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第一章 突然の召喚

「せんぱーい、本当に辞めちゃうんですかぁ? 寂しいですぅ」

私の隣に座って私の腕に縋り付くのは去年入社した後輩の牧村萌衣(まきむらもえ)

「うん。良い機会だし、実家に帰って親孝行するよ」

本来の退社目的とは違うけど、これも私の転機かなと思うんだよね。

「そんなぁー結婚しなくて良くなったならうちに居てくださいよ」

涙目の萌衣からは本気で私と別れるのを惜しんでくれてるのが伝わってくるけど、私はそれを苦笑いで受け流す。


私は今日、二年間付き合った彼氏、いや元彼との結婚の為寿退社するはずだった。

でも、一週間前に元彼の浮気が判明し、結婚は無くなった。

退社する事は二ヶ月前から決まっていたので、今更それを無かったことにするのもなんだか違う気がして、実家で一人暮らししてる母親の元へ戻る事を決めたんだよね。

元彼に未練があるか? と聞かれたら全くないと答えられる。

だってね、あの男、私達の新居に浮気相手を連れ込んでたんだよ?

新居の準備をしに訪れた私が見たのは、真新しいダブルベッドで見知らぬ女に跨がる元彼。

あれは一気に冷めたねぇ、本当。

あの衝撃は今も忘れられないわ。


意外にも冷静に行動できた私は、裸の浮気相手の服とカバンを玄関から放り出し、キーキーと騒ぐ浮気相手も裸のまま外に放り出してやった。

自分でも良くやったと褒めてやりたい。

元彼は青い顔で必死に言い縋ってきた来たけど、別れをきっぱり告げた。

なんでも、同じ会社に勤める浮気相手の女が結婚する元彼に、貴方を諦める為に新居を見せて欲しいと懇願したらしい。

優しい元彼は、渋々ながらも見せるだけだと約束して新居に浮気相手を招き入れたらしいが、泣きながら自分の事を好きだと話す女に絆され、なし崩しにそういう雰囲気になったそうだ。

今ではそんな事どうでも良いけどね。


別れたくないと縋りつこうとする元彼を無視して、彼の両親にその場で電話を入れ別れることを告げた。

その後は忙しかったなぁ。

式場にキャンセルを伝え、招待状を送った友達にお詫びをし、新居に入れていた自分の荷物を廃棄した。

他の女が触ったかも知れないものを持ってられるほど私は神経は図太くない。

まぁ、そんなこんなで結婚は無くなったんだけど、会社はそのまま退職する事にした。

元彼がうちの会社に出入りする協力会社に勤めてるので、このまま会社にいて纏わりつかれるのも嫌だったもの。


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