第五章 取り残された村と黒の騎士団
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薄暗い街道を南に向かって進む。
砂利道を踏み締めるシュネルの足音だけが、周囲に響いていた。
速い速歩で駆けるシュネルは激しく上下する事なく、安定な走りで私達を目的地へと運んでくれる。
この子はよく飼い慣らされている上に、頭が良くていい子だね。
なんて思いながら、前から吹き付ける少し冷たい風にローブの襟元を握った。
この世界は夜と昼の温度差が激しい。
「寒いのか?」
後ろから聞こえてきた声に、
「少しだけ」
と答えた。
「馬上は風を受ける分、道を歩くより寒さを感じる。これで少しはマシになるだろう」
ジェイさんはそう言うと、私を自分の方へと引き寄せ彼のマントで背後から包み込んでくれた。
「ありがとう、ジェイさん」
ジェイさんの胸元に寄りかかったせいで、彼の体温が背中越しに伝わってきた。
うわードキドキするんですけど。
このラブシチュエーションはなんのご褒美ですか。
「もう少し、スピードを上げて進む事になる」
ジェイさんが話をする為に手綱を捌くと、シュネルが遅い波足になった。
「うん」
前から受けていた風が少し緩やかになったおかげで、風が落ち着いた。
「今日のうちに次の街の手前までは進みたい。悪いが今夜の宿はテントになる」
「大丈夫」
なんたって、私にはメリダ特製のテントがある。
「明日の朝、次の街に立ち寄り食料を確保した後、取り残された村の手前にあるボーシャの森に向かう」
「うん」
「先に向かった騎士団や冒険者達とは、そこで合流になるだろう。森のすぐ側にあるアドラシルと言う小さな村が孤立している。ヴィオ、この旅は危険だ。だが、必ず守ると誓う」
ジェイさんの力強い言葉に頷いた。
彼が守ると言うなら必ず守ってくれるだろう。
魔獣はどれぐらいいるのかな。
村の人達が無事で居てくれるといいんだけど。
「ジェイさんを信じてるよ」
魔獣はあんまり見たことないから、ちょっと怖いけど、臆病な感情は湧いてこなかった。
魔獣がどんな攻撃をしてくるかも、私には分かんない。
だから足手まといにだけはならない様に気をつけなきゃ。
「いい子だ。少しスピードを上げる。寒いが辛抱してくれ、太陽がもう少し登れば日中の暑さが戻ってくるはずだ」
ジェイさんが頭を撫でてくれる事にも随分と慣れた気がするよ。
「このぐらいなんでもないよ」
ジェイさんのマントが寒さを凌いでくれるしね。
「スピードを上げると馬が揺れる。舌を噛まないようにな」
彼の言葉に私が頷いたのを確認して、ジェイさんは手綱を操り、シュネルの走るスピードを上げた。
速くなったスピードに、ローブの胸元から手を離し、シュネルの鞍をしっかりと掴み直し、両手に力を入れた。




