第3話 崩れていく日常
私は気分転換も兼ねて郊外にある少し大きめなドラッグストアに来ていた。
ショッピングカートにはお目当てのお米と連休中に外に出なくていいくらいの食料品が積まれていた。
(他に買うものは……と)
ガラガラとカートを押し店内を歩いていると、今の私には敏感に反応する言葉が聞こえてきた。
「オ、オネショを……その」
思わず隠れチラリと見ると女の子、いや学生服を着ているから多分男の子がそんな事を言っていた。
(え?今オネショって言った?)
「そっか、昼間は大丈夫なのね」
受け答えするのは綺麗なお姉さんを絵に描いたよう様な女性。
「う、うん」
「弟君は小柄だから、これかな」
お姉さんは棚からテープタイプの大人用オムツを棚から取っていた。
「サイズ的には多分子供用でも大丈夫だけど、大人と子供だと膀胱の大きさが違うから、こっちの方が漏れなくていいと思うよ」
察するにオネショをしてしまう男の子のオムツを選んであげているらしい。
(オムツ……か)
私もさっきの男の子と同じでオネショするのならオムツをあてた方が安心だ。
今日みたいにオネショなんて出勤前にしてしまったらベッドの清掃なんて出来るわけもない。
二人がいなくなるのとさりげなくカートを引いてオムツコーナーをゆっくりと歩くと先程お姉さんが男の子に選んでくれたオムツを手に取る。
(わ、結構重いし大きい)
そして一瞬周囲を確認してカートの中のお米で隠す様に入れるとレジへと向かった。
何故だかイケナイものを買った様な気がしてドキドキしていた。
◆
中身が見えない袋に入ったオムツと大荷物の食材を抱えて自宅をへ着いても、胸のドキドキが治るどころかより強くなっていた。
(オムツ……買ってしまった)
後悔とかじゃなくて、このなんとも言えない気持ち。
勢いで大人の玩具を買った時の様な気持ち。
(と、とりあえず食品を冷蔵庫に入れなきゃ)
頭を振り袋に入ったオムツを寝室に置くとレジ袋に入った食料品を冷蔵庫へと入れていても頭の中はオムツの事ばかりだ。
(そういえばオムツって自分でつけられるのかな)
赤ちゃんが親にオムツを着けてあげている事を想像する。
(大人はというと介護士の人がつけてあげたりするのだろうし……)
リビングテーブルに置かれたタブレットを起動させ、検索する。
『オムツ つけ方 大人』
そんな風に検索すると画像やら動画やらが膨大にヒットした。基本は誰かがつけてあげるやり方だが、中には一人でのつけ方があった。
(ちょっとつけてみようかな)
寝室に行き中身の見えないレジ袋からからオムツを取り出す。ドキドキしながら封を開けると独特の匂いがした。
一枚手に取るとイメージしていたオムツよりも何倍も大きい。
(と、とりあえず下を脱がないと)
馬鹿みたいに鳴り響く心臓の鼓動を感じながらジーンズを脱ぎ軽く畳むとショーツに手をかける。
(……っ)
何故だかピンク色のショーツがお漏らししたみたいに濡れて変色していたけど見ないフリをして脱ぐと丸めてジーンズの上に置いた。
(な、なんでこんなに興奮してるの……)
ネットで見た通りに畳まれたオムツを広げベッドの上で仰向けになったまま、自らオムツをあてる。
(な……何これ、私、やばい)
うるさいくらいになる心音に比例して息が荒くなる。
(こんなのダメ、絶対ダメ。一人でオムツつけてこんな気持ちになっちゃったら、もう女性としても人としてもダメだ)
何とか冷静さ取り戻そうと起き上がろうとしてオムツのテープを外そうとした瞬間、尿意が襲って来た。
(オシッコしたい)
そんな事を心の中で言わずにトイレに行けばいいのに身体は何故だか動かない。
(オシッコしても漏れないかどうか確かめないといけないよね……)
オムツなんだから漏れないのはわかっているのに動かない理由、いやオシッコを漏らす理由を考え始める。
(だから、オシッコを漏らすのは変態的な事じゃなくて、実験、そうただの検証だから……)
そうやって誰かに言い訳をしていたら、まるで昨晩の電車の様な止められない尿意が襲って来た。
「あ……ダメ出ちゃう」
くぐもったオシッコの音供にオムツの中が生暖かくなる。
(あ……出てる、すごい出てる……)
パンツのままで漏らしてしまった昨日のお漏らしとは、また違うオムツお漏らしの感覚。
(私、大人なのに……オムツにオシッコ……してる)
下半身を包むオムツの肌触りの良い優しい感触とイケナイ事をしている様な背徳感。
気が付けば自然に手は膨らんだオムツへと伸びていた。
(何これ、すごい……)
オシッコで膨れたオムツは驚く程にやわらかく温かった。
(こんなに、いっぱいオムツの中に漏らして……)
そう思えば思うほど羞恥心が増し気持ちが昂る。
(……ダメ……やだ、なんかおかしくなっちゃいそう……やばい、嘘……だめ、やだっ、嘘、……ッ!)
ビクンビクン激しく身体が震える。
「……っ……あ……ぁ……あっ……」
意識が飛びそうな快楽。
だらしなく開いた口元から涎が滴り落ちる。
私の日常はゆっくりと確実に崩れ始めていた。




