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番召喚、ぶらり途中下車  作者:


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第三章 異世界珍道中

おはようございます、本日も頑張っていきます。

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意を決して、馬車の小窓にかかったカーテンを開けた。

そこから見える光景に思わず息を飲む。

震える右手で口元を抑え、漏れ出そうになる悲鳴を押し止めた。

ラノベで読んでた綺麗な戦闘シーンを何処かで思い描いていた私の目に映るのは、残酷なこの光景。

大量の血を流し倒れる野盗達と、彼らを切り捨て返り血を浴びたジェイさん達。

ジェイさんに斬りかかる野盗は必死な表情をしていて、切り捨てるジェイさんのそれは冷たく凍り付いている。

これが本当の戦い。

喉から込み上げる嗚咽を抑え、目の前の光景に目線を釘付けた。


相手の命を取る覚悟だなんて、かっこつけてた癖に目の前で繰り広げられる戦いに震えが止まらない。

私はあの場所に立つことも出来そうにない。

震える体を止める術を知らないのに。

次々と溢れる涙だって止まらない。

ジェイさんが斬られたらと思うと怖くて仕方が無かった。


どちらも生きる為に命を掛けて戦ってる、それは分かるのに。

なんとも言えない思いが私の中に渦巻いた。

野盗の方が悪い、だけど彼らにだってもしかしたら言い分があるのかも知れないと思うと胸が苦しくなった。

互いに命をかけた戦いが私を恐怖で包み込む。

もう分からないよ。

何が正しいのか分からない。

平和な世の中で生きていた私にとって、目の前の光景は残酷過ぎた。

『ヴィオ、泣くでない。我がそなたの憂いを払ってやろう』

突然、シルフィーの声が頭の中に響き、目の前が緑に染まった。

吹き上げる強い風が砂塵を舞い上げて踊らせる。

その場に居た者達は突然の出来事に騒然となり、くるくると踊る風と砂塵に翻弄された。

そして、次の瞬間、風が収まり砂塵が地面に帰るとそれまで立っていた野盗達は昏倒し地面に伏していた。

ジェイさんとサムさんだけが戦場に佇み、周りの光景を唖然と眺めている。

さっきまでの喧騒が静まり、辺りを静けさが包み込んだ。


はっと我に返った私は戸惑いもせずに馬車のドアを開け、外に飛び出した。

後ろから「ヴィオちゃん!」と言う悲痛なリズさんの叫び声が聞こえたが立ち止まる事は出来なかった。

沢山の死体と昏睡した様に倒れる野党達の間を走り抜け、ジェイさんの元まで辿り着く。

「ヴィオ!」

目を見開いて私を見る彼の胸元に迷わず飛び込んだ。

「ジェイさん!」

彼が無事だった事が嬉しくて涙が溢れてた。

しっかりと抱きつけば、ジェイさんは剣を腰の鞘に戻し両手でしっかりと抱き返してくれた。

生きてる、ジェイさんが生きてる。

今は只々その事が嬉しいと思った。

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