第三章 異世界珍道中
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馬車の旅は思いの外順調に進んだ。
昼間はリズさん達、老夫婦と楽しく会話し、夜はジェイさんと取り留めのない会話をした。
途中、水分補給で立ち寄った小川の河川敷で私は案の定すっ転び、膝小僧を負傷した。
スニフの笑う顔が頭に浮かんだが、直ぐに掻き消してやった。
転ぶ度に23歳の心がダメージを受けている、そんな気がしてなりません。
その後も、小石に躓いたり地面の陥没に足を取られたりして2回ほど転び、平和な旅なのに私一人だけが負傷してた。
「ヴィオ、危ないから手を」
慌てた声でそう言いながら駆け寄ってくるのはジェイさん。
彼は何と! 過保護な保護者になりました。
「大丈夫ですって」
アハハと笑いながら馬車を降りようとして、バランスを崩した私はジェイさんの腕の中にすっぽりと受け止められた。
こら! 23歳、しっかりしろ。
10歳児の体は初めての長旅で、どうやら疲労を蓄積してるらしく体の動きが鈍くなってる。
なんとも、情け無い話だよ。
「ほら、危ないじゃないか。ヴィオは本当に目が離せないな。俺がしっかり面倒見るからな」
キラキラした瞳で嬉しそうにそう言うジェイさん。
初めの寡黙な感じの印象からは想像もつかないほど、子煩悩なお兄さんになってしまったジェイさんは、何かと私の世話をやきたがる。
それがどこか、普通とは逸脱していて怖い時があるのは、絶対に気のせいじゃないと思う。
「あらあら、今日も2人は仲良しね」
「本当、美形の兄妹は見ていて和むねぇ」
微笑ましそうに見てくるリズさんとローグさん。
恥ずかしいので止めてくださいよ。
「ヴィオ、兄妹に見えるらしい」
嬉しそうな声を出しても、私達は赤の他人ですよ、ジェイさん。
「俺も何年も御者をやってるが、こんなに顔の整った兄妹は見た事ねぇな」
だから、違うって言ってるだろうが!
「私達他人ですよ、サムさん」
馬車の御者はサムさんと言う。
「そりゃあ、分かってるが。今も仲良さそうじゃねぇか」
「他人です! あ、降ろしてください、お兄さん」
彼をキッと睨み付けたが、私は未だにジェイさんに立て抱きされたままだ。
「気をつけて歩くんだぞ」
小さな子供に言い聞かせる様にジェイさんは言うと地面に降ろしてくれる。




