表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/124

目覚めと確認と挟み撃ち





 瞼を開けば、最早見慣れた世界だ。


 むくりと身体を起こせば、左腕の違和感が真っ先に脳に伝わる。

 視線を向ければ中身の無い袖がぶら下がっており、あれも現実だったことを物語っていた。


「謎空間で貰ったアイテムがこっちにも持ち込めてるんだから、当たり前だけどね」


 肘から先を失った左腕を持ち上げて垂れる袖を揺らしながら、そんなことを口にする。

 どうやらいつも飛んでくるメサルやティムにサビク、うに達も留守にしているらしい。

 ベッドからおりる気にもならず、そのまま起こした身体をシーツへとカムバック。

 ぼんやりと視線をさ迷わせながら、思考を向けるのは終の銀竜と名乗った存在の事。


「わけわかんないことばっか言って、なんか刀と力押し付けられて、満足して消えていくとか……この世界のカミサマは少しばかり強引すぎるね」


 右腕を伸ばし、喚ぶ。

 宙空から現れ、私の手に落ちたのは一振りの刀。

 ジェミア様から貰った神器の一つ、鏡花水月とはまた違う、鞘から全て真っ白い、白亜の刀。


 銘を花天月地。

 私用に調整したと言いながら渡された、終の銀竜が使っていた居合い刀。


「で、彼女の言っていた半身ってのは……まあ、スヴィータなんだろうね」


 花天月地をベッドに放り、さらにもう一本を喚ぶ。

 こちらは私が使うには長く、太い真紅色の大太刀で、私の腕を斬り落としたソレ。

 銘を天魔断ち。天使や神の類いを斬る為だけに打たれた刀で、半身に渡してくれと頼まれ、押し付けられた代物だ。

 私の腕が欠損したままなのはだいたいこの刀のせいなのだが、今のところ痛みなどは無いから少し不便なくらいかな。


「というよりも、寝る前にメサルが言ってたけど、なんか色々とステータスやらスキルが変わってるから確認しといてってのが気になるね」


 天魔断ちもぽいと放り投げてインベントリに仕舞い、ダイアリーを開いて色々と確認しておこう。

 パラパラと頁を捲りながら、目的の項目を探す。


 あの日、地下墓地からアルゴナウタイで帰還した後の事も整理しておこう。


 まず、アルゴナウタイを繋げた場所は私の部屋。

 行きとは違った大人数で無事に帰還し、僅か数秒で部屋に飛び込んできたノアさんのハグによる洗礼を済ませた。

 その後、メリアリスさんやみそぎちゃん達を紹介し、その日に起きたことを軽く話した。

 色々と話を聞いた後に頭を抱えながら席を外したノアさんを見送り、入れ替わるように入って来たオウルさんとも話をした。


 その際、みそぎちゃん達のクランや火影姉妹の事を相談してみたのだけれど、次期聖女専属のクランというのは珍しくないらしく、神殿側での多少の審査はあるものの問題なく通るだろうとの事。

 で、その場で話し合った結果、なぜかみそぎちゃん達が結成していたクランは一旦解体して、新たなクランを立ち上げようと言う話しになった。

 メリアリスさんやキサラちゃんも乗り気で、みそぎちゃんのクランのもう一人のメンバーや、スヴィータやアリシエル、とーま君が揃ってからもう一度話し合いをするという事でその日は解散に。

 他のメンバー達は客室へと案内され、詳しい報告などは後日にしてその日は早めに休むように言われて就寝……一度ログアウトしてトイレ等を済ませて戻ったところで……例の星の海で終の銀竜に出会ったという訳だね。


 で、起床して、この通り……一晩の内に腕を失った不思議現象の完成である。

 ……ノアさんの為によく効く胃薬とか、ショック死したりしないようになんらかの手段を講じておくべきかもしれない。



 よし、ステータスを確認しようそうしよう。


 メサルが纏めておいてくれた頁に視線を落とし、そこに記された文字列に首を傾げる。

 うん……私のレベル、1だったっけ?



 ネーム:ミラ

 性別:女性

 真名:カーミラ・アリエティス

 種族:金羊の天使/亜神/Lv1

 精霊:ティム/メサル/レクス

 出身:精霊界

 取得言語:精霊語/獣人共通語/古代神獣語/魔法言語


 使い魔

 サビク Lv17

 神獣メドゥサ


 那由多 Lv1

 刹那 Lv1

 比翼の烏


 うに Lv86

 ぶらうにー



 Str 5

 Int 62

 Dex 42

 Vit 10

 Agi 180

 Men 51


 スキル

 

 神性解放

 神器マスタリー

 権能:マルキダエル

 権能:アスクレピオス

 権能:ジェミア

 権能:アリエティス

 権能:天津代白亜毘売

 神聖魔術

 神聖剣

 魔術刻印

 魔術の真髄

 極意:一刀千刃

 二刀流 Lv1

 精神異常耐性 Ex

 直感Lv1

 縮地法 Lv1

 第六感 Lv2

 軽業 Lv1

 鑑定 Ex

 速読 Lv11

 魔法耐性 Lv1

 


 称号

 天使マルキダエル

 亜神

 精霊の導き手

 魂の導き手

 蛇使いの愛娘

 金羊の愛娘

 聖女の愛娘

 蛇使いの聖女

 双女神の聖女

 金羊の次期聖女

 正規冒険者

 ニトゥレスト・ソルシエールの弟子

 竜狩り

 一刀千刃の継承者



 ……なんていうか、どこから突っ込めばいいのだろうか。


 まず種族。わかっては居たけど獣人じゃなくなってるよねってのは、まあいい。

 なんなの亜神って。え、なに、私カミサマになったの……?

 この辺は……サビクが来たらアスクレピオスに確認しよう。

 よし、次。


 なんでか知らないけれどレベルが1になっている。

 そういえば天使化した時に種族の進化を行うとかそんな感じのインフォメーションみたいなのがあった気がするけど、それのせいかな。

 これは詳しそうな人……とーまくんとかメリアリスさんに聞いてみよう。


 はい次、レクスって誰さ。

 いや、多分レキシファーの事なんだろうけども。

 なんでレクスなんだろう……私名前は付けてないし、よくわからないね。

 これは本人に聞けばいいか。


 じゃあ次、使い魔が増えているね。

 この那由多と刹那っていうのは、ジェミア様から貰った神獣だ。

 片翼の翼を持った真っ白い二羽の烏で、種族は比翼の烏。

 常に寄り添って飛んで、常に一緒に居る、二羽セットの神獣で、バリバリの魔法系サポートの神獣らしい。

 HPどころかMPまで回復するスキルを持っていて、キサラちゃんを眷属にする為の回復を担当してくれたニューフェイスだ。

 ちなみにジェミア様からはもう一つ神器を貰っていて、名前を連理の枝。

 メリアリスさんも同じものを貰っていて、色々な効果を共有したり色々とできる。

 詳細はまた今度かな。


 はい次。

 うに強い。


 はい次。

 ステータスはなんか色々と増えていたけれど、たぶん進化のせいかな。

 ステータスの……特にAgiはティムが教えてくれてたからわかってたけど、元々のステータスから全体的に伸びた感じだね、耐久面以外は。

 まあ、当たらなければどうということはないってことで。

 終の銀竜とのあれはノーカウントです、自分から突っ込んだし。


 では次。

 スキルに関してはもう意味がわからないね。

 権能って何さから始まりレベルの表記がなかったり色々と元あったスキルが上位っぽいのに変わっていたり。

 神様の名前のついた権能は詳細を見たら元々持ってた精霊の導き手とか空間魔法とかがそれぞれの神様担当部分に詰め込まれて色々追加されたりした複合スキルみたいな扱いになってるらしい。

 精霊眼も変わらずに使えるし、薬の知識も特に問題ないどころかレシピを確認したらめっちゃ増えてた。

 サービス過剰じゃないかなお父様?


 んで、他にも色々と気になるんだけど……この、権能:天津代白亜毘売……読みは多分、あまつしろはくあのひめ、かな? これ、なんだろうと思って詳細を確認してみたんだけども。

 思いっきり竜関連のスキルとかが詰まってて、刀用のマスタリースキルも兼ねていたりで、完全に終の銀竜の力だった。

 獣人で天使で竜とか意味がわからない。亜神っての、これのせいなんじゃないかと思うんだけどどうだろう。


 あとはなんやかんや見た通りのスキルが並んでいて、魔術刻印は魔法装填の上位のスキルらしい。

 魔術の真髄っていうのは魔術を理解したら生えたスキルで、魔力関知とかの魔力関連のパッシブスキル等が統合された感じのスキルのよう。

 あとは縮地とか素人の私が手に入れていいのかわかんないスキルも多々見られるけど、まあ活用する場面なんて殆ど無いだろうし黙ってればいい話だよね。


 極意:一刀千刃っていうのは、終の銀竜も使っていた刀術……それをさらに極めたもの、らしい。

 スヴィータが使っていたのは極意には至っていないらしい。うん、でかいゾンビ一撃で倒してたりした気がするけど、あれでまだ極められていないとか物騒な話である。


 あとは称号類なのだがこの辺はまあ読んで字の如くである。

 娘系が増えたあげくに愛娘に変わっていたりそれくらいである。

 亜神とか、テキストが気になるのも色々とあるが今は精神衛生上よろしくないので落ち着いてからゆっくりと確認したい。


 さて、と一息入れてからダイアリーを閉じて、身体を起こす。

 そのままベッドから飛び降り、置いてあった鏡花水月を手に取り腰に差す。

 聖双剣イリスの剣帯に適当に差し込んだだけだが、まあいいだろう。

 大きく身体を伸ばし、寝室にある二つの扉を交互に見る。

 ……さて、どっちから抜け出したものかと考えたところで、ドガンと両方の扉が吹き飛び、床を転がり砕け散った。


「ミラちゃん、起きたのね!」

「ミラちゃん、何があったの!?」


 片方の扉からはノアさん。

 もう片方の扉からはメリアリスさん。


 まさかの挟み撃ちにやれやれと頭を掻こうと腕を上げたところで、伸ばした腕は空を切る。


「ミラ、ちゃ、ん?」

「ミラちゃん、それ、え?」

「……あっ」


 ドアを殴り飛ばしたポーズのまま固まるノアさん。

 ドアを蹴り飛ばしたポーズのまま固まるメリアリスさん。


 二人の視線は私の上げた……左腕で止まっており、その先には不自然な場所で垂れる布地のみ。

 肘から先を失った、私の左腕。


「……ふぅっ」

「ちょ、お母様!?」


 白眼を剥いて膝から崩れ落ちたノアさんに若干びびりつつも、復活したメリアリスさんと一緒にベッドへ運ぶのだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] しれっと二刀流が追加されてるので今後は二刀での描写も出てきそうですね!とても楽しみです(∩´∀`)∩ あとうにのレベルめっちゃ高いですね(; ・`д・´)
[一言] ミラちゃん、神になりましたよ!やったね!
[一言] ギャグのように気絶するお母様www
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ