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  作者: さく!
第1章
1/1

第2話 馬車と僕

_(┐「ε:)_

 


 ガウスの家を出発してから三日目の昼、幸い道中は天気も良く、とても平和だ。今のところ魔物には遭遇せずに来ている。長時間馬車に乗っているためか尻が痛い。

 出発した日の夜は小さな名前もない村(民家4軒しかなかった)の民家の一つでベッドを借りた。二日目の夜はキルケと言う村に宿屋があったので、そこに泊まった。僕はお金を持っていないので、宿代はガウスが出した。

 ガウスの話では、森を抜けなければいけない今日が一番厄との事。森が一番魔物に遭遇しやすい上に、知性を持つ亜人ゴブリンまでいるとか。ただゴブリンは、数年前に中規模な作戦で殆どが狩られたので、運が相当悪くない限り遭遇することはないと付け加えた。


「そろそろ森に入るぞい」


 ガウスの雰囲気が変わった。どうやら臨戦態勢にはいったようだ。


「はい」


 僕も再度気を引き締める。なにもせずに死ぬのはいやだからな。いや、ほとんどなにもできないんだけどね。


 森の中は思った以上に暗かった。


「ここは森を抜ける一番短いルートじゃが、それでも5㎞はある」


 何だか肌寒い上に、じめじめしててとても不快だ。そして尻が痛い。


 あっという間に半分を越えどんどん進んでいく。集中力のない僕の緊張感はどんどん薄れていく。


「あと少しで出口じゃっ」


 ガウスが言ったその時、急に馬車がとまった。その反動で僕は馬車のなかを転がった。

 痛いんですけど。


「ど、どうしたんですか?」


 すぐに僕はガウスに聞く。嫌な予感しかしないのはなぜだろう。


「木が倒れて道を塞いでおるな……木を粉砕してくるから、大人しく見学しとれ」


 斧一本で倒木を粉砕するって、どんな爺さんだよ。


「はい」


 僕は馬車の中から様子をみる。馬車から降り、斧をかついで木に向っていくガウスの後ろ姿は、ただ者ではないオーラを纏っていた。


「ふんっ!」


 という掛け声とともに倒木に一撃を入れた、その瞬間に粉砕した。


 いや。


 爆散した。


 ガウスもろとも。


「え?」


 え?どゆこと?


 戸惑う僕をよそに、馬車に乗り込んで来る者がいた。


「おっと、先客がいたか。相乗りさせてもらうぜ」


 そう男が言うと馬車が突然走り出した。


 え?なんか変なやつ乗り込んできたけど。これが馬車ジャックってやつか。まずい展開だな。戦闘力が皆無の僕に果たしてなにができるのか。

 そしてこの男、フォルムは人間そのものだが、銀髪金眼で体表が深緑色と普通ではない、恐らく亜人ゴブリンなのだろう。そしてチャラいな。


「俺はアーサー、見ての通りゴブリンだ。こう見えても首領をやってるんだぜ」


 白い歯を輝かせてサラサラな銀髪をかきあげながらゴブリンは言った。この世界では出会ったら自己紹介必須なのか?

 だが名乗られた以上こちらも名乗らなければいけない。気がする。


「僕は四季、王都に向かう途中に馬車ジャックにあった渡界人だ」


 皮肉を入れておく。


「おいおい馬車ジャックとは穏やかじゃあねぇな」


「爺さん爆散させてる時点で穏やかじゃないだろ」


「かっかっ、彼奴は俺の親、兄弟達の殆どを殺していったチームの1人だからな。やられたらやり返すのが道理だろ?」


「それで、この馬車はどこへ向かってるんだ?」


「森を抜けた先のシスコと言う村だ。お前はそこで降りてもらうぞ。ガキは邪魔だからな」


 ガキ言うな。



  *****



 馬車を降ろされた僕は歩いて王都に向かうことにした。あと少しだし体力のない僕でもなんとかたどり着けるだろう。多分。きっと。

 いやー、しかし生きた心地しなかったな。チャラゴブが話の通じるやつで助かった。と言うかあの村に何のようだったんだろうな。まぁ、今考えても仕方のないことだが。


「ピヨー!」


 歩いていると何か変な声が聞こえてきた。ついに魔物か?


「助けてピヨー!」


 ん?助けてって聞こえたような気がしたな。罠かもしれないけど、気になったので声が聞こえてきたあたりの、草の茂みに顔を突っ込んでみる。そこには卵の殻をかぶったひよこらしき物体が転がっていた。この生物が喋ったのか?


「お、おい。だ、大丈夫か?」


 恐る恐る声を掛けてみる。


「てをかしてくれ!足をやっちまったピヨ」


 とりあえず手のひらに、足をやっちまったらしいその生物をのせてみる。どうやら片足が折れているようだ。自分服をちぎり、道端に落ちていた小枝と一緒にその生物の足に巻く。固定しとけばいいんだよね?


「ありがとう人間。あのままだったら他の動物に喰われていた所ピヨ。感謝感激ピヨ。それで、図々しいかもしれないけど、もしよかったらしばらく君に乗って行ってもいいピヨ?」


 マスコットキャラですねわかります。


「いいよ」


 僕は即答して、頭にその生物を乗せ歩き出す。なんかいいね。喋る動物。


「本当に助かるピヨ。そうだ、ピヨの名前はピヨマ」


 自己紹介の途中で、物凄いスピードで突っ込んで来た猛禽類にピヨと僕の髪の一部が喰われた。


「………………」


 僕は、一部禿げた頭から転がり落ちてきたピヨの片足を、埋めて、墓をつくってから次の村に向けて歩きだした。







どうやったら速く書けるようになるんだろ(^ω^三^ω^)

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