第三章 異世界珍道中
三章目始まりました。そろそろヒーローと出会います。
ここまで、長かったぁ〜(笑)
これからも応援よろしくお願いします。
まだなのか、まだ見つからないのか。
大きな溜め息をつき、椅子に座ったまま天を仰いだ。
最後の希望を託した番召喚なのに、呼び出した筈の番を見失うなどあり得ない。
万全を期して、大量の魔力も人員も集めたというのに、何ということだ。
今までの文献を読み漁り、黒髪の綺麗な女だと想像し待ち望んだと言うのに会えぬとは。
今までの行いが俺の運命を翻弄しているのか?
24歳のこの年まで番が見つからず、溜まる欲を吐き出す為に来る者拒まず去る者追わずの体たらくな生活をしてきた自覚はある。
もちろん、割り切った関係を了承した相手としか遊びはしなかった。
アトス神は愚かな俺に試練を与えるつもりだろうか。
「我が番よ。俺の言葉は届かなかったのか」
静かな広い部屋に俺の声だけが虚しく響いた。
コンコンコン、ドアをノックする音に「入れ」と声をかけた。
「失礼します。陛下が謁見の間でお呼びです」
ドアを開けてそう言ったのは腹心のジェレミー。
「分かった向かう」
徐に立ち上がり自室を出ると、長い廊下を急ぎ足で謁見の間へと急いだ。
このタイミングで陛下に呼び出される事が吉と出るのか凶と出るのか。
仰々しいドアを開け中に入れば、王座に座った陛下が厳しい瞳をこちらに向けた。
「よく来た。こちらへ」
威圧のある低い声が響く。
「失礼します」
そう返して、俺は陛下の側まで近付くと片膝を折り頭を下げた。
血の繋がった父親とは言え、この謁見の間に呼ばれれば家臣の礼儀を重んじなければならない。
「そちを呼んだのは、西の魔女を召喚した主旨を尋ねる為だ」
射抜くような瞳で俺を捉えそう聞いた陛下。
「はっ、西の魔女には先読みを頼みたいと呼びたてました」
「先読みとな? それはそちの番の件か?」
顎髭を擦りながら目を眇めた陛下は、渋い顔で俺を見下ろす。
「はい、その通りです」
「うむ、行方知れずじゃと報告を受けている」
「早く保護をしなければ取り返しの付かないことになります」
「あい、分かった。西の魔女に助力を願おう」
陛下から出た肯定の返事にホッと胸を撫で下ろす。
「ありがとうございます」
「ただし、捜索は今より一年じゃ」
「ど、どうしてですか!」
そんな馬鹿な事があるものか、俺の大切な番だぞ。
「これは決定じゃ。もうよい下がれ」
反論は聞かないとばかりに陛下は立ち上がると謁見の間を出て行く。
俺はその背中を苦々しい思いで見つめ続けた。




