第四章 南の美魔女と魔法の修行
「君は小さいのにしっかりしてるんだね」
「まぁ、そこそこ」
「店番もしっかりとやってくれたし、働いた事でもあるの?」
「住んでいた所でお祖母ちゃんの手伝いを少し」
本当は、会社でバリバリ働いていました、とは言えない。
「そっか。良いお孫さんだ。もし、良かったらなんだけど、1日の何時間かうちの店を手伝いに来ては貰えないかな?」
ご主人の思ってもない提案に私は二つ返事で返す。
「お昼からの3時間ぐらいなら大丈夫です。でも、私、この街には1ヶ月しか居ないんです」
「それでも助かるよ。子供を生んだばかりの妻には少しだけでもゆっくりさせてやりたいんだ」
うん、本当に奥さん思いなんだね、この人。
こんな旦那さんなら幸せになれるんだろうな。
浮気もしなさそうだし。
「だったらお願いします」
ジェイさんだけを働かせるのは申し訳ないと思ってたし、時間を持て余すよりずっといい。
「じゃあ明日からよろしく頼むね。給料は一週間単位で支払うようにするから。改めて、僕はパン屋のジル」
「はい。私はヴィオです」
パートが決まりホクホクの笑顔が飛び出す。
働けるって、なんだか素敵だ。
そんな話をしていたら、家の側まで帰ってきてたいた。
家の前でジェイがウロウロしてる様子に気付いて私は駆け出した。
「ただいま、ジェイさん。遅くなってごめんなさい」
家の前で帰りを待っててくれるなんて、相当心配かけてたんだよね。
ジェイさんの前に立ち頭を下げて謝る私を、彼は優しく抱き上げた。
「おかえり。手紙は受け取っていたが心配した」
ホッとしたように言うジェイさん。
「ごめんなさい。でも、困ってる人を見捨てたり出来なかったの」
「ヴィオは良い子だ」
私を片手抱きすると頭を優しく撫でてくれた。
「すみません、妹さんをこんなに遅くまでお借りして」
追いついてきたジルさんが、ジェイさんに深々と頭を下げる。
「頭を上げてください。ヴィオが、この子が無事ならいいんです」
「妹さんには妻と生まれてきた子供を助けてもらいました。その上店番までしてくれて、本当に良いお嬢さんですね」
ジルさんは、私とジェイさんが兄妹だと思いこんでる。
誤解を解くのも面倒なので、そう思わせておくのが良さそうだよね。
「ヴィオが通り掛かって良かったです」
「はい。本当に良かったです」
あら、また泣き出したよ、ジルさん。
泣き上戸なんだろうな。




