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あの人との出会い

つたない文章ですが、読んでくださったら嬉しいです☆

trapezoid: 不等辺四角形・またの名を台形という。


 あたしたちの住む世界は、狭い。



 「ねぇ、レナ。知ってる?」

 「何を?」

 「俺らの生きてる世界って、ほんとはすっげぇちっちゃいんだよ」


 あたし、唐沢玲南カラサワ レナ。 関東のちょっと田舎(?)に住んでる高校2年生。

 両親と妹、弟とふつーに暮らしてます(笑)

 親友の芽衣からは「玲南はA型に見えるッ!」って言われてるけど、B型です((+_+))

 

 キーンコーンカーンコーン…

 やっと4時間目終わった…。 教室は一気にざわめき始める。

 机をガタガタ移動させ、「いつめん」で集まって各々お弁当を広げる。

 「焼きそばパンゲットーーー!!!」と騒ぐ男子。

 いつもと何ら変わらない。 

 そしてあたしは、席をたった。

 両側に並ぶ教室のにぎやかな声を聞きながら、廊下を歩く。

 第二校舎の1Fすみっこ。第一多目的室があたしの居場所なんだ。

 ドアを開けると、、、いた。

 身長158センチのあたしよりちょっと高い目線。黒くてつやのある髪。グレーのシャツに、青いチェックのネクタイ。

 「よぉ レナ。」

 右手のお弁当箱の包みを少し持ち上げて、彼は言った。

 彼はこの学校の数学教師。と、言うとそこらのケータイ小説のようだが、あたしはこの人に恋愛感情を注ぐ気はさらさらない。 だいいち、若干25歳の彼には、寄ってくる女子が山ほどいるわけで、彼は恋人候補に苦労しないってわけである。

 「今日は、晴れたな。」 机でお弁当をひろげる先生。

 「うん、そうだね。 …昨日の雨、すごかったもんね。」 向かいに座るあたし。

 「レナ、チャリでコケなかったぁ?」 卵焼きをかじる先生。

 「コケないよっ! 芽衣じゃあるまいし!」 反論するあたし。

 「あぁ、早瀬は派手にやってたな~」 お茶のペットボトルに手を伸ばす。首から下げたネームホルダーが揺れた。 …高搭優紀タカトウ ユウキ

 今のあたしの担任。

 

 「…食べる?」 先生がからあげを目線の高さまで上げる。

 「…ううん、いい。」 いつもと同じやりとり。 何ら変わらない。

  

 これが、あたしの教室でお昼を食べない理由。

 食べない、んじゃなくて、食べられない。 

  

 「そっか。 …美味いのになぁ~。」 からあげをほおばる先生。

 

 あたしは、窓の外に目をやる。 テニスコートの奥の林が、色づき始めていた。

  

 彼と昼を一緒に過ごすようになって、早いもので1年半が過ぎようとしている。

 


 先生との出会いは、あたしが高1の頃。

 お昼休み、クラスに居場所がないあたしは、毎日4時間目が終わると校舎の影にある中庭のコンクリートに座って、アイポッドで音楽を聴いていた。

 めったに人は通らない。 だからアイポッドを使っていても気付かれる心配がないのだ。

 ただ、寂しいだけ。

 お昼休みが終わるころ、芽衣が迎えにくる。

  

 あの日も、いつものように音楽を聴いてたんだ。

 

 「…っッ!?」

 突然、誰かにヘッドホンを取られ、振り返った。

 「あ~ いけないんだ~ 」 そこに、彼がいた。

 「あ、あの、、、」 校則違反がバレたと思い、とっさに手を伸ばすも、後の祭り。

 「1年4組 唐沢玲南さん?こんなとこで何たそがれてるのかなぁ?」

 不敵な笑みを浮かべる先生。

 「なんで、あたしの名前…?」

 「唐沢さん、うちのクラスの矢島の友達でしょ。 何度か見かけてたし。」

 あぁ、そうだった。 同じ中学の 矢島実緒やじま みおは家の方向も一緒で、2人で帰ることもしばしばだ。 でも、先生はあたしのことなんて知らないと思ってた。

 

 「お弁当は? 昨日も食べてないみたいだったけど。」

 「昨日も?」

 「あ、昨日っていうか、先週くらいからずっと?」

 「見てたってこと?」

 「いや、だって俺の弁当食べるとこから丸見えですから。」

 「はあ、、、。」

 

 知らなかった。

  

 「もしかして、いじめ…とか、、、?」 おずおずと聞いてくる先生。

 「違うよ!」 

 「…ほんとに?」

 「うん。ほんとだってば!友達もいるし。」 笑うあたし。

 まぁ、そう思われても仕方ないか。

 

 「ま、なんかあったら、相談のるし」アイポッドをよこし、渡り廊下を戻っていこうとする。


 「取り上げないの?」

 「なんか、さびしそーだったから。」 笑いを残し、ドアの向こうに消えた。

 

 それからちょくちょく、先生は昼休みに会いにくるようになった。

 

 そして、このころからだ。

 あたしが夜、おかしな夢を見るようになったのは。


   

 

 

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