう。多用すれば感動が薄れるし、何度も偶然生き延びるのであれば、主人公を生き残らせる書き手の意志が透けて見えることになってしまう。なろうでの長期連載のような、山場を何度も用意しなければならないタイプには向いておらんというわけじゃ。

 じゃがーーー」

「非デスゲームなら死んでも問題ない。だからいくつも理不尽要素を盛り込んでも話が自然に回せるってことだな?」

「そういうことじゃな。無論、負けてもいいからと毎回敗北から始まるストーリーではやや野暮ったいぞ? 時折負けることで因縁を作っておき、勝つべきところは勝つということでストーリーの起伏が作りやすいというのが、この非デスゲームの特徴じゃと我は思っておる。」






「じゃが、この負けてもいいという状況は一つの問題も孕んでおる。」

「おっと?」

「それは良くも悪くも、典型的なろう主人公との組み合わせが致命的に悪い、ということじゃ。」

「典型的なろう主人公ってどんなんだ?」

「ざっくり偏見で語らせてもらうが、突飛な行動を取ることがない、一般的な日本人の感覚から理解のしやすい感性を持っている風に書かれるものの、命の危険についてかなり無頓着で、基本的に自分の考えが正しいと考えていて、割と無計画に動くも大抵その行動が上手くいくようなキャラクターじゃ。」

「んん、色々言いたいことがあるような、ないような。」

「別に貶しておるわけじゃないのじゃぞ? ただ、なろう小説は主人公の個性というよりも世界観や起きたイベント、スキル……要するに何ができるかによって味付けすることが殆どじゃから、割と無味無臭、取り敢えず行動に理解ができれば良いというキャラが求められておるというだけのことじゃ。」

「貶しに貶してると思うのは俺だけか?」

「そこはどうでもよい。問題はこういったキャラをゲームの中に放り込むと、どこにでもいそうなモブに成り下がるんじゃよね。」

「前回も言ってた、プレイヤーが沢山いるからってことか?」

「それもある。半分くらいはその理由じゃな。」

「もう半分は?」

「キャラが何をしたいのか分からなくなるんじゃ。取り敢えず戦ってー、強くなってー、イベントがあるからそれをクリアしてー、と流されるだけになってしまう。」

「それはゲームでなくとも同じでは?」

「いや、異世界ファンタジーの場合では戦って強くなるのはある程度理にかなっとる。生きるために金を稼ぎつつ、強くなれるのは一石二鳥じゃしな。むしろあの世界でパン屋とかやる方が個人的には恐怖じゃろ。」

「そうか? 生産職でスローライフとかいくらでもあるだろ。冒険者みたいな戦闘系が多いのは事実だろうが。」

「いやいや、それは十分戦える力を持っとることが前提じゃろう? 道行く人が銃どころかミサイルをいつでも撃てるような状況でなんの戦闘力もないままにのほほんと暮らすのは我には無理じゃと思うんじゃが。普通死にものぐるいで強くなろうとするじゃろ。」

「……まあいい。言いたいことは色々あるが本題から外れそうだし一先ずいい。で、結局ゲームだとどうなるってんだ。」

「先程言ったように、死んでもいい。つまり死ぬ気で強くなる理由がない。

 ついでに言えば生きようとする必要もない。極論素っ裸の一文無しになっても支障なくゲームは楽しめるわけじゃから。」

「そいつは、確かに。デスゲームと違って死の危険はないわけだもんな。」

「じゃから、主人公にはある程度独自の行動指針、すなわち個性が求められるわけじゃ。」

「ちょっと待てよ。強くなりたいってのも立派な行動指針だろ? これじゃ駄目って理由でもあるのか?」

「では、何故強くなりたいんじゃ?」

「は? いやそりゃ、強くなりたいだろ? 他よりも。」

「異世界ファンタジーならそれでもよい。弱ければ他者に負けることになる。そして負けることは致命的じゃーーーだからこそ、負けても問題のないゲーム上では、簡単には成り立たん。

 無論、強くなりたいという行動指針が全てダメなわけではない。ただ、そこにはなぜ強くなりたいのかという背景が必要となる。例えばゲームのランキングで一位になれば賞金がもらえるから、とかの。そこに賞金があれば妹の病気を治せる、みたいな話を付け加えればなお良しじゃ。

 漠然と強くなりたいからスタートダッシュだよな、みたいなことを言う主人公はキャラとして弱いというだけじゃ。」

「いや、妹病気なのにゲームしてんじゃねえよ。クソ野郎じゃん。」

「例えば! 例えばじゃから! 最終的に魅力的な個性が感じられるようなキャラなら何でもいいのじゃ!」

「個性、個性ねえ……。だからテンプレ主人公とは相性が悪いってことなんだろうけど。個性ってのはステータス割り振りとかでも出せるじゃん? このやり方なら個性出すのそこまで難しくもないだろうし、テンプレ主人公に変なスキルつけるってのでよくね?」

「では、変なスキルがつくことになる理由はなんじゃ。」

「それは……ほら、ランダムとかさ。適当に取ったら珍しかったーとか。」

「まあそれでも良いが……ゲームではスキルやステータスで差別化しようとするのは悪手じゃよ。」

「え、なんで?」

「後追いができるからじゃ。プレイヤー間は平等であり、一人のプレイヤーが作れるキャラクターは他のプレイヤーも真似することができる、というのは大原則じゃ。

 大原則のはず、なんじゃがなぁ……。」

「凄く遠い目をしている……。」

「そこを履き違えた作品の多いことよ。勿論主人公だけの特別さを出すための希少なスキルだとか特徴というのはあってもよいが、それが真似できないというのはゲームとして破綻しとるじゃろ。主人公クラスのプレイヤースキルがないと成立しないとか、別のやり方でも同じようなことはできるとかならともかく、いともたやすくオンリーワンの何かを手に入れてそれを個性と言い張るのは正直もやっとするんじゃよなぁ……。」

「いいじゃん、オンリーワン。響きもいいし。」

「まあ、オンリーワンの何かがあるとして、それ自体は別に良いのじゃ。それこそ個性と捉えれんこともない。問題は……それを使って無双し始めることなんじゃよ。」

「いいじゃん、無双。カッコいいし。スカッとするし。」

「ゲームを扱う物語においても、やっていい無双は確かにある。だがそれ以上にやってはならない無双がある……!」

「うん、やっぱり面倒臭い気配。でも止まんねえよこの神様……。」

「ふふ、案ずるでない。ちゃんと正気は保っておるわ。」

「目が据わってんだよなぁ……。」

「まあ、例を出しながら行こうではないか。そうじゃな……。

『仁はゲームの中でとあるスキルが使えば魔法の威力が十倍になるということを発見し、プレイヤーの中で一番強くなりました』

 これは良い無双か、悪い無双か?」

「いや、なんで俺……? いや、まああれなんだろ? プレイヤー間の平等がーってやつで悪い無双ってことなんだろ?」

「否。これはどちらかと言うと良い無双じゃ。なにせ仁は使えるスキルを発見しただけじゃからな。

『しかし次の大会までにはあらゆるプレイヤーがそのスキルを修得するようになり、仁の優位性は無いものとなりました』

 という風に繋げる事ができるからの。再現性のある条件じゃが、真っ先に発見したから他が追いつくまでは無双できたという状態じゃ。あと、全く同じスキルでなくとも、別のスキルによって火力が追いつくだとか、簡単なスキルでメタが張れる状況にある、などあくまでも『追いつける状態である』となれば問題はない。」

「じゃあ、この例での悪い無双はどんなんなんだよ。」

「そうじゃなあ……。

『仁の発見したスキルは他の誰も修得することはできず、また類似のスキルも存在せずに、火力という面で仁を超えることは誰もできないのでした……。』

 という感じかのう。」

「聞く限り死ぬほど限定的に思えるんだが。」

「その限定的な状態というのがありふれとるから問題なんじゃよなぁ……。」

「では次の例題を……むっ!」

「なんだ、どうした。」

「そろそろ4000字じゃ。」

「それがどうした。」

「実は我、一日に4000字以上書いてはならない呪いにかかっておっての。」

「話の途中だけど、力尽きたってだけだろうがよ、えー!」

「とりあえず、今回はここまでじゃ。」

「あ、話を強引に打ち切るんじゃねえ! ちきしょー、戻ってこいよ! あー、もう! ではまた!」

「というわけで次回は【VRMMO】非デスゲーム編その2なわけじゃが。」

「長いわ。もっと短くまとめる努力をしろよ。」

「好きなジャンルじゃから……。たぶん、VR関係の話は次できっちり終わらせられる、と思うしの。」

「断言しないあたりが不安だな。」

「善処させてもらう。で、その次に何をやるかなんじゃが、今回の途中で触れた主人公の特徴というものについて語りたいと思う。」

「今回触れたのに?」

「まあ、もっと言いたいことはあったし……。ただ、やはり内容に関しては少し薄くなる可能性もある。

 ので、これをここまで読んでくれた方々の意見も募集したいと思うのじゃ。この話の感想欄に『なろう系主人公といえばこんなイメージ』というのを一言二言でいいので書いてほしいのじゃ。」

「うわ、露骨な媚びっぷり。」

「うるさい。では、読者の方々よ。よろしく頼む。」

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