質問とスキルと読心術?
「それじゃあ、私はお城に行ってくるから。ミラちゃん、お出かけしてもいいけれど、暫く王都の外には出ないで欲しいわ。スヴィータ、騎士トーマ、後は頼みましたよ」
「お任せください、ノワイエ様」
「承りました」
大聖堂に帰るとそのまま自室へと直行した。
少しの休憩の後に、ノアさんが城へ行くと言って部屋を出ていき、三人だけが残った。
ソファに腰かけた私と、左右に立つスヴィータととーま君。
「とりあえず、座って話をしないかな?」
「私はメイドですので」
「せ、せめてとーま君だけでも」
「ははは、今のぼくは勤務中の神殿騎士ですからね」
一人だけ座っていると、とても気まずい。
これが仕事とかならいいけど、相手はメイドと友人だから、割りきるのが難しいのである。
目の前のティーカップを手にして口をつける。
とりあえず、とーま君への質問タイムかなあ?
「ええと、とーま君?」
「なんですか、ミラさん?」
「その、神殿騎士とか、さっきの人達の事とか、色々と聞きたいんだけど……ていうか、よく私が聖女してるってわかったね?」
「まあ、掲示板やらなんやらで予想してですけど、ほぼ確信してましたね。なので、聖女ノワイエ様に掛け合って、神殿騎士の試練を受けさせて貰いました」
「ベータの時の人脈って奴?」
「ええ、情勢とかはそのままですから、住民にも結構名前は知られてますよ。あまり話しかけられたりはしませんけどね」
掲示板……って、なんだろう?
それを見たら私が次期聖女をやってる事を予想できるって、なんか凄いね。
私としては嬉しいことしか無いんだけど、とーま君は何のためにそんなことをしたんだろう。
「でもとーま君、神殿騎士って聖女の護衛とかって聞いたよ? とーま君、ゲームの邪魔にならない?」
「やだなぁ、会長。最初に言ったじゃないですか、会長とこのゲームを一緒にやりたいって。それに、神殿騎士になるのにも意味があるので全然問題ないですね。むしろ色々と近道です」
「とーま君がそれでいいならいいんだけど。あ、改めて紹介しておくね、こっちはスヴィータ、私のメイドで、現実のほうでもメイドだよ」
「お話はかねがね。お嬢様がお世話になっております、トーマ様」
「あ、はい。よろしくお願いします、スヴィータさん。……会長、いいとこのお嬢様ってのは知ってましたけど、メイドとかいるんですね」
「……言ってなかったっけ? じゃあ今度家に招待するね、今丁度幼馴染がロシアからこっちに来てるんだ」
「ああ、よく会長が話してるお姉ちゃんですか?」
「そうそう。このゲームも近いうちに始めるって言ってたんだ」
とーま君とスヴィータをそれぞれに紹介し、現実でも繋がりがあることは明かしておく。
詩乃さんの話しもとーま君にはしたことあるんだけど、そういえばメイドとは伝えてなかったかな?
アリサが来たらどうしようかな、こうやって三人で集まれたのだから、アリサも同じように集まれればいいなと思うんだ。
「そういえばさ、とーま君。結局さっきの騒ぎはなんだったんだい? プレイヤーに攻撃とかして大丈夫なの?」
「さっきの……ああ、あいつらですか。中央広場で偶然見つけまして、神殿騎士の職務を優先したまでですよ。神殿騎士になると幾つか固有スキルと称号が手に入るんですが、称号の中には特殊な効果を持つものもありまして。聖女への罪状を持つプレイヤーを判別出来るんですよ、で、その罪状の度合いによっては強制的に神罰の執行を行えます」
「し、神罰……?」
事も無げにとーま君は言うが、それってかなり重大なのでは……?
私ないし、聖女とか次期聖女、見習い聖女に悪いことしたら神殿騎士はそれを認識できて、罰を与える事ができるって事だよね?
「ちなみに、男性のほうはガイウスってプレイヤーで、罪状は聖女ノワイエへの暴言等の不敬罪、聖区への不法侵入、次期聖女の拉致未遂、公務執行妨害も追加ですかね」
「……ノアさんへの不敬罪?」
「その辺はこの後の取り調べ次第ですかねえ。ぼくにわかるのは罪状だけなんで。ちなみに残りの女の子達は特に罪状もなかったんで放置してたんですが、会長に矢を放って魔法使って剣を抜いた時点で現行犯処理ですね。あとの一人の女の子は一緒に取り押さえましたけど、あの子は少し話をした後はとくに罪状も無いので釈放されると思います」
「初心者みたいだったけど、大丈夫なのかな……?」
「知り合いから貰った情報によると、支援役の子以外はガイウスとはリアルでの付き合いがあるみたいですね。支援役の子は会長が絡まれた日に無理やりパーティに入れられていたみたいです。あと一人探していたとこに、会長を見つけて声をかけたってところでしょうか」
「……日本って一夫多妻じゃないよね?」
「ハーレム野郎ってのはどこの世界にもいるものですよ」
どこから情報を貰ったんだろうってのは聞かないでおこう。
ううむ、まだ色々と引っ掛かっていたりすることもあるけれど、今はこんなものでいいだろう。
あまり根掘り葉掘り聞いても仕方がないし、彼らが悪いことをしていたのは事実だろうし。
現実に置き換えたら私は今頃矢が刺さって死んでいただろうし、立派な殺人未遂という物だろう。
「……あの、とーま君。一個だけ確認しときたいんだけど、あの人達生きてるよね?」
「ええ、部位欠損はさせましたけど、HPは全損させていませんからね。罪人専用のスキルってのもあるんですよ」
「スキルポイント使わずにスキルが色々と増えるけれど、これってバランスとか大丈夫なのかなあ?」
「ああ、イベントとか称号とかで取得したスキル……だいたいエクストラスキルとかユニークスキルって言われてる物はスキルポイントを使わない代わりに、控えに移動させる事が出来ないんですよ。限られたスキル枠を強制的に埋めてしまうので、メリットはあれどデメリットでもあります」
「固定されたスキル次第で方向性を変えたりする必要があるんだね」
「その通りです。記憶持ちは必ず一つ固有スキルを持ちますから、最終的な自由枠は最大で二十九って事になりますね」
私、固有スキルっぽいものが既に五個あるんだけども。
この五つはスキル枠から外せないとなると、自由にできるのはあと二十五枠って事になるのか……ううむ、成る程。
凄いスキルが手に入ってるならいいけど、使えないスキルだったら大変だね。
称号にも何か効果があったりするらしいし、後で確認しておいてもいいかもしれない。
「ああ、そうだ。ぼくだけ会長の固有スキルを聞いたままで、ぼくのを教えていませんでした」
「え、いいよ、そんなの。秘密にしておくものなんでしょ?」
「戦力的にも、知っておいて貰った方がいいと思って。どうせ近いうちに披露する事になりますからね」
とーま君が私の対面に移動し、床に膝をつく。
そんなことしなくてもソファに座ってくれたらいいんだけど、そう言おうとしたら首を横に振られた。
なんでやねんと心の中で突っ込みを入れていると、とーま君が左腕を差し出し、手の甲を私に見せる。
そこには、歪な形の数字の六が三つ、三角形を描くように並んでいた。
「ぼくの固有スキル、ザ・ナンバー・オブ・ザ・ビーストです。まあ、魔王とか言われる所以ですね」
「また物騒な響きだね……? 獣の数字、だっけ?」
「能力としては、パーティ枠の拡張と、最大で六百六十六匹までの獣を召喚し、使役するスキルです。実際にぼくが使役するのは六匹で、その使い魔達がさらに百十匹ずつ召喚して戦わせる感じですね」
「召喚系と従魔系の中間っていうのは、そういう?」
「ええ。ちなみに大本の六匹を仕留めないと六匹の魔力が尽きるまで各最大百十匹まで補充され続ける鬼畜仕様です」
「……魔王様だなあ。ていうか、とーま君に勝てるプレイヤーっているの?」
「MP管理が結構きついですし、全体に指示を出すのはぼくですからね。自分でも弓使いますし、ヴォルフ達にある程度任せてても結構危ないときはありますよ」
「ん? ヴォルフと、カムイとランとガロと、六匹って事はあと二匹はいるの?」
「ええ。少し大きいので普段は喚んでませんけどね」
「もふもふ?」
「もふもふです」
大きなもふもふ……もふもふかあ。
『ぴー?』
大丈夫、サビクはもふもふじゃないけど、すべすべで気持ちいいし可愛いからね、そんな心配しなくていいんだよ。
『ぴ!』
ナチュラルに思考読む奴が多すぎるのはもう今さらかな?
まおまおしい




