第6話 ータケルー
翌日。
俺の必死の制止を無視して、奴等はバス停で待機する事となった。
重い足取りで、俺は家を出る。頼む!どうか、今日は会いません様に!!
彼女に対して、こんな願いをするなんて思っても見なかった。全部あいつらの所為だ!クッソー!
俺の爽やかな朝の日々を返せ!!
ギコギコとノロいスピードで自転車を漕ぐ。今度はコケない様にしないと。
はぁ。会いたいような、会いたくないような…。
生け垣を抜けていつもの道路に出る。
右を見ると、バス待ちを装って並んでいる2人が見えた。
「オイッ!(小声)」
「あ、タケル。おはよう。」
「おっはよー!ねぇ、もう例の人通った??」
「通ってねぇよ。お前らがいるから今日は来ないんだよ。」
「いやいや、僕達がいるかどうかなんて、関係ないでしょ。」
「そうよー!ね、ね、その人の特徴教えてよ。髪型は?いつも着ているコートは?雰囲気は?」
「ミカ、お前、まじで楽しんでんな。覚えとけよ!」
「タ、タケル!!女の子に脅しは良くないよ!!」
「悟、黙っとけ!コイツとは幼稚園からの付き合いなんだ。こんなん挨拶代わりだ。」
「そうよ、悟くん。私なら大丈夫。コイツ、口だけ野郎だからね!」
「え〜…、みかちゃんまで…。まぁ、2人が良いならいいけど…。」
そんな事をヤイヤイやってると、既に時間は8時20分になろうとしていた。
「えー!?もうこんな時間!?ヤバいじゃん!!」
「今日は、通らないみたいだね。じゃあ、そろそろ行こっか。」
「お前らのせいだぞ。俺の癒しがなくなっちまったじゃねーか。」
それを聞いた2人は目を丸くして、お互いの顔を見て吹き出した。
「何がおかしいんだよっ!!」
「だ、だ、だって、タ、タケルが、あのタケルが、癒しって!!やめて、お腹痛い!!アハハハハ!!」
「プッ。グッ!!み、みかちゃん、だめだって、笑っちゃ!これはタケルのせ、せ、成長なんだから…。グフッ。」
最悪だ。コイツら。もう二度と、この場所にはこさせるものか。
「俺はもう先に行く。お前ら、仲良く遅刻でもしてろ!!」
「え!!やだ!!私達も行くってば!!」
「みかちゃん!スーパーに自転車、取りに行かないと!!」
「あ、そうだ!悟くん、急ごっ!!」
慌ててる2人を無視し、俺は学校へ向かった。
例の彼女は、その日から1週間、姿を見せなかった。
悪魔の様な2人の呪いだ。




