第五章 取り残された村と黒の騎士団
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「こいつの名前はシュネル、牝馬で気性は荒いがどの馬よりも足が速くて力が強い。シュネル、ヴィオだ。見ての通り体が小さい。乱暴に走って振り落としたりはしてくれるなよ」
シュネルの鬣を撫でながらそう言うジェイさんは、私を軽くディスってくる。
心の広い23歳の大人な私はそれを軽く受け流し、シュネルに目を向ける。
「シュネル、仲良くしてね」
と言えば、シュネルはブルルと鼻を鳴らし私の顔に鼻先を押し付けた。
「きゃ」
力強く押し付けられたものだから、体が後ろへと傾いた。
「こら、シュネル、危ないじゃないか」
ジェイさんが背中に手を当て支えてくれなければ、尻もちをつくところだったよ。
ブルルともう一度鳴いたシュネルは、ちらりとジェイさんを見て、再び私に鼻先を寄せた。
今度は優しく、私が倒れたりしない様に調節してくれたみたいだ。
「シュネルはヴィオが気に入ったみたいだな」
それに答えるように再び鼻を鳴らしたシュネルに、私は手を伸ばし彼女の鼻先をそっと撫でた。
「シュネル、女同士仲良くしようね」
仲良くしてもよろしくってよ、そんな顔で歯を剥き出して、笑った様に見えたのは私の気のせいじゃないと思う。
「俺だけ、除け者になりそうで寂しいな」
ジェイさんは私とシュネルの仲良くする様子を見て、苦笑いで肩を竦める。
「大丈夫だよ。ジェイさんを除け者になんてしないし。ね? シュネル」
シュネルは私の問い掛けに答えるようにブルルと鳴いた。
「なら良かった。さぁ、行こうか」
ジェイさんはそう言うと私を抱き上げシュネルの背中へと乗せてくれた。
やっぱり馬の背は高いなぁ。
スニフに乗せてもらった馬よりも、シュネルの方が数段高い気がした。
ジェイさんは鐙あぶみに足をかけ、馬の高い背を気にする様子もなくひらりと飛び乗ると、前に座る私を包み込むように手綱を両手で持った。
ジェイさんが、シュネルの横腹を両足で挟み手綱に少し力を入れるとシュネルはゆっくりと前進を始めた。
騎乗者に負担をかけないように配慮した動きは次第に速くなっていく。
「シュネルはいい子だね」
片手で鞍を掴み、シュネルの鬣をそっと撫でた。
ブルルっと鼻息を返してくれたシュネルは、もっと褒めなさいとでも言ってるようだった。
静かな街の通りにシュネルの足音だけが響いていく。
こうして、私達の新しい旅の始まりは、静かに幕を明けたんだ。




