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真っ直ぐな、青。  作者: すずめ屋文庫


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8/15

第8話 ータケルー

 その日は、いつもより朝が冷え込んで、キンとした空気に包まれていた。


 一度外へ出たけど、もう一度玄関に戻り、手袋を取った。シンプルな黒いやつ。


 

(今日は、どうかな…。)



 会えずに落胆しない様に、あまり期待を持たない様にして、家を出る。


 

 空が青い。


 

 どこまでも澄みきった冬の空だ。



 漕ぐ息が白い。



 晴れているのに、心無しか、地面が冷たさで濡れている様な、そんな日。


 

「あれ?」



 前から女性の声がして、心臓が跳ね上がる。



 おそらく、いや、きっと。



 二つの自転車が止まる。



「やっぱり。あの時の男の子だよね?もう、顔の傷、大丈夫?」



「あ…。」



 目が合う。



「すごいね。全然、傷跡残ってない。若いね〜。」



「あ、あの、あの時は、ありがとうございました。ティッシュ、もらっちゃって。」



「あぁ、あれ?いいのいいの!いつも何個か持ち歩いてるから。この子、よく転ぶから。全然、気にしないでね。」



「その、お礼言いたかったんすけど、最近、見なかったから。」



「やだー。そんな、本当にいいのよ。この子ね、冬だから、保育園で風邪もらっちゃってて、中々治らなかったんだよね。」



「そうだったんすね。」



 心の中がじんわりと暖かくなる。



「でも、もう元気で、今日から復活なんだ。じゃ、そろそろ登園時間だから。またね。」



「あ、はい。また…。」



(……。)




(若いね〜…)




(もう、登園時間だから…)



 

 彼女の声が心の中をこだまする。 



 なんでだろう。涙が出てくる。瞬きを数回繰り返す。



 なんで、なんで、俺、高校生なんだろう。

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