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4.これもお仕事ですよ?

クラウドに抱き抱えながら移動をする。


「着いたぞ」

クラウドに連れてきてもらった部屋には、美味しそうな食べ物がテーブルの上に沢山並んでいた。食べ物は、日本で食べていた様な物と変わらない。


「おにくぅ~!!」


テーブルの上に、お肉の塊を見つけた。お肉の塊には、美味しそうな焼き目がついている。


「くくっ。デザートではなく、真っ先に肉に目が行くとは……。」


クラウドは、ミオを抱き抱えながらも器用に肩を揺らして笑っている。


(クラウド様ってよく笑うな~。魔王様って、もっと冷たい表情で笑わないのかと思ってたよ。)


「ミオ。きちんと、魔王様を起こせたのですね」


ミオが、クラウドをじーっと見ていると。シルベットが後ろから来た。


「あい!」


「良くできましたね。さて、ご飯にしましょう。お腹空いているでしょ?」


「お腹、ペコペコ!」


ミオがそう言うと、クラウドはミオを下に下ろし。テーブルの方に歩いて行った。

ミオもその後を追い、シルベットに抱き上げてもらい。クラウドの隣の椅子に座る。


テーブルの上には、お肉の他に湯気がたっているスープや。柔らかそうなパン、見たことないフルーツみたいなのもあった。

全て美味しそう。つい、頬に手をあてて眺めてしまった。


「おいちそ~」


「クスクスッ。それは良かった。好きな物を食べて良いですからね?」


「あい!」


ミオとシルベットがそう会話している間に、クラウドはもう食事を始めていた。クラウドの食べ方は、お手本となるような綺麗な食べ方だった。


「ん? どうした、食べないのか?」


ミオの視線に気付いたのか、不思議そうな顔をしながら此方を見る。


「たべりゅ! シルベットしゃん、お肉くだしゃい!」


「「ブフッ!!」」


ミオがそう言うと、何故か二人が吹き出した。


「……わ、分かりました。フフッ。……君、ミオにお肉を」


「……? おにくぅ~!! ありあとー!」


(何故笑っているんだろう?)


首を傾げながらも、シルベットの横に控えていた侍女の人が持ってきたお肉を受け取りながら、笑顔でお礼を言う。


(お肉だー!!)


「あぁ~!」


ミオの笑顔を見て、侍女の人は倒れてしまった。


「ふえぇ!? だいりょうぶ?」


「も、勿体無いお言葉……大丈夫ですわ」


「ミオ、いつもの事だから気にせずに食べろ。冷めてしまうぞ?」


(クラウド様はそう言うが。いつも倒れていたら、逆に心配しちゃうよ? でも、熱々の肉汁たっぷりのお肉が冷める……。)


ぐう~……。


お肉を見ると、再度お腹が鳴ってしまった。


「いたらきます!」


我慢なんて出来ないと思い、お肉にかぶりつく。


(ふおぉぉぉぉぉ!! 歯で咬み千切れるほど柔らかい!!)

ミオは周りの事など忘れて、食事に集中してしまった。


「おいちかった~!!」


「そうか。さて、ミオ仕事に行くぞ」


「あい!!」


また、クラウドに抱き抱えながら移動をする。後ろからは、シルベットが付いてきていた。

(お腹いっぱい食べたから、沢山働くぞ~!!)


やる気を出していると、クラウドとシルベットは黒色の大きなドアがある一つの部屋の前で止まった。部屋の前には、男の人が二人立っていた。


(護衛かな?)

男の人の頭の上には、角が生えていた。


「魔王様、そちらの子供は?」


「今日から私の専属侍女になる、ミオだ」


「ミオでしゅ!」


クラウドに抱き抱えながら、手を上げて名前を言う。

男の人二人は、ミオを見て。最初はびっくりした様な表情をしていたが、名前を言うと優しい笑みを浮かべてくれた。


「そうか。よろしくな? ミオ」


「俺達は、ここで護衛をしている。よろしくな?」


「あい!」


挨拶を済ますと、護衛の人がドアを開けてくれたので部屋の中に入った。

仕事をする部屋だろうか?

奥にある机の上には、沢山の紙が積み上がっている。


(私は、此処で何をするんだろうか? お茶を淹れたり。お掃除や整理整頓をしたりするのだろうか?)

そんな事を考えている間に、クラウドは机の方に向かい椅子に座ってしまった。シルベットさんはと言うと、手前にあった机の所に居た。


「クラウドしゃま! おちごとは、何したりゃいいでしゅか?」


「うむ。此処に座っているだけだ」


(……? 聞き間違いだろうか。今、此処に座っているだけが仕事だと言われた様な……。いや。クラウド様の膝の上に座っていても、重要な仕事があるのかもしれない!!)


「わかりまちた! がんばりましゅ!!」


(初のお仕事だもの! 頑張らないと!!)


そう意気込んでいたのに、可笑しい。

クラウドは、ミオの頭を撫でたり。頬をむにむにしたりしているが、反対の手は世話しなくペンを動かしている。

その間、コップの中の飲み物が無くなれば淹れたり、静かに膝の上に座っていたり。クラウドの膝の上で、睡魔と戦っていたりしているだけだった。


「クラウドしゃま、こりぇは大事なおちごと?」


「あぁ、(癒しという)重要な仕事だ。」


「しょっか!」


ミオはクラウドを見ると、満面の笑みを浮かべた。


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