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真っ直ぐな、青。  作者: すずめ屋文庫


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第5話 ータケルー

 キーンコーンカーンコーン…


 2限目の鐘が鳴った後、俺は教室に入った。すかさず悟が言う。


「おい、タケル。なに遅刻してるんだ。ん?てか、どうしたんだよ?その顔。」


 今朝の一部始終を、事細かに悟に話す。ヤツは片眉を上げて驚いた顔をしながら聞いていた。


「つまり、なんだ。お前は予期せぬ不慮の事故で、不覚にも例の彼女と接点を持ったと言う訳か。」


「そう!そうなんだよ!すごくね!?これ、奇跡じゃね!?しかも、見ろよ。これ!!」


 ヤツに見せびらかすかの様に、貰ったポケットティッシュをバッグから取り出す。もちろん、一枚だって使っていない。あんな擦り傷ごときに使ってやるものか。これは俺の宝物だ。


 一瞬、冷たい視線を感じたが、無視した。


 と、そこに、


「ねぇ〜!!なんか面白い話してんじゃん?」


 俺が唯一普通に話せる女子、ミカが割り込んできた。コイツは女の振りして女じゃない。俺にはわかる。姉貴と同じ匂いがする。


「おい!ミカ!!盗み聞きしてんじゃねぇ!!これは俺の純愛なんだよ!!」


「純愛って!!ククッ!!なによ。詳しく教えなさいよ。てか、あんたの声でかいから、大体の内容はわかってるけど。ねぇ、私も仲間に入れてよ。」


「み、みかちゃん、仲間って言っても、ただコイツのモヤモヤを聞くだけだよ?」


「えー?聞くだけなの?タケルの恋を成就させるために作戦とか考えないの?」


「作戦って…。だって、相手は人妻だよ?しかも子持ちの。無理に決まってるでしょ。それに…、タケルだよ?」


 爆笑する二人。


「おい!!!お前ら!!!勝手に話を進めるんじゃねー!!!で、ついでに俺の事ディスるんじゃねー!!!」


「ごめんごめん!!タケルはさ、人妻であろうと、彼女に本気なんだよね?」


「そうだよ。わりーか!!!」


「ううん、全然悪くないよ。恋する気持ちは自由だもんね。でもさ、相手を見てみないと作戦は考えられないよね?」


「え?みかちゃん、まだ何かタケルの為に作戦を考えるつもり?もう、そっとしておいた方が…。お相手のご家庭もあるんだし…。」


「ふふっ。別にタケルに略奪とか、そんな事をさせようってわけじゃないよ。たださ、そんなに好きならさ、もう少し、何ていうか、仲良くなっても良いんじゃないかな〜って。ね?タケルも、普通にその人と話せる様になりたいでしょ?挨拶を交わす仲になるとかさ。そしたらさ、どこかでタケルも気持ちに踏ん切りつくんじゃない?現実が見えてきてさ。」


「あぁ、なるほど。お相手に迷惑をかけずに、且つ、タケルの気持ちも納得させるって訳か…。」


「そゆこと。ね?いいアイデアでしょ?私達、あと少しで受験生なんだし、早いとこ気持ちを勉強に持っていかなきゃ!」


「…。でも、一体どうしたら…。僕には何も思いつかないけど。」


「ふふ♪まずは、その彼女を見ないとね。」


「オイオイオイ!!!お前ら!!!俺を置いてくんじゃねー!!!俺は見せねーぞ。」


「えー。いいじゃん!!タケルが夢中になる女の人、見てみたいよ!!ねぇ、悟くん、明日、一緒にこっそり見に行かない?確か私達、家の方角近くなかったっけ?」


「あぁ、たまに朝、一緒になるもんね。◯◯スーパーとか知ってる?」


「うん、知ってる!じゃあ、明日そこに8時に集合はどう?で、タケルがその人と出会う場所の近くまで行って、生け垣近くのバス停とかで待機して、こっそり見守るの。ね?いいでしょ?タケルとその人には絶対にバレない様にするから!!」


「まじかよ…。」


 ミカは、こうと決めたら動かない。強引で、ほんと、俺の姉貴そっくりだ。

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