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知名度

作者: 竹仲法順

     *

 これは大きい。何を職業とするにしても、だ。知名度抜きでは、まともな成功は覚束ないと言っても過言じゃないぐらい、大きな代物だ。

 例えば出版でも、人気作家の本にある程度まとまった部数が出るのは当然。有名な書き手だからである。それに出版社も多額の費用を掛けて大宣伝し、一斉に売り込みに掛かるのだ。よく新聞などの広告欄に、その手の作家の新刊が<たちまち大増刷!>などと派手に書かれるのだが、そう書けば増刷など掛かってなくても、自ずと増刷される。そんなものだ。

     *

 だが、本音を言えば、作家でもプロはきついだろうな。コケられないからだ。常に変化球を投げないといけない。マンネリだと読者が離れていく。もちろん、たとえマンネリでも通る書き手は世間に大勢いて、同じようなタイプの作品を量産し続ける。読者から名前さえ忘れられなければ。

 江戸川乱歩の随筆で読んだのだが、当時からプロの書き手はしんどかったらしいのだ。「またか」というのが、その当初から読者の認識にあったようなのである。いわゆる、前述した変化球という代物を投げれない作家。あの当時って、出版界でも初版などの部数は少なくて、皆原稿料で生計を立てていたのが実態。ベストセラーとか銘打って一番売れた書き手って、ここ二、三十年ぐらいで登場してきた人間たちだ。知名度を利用して、である。

     *

 簡単に言えば、何をするにしても知名度が一番ということ。ボクのようにネット上では多少知られていても、文壇などとは距離が程遠い書き手が大傑作をものにしようと、H野K吾さんやM部Mゆきさんなどが子供だましのような、適当な妥協作を書いて派手な帯を付け出版しようが、後者の方が断然売れるに決まっている。つまり、あそこまで有名になれば、もう内容などどうだっていいのだ。それに作家でも売れている人間は大抵、複数の文学賞や文芸賞などを受賞している。市場の反応は手に取るように分かるから、出版社サイドとしても怖くはないだろう。

 話が出版界の方に行ったが、元に戻すと、世間のほとんどの現象は知名度によるものが大きいということ。一種の規定のようなものであり、ウソでも何でもないのである。有名人はプライベートがないと言うが、その分、知名度で大きな金銭や肩書などを獲得する。昔からそうなのだ。それに今でも同じである。地味だけど、いい仕事をしている人間がまるで評価されない――、理不尽だが、そういったことがまかり通っているのが現実。まあ、裏方ぐらいしか出来ないボクにとって、そういった華やかな世界はまるで異世界で、場違いなのですが……。

 話がまとまらなかったのですが、ひとまず一筆書かせていただきました。

 ではまた。

                              (了)


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