第3話 ータケルー
冬の朝は寒い。
当たり前だ。
俺は、いつも通り黒いダウンジャケットを羽織り、手袋をし、黒地に白の線が一本だけ入ったマフラーを巻いた。
この黒いマフラーは友人からの忠告だった。今までは某ゲームのデザインが入った、個人的にお気に入りだった緑色のそれをしていたのだが、「彼女に告白をするのなら、せめてその子供っぽいマフラーをヤメロ」と。
「逆に目立たなくて地味なんじゃ…。」
親友への愚痴をぽつりとこぼし、しかしその忠告に従ったのには理由がある。
アイツは…アイツは…
意外とモテるのだ!
認めるのは悔しいがっっっ!
別にイケメンで爆モテという訳では無い。
がっ、自然な態度で、ナチュラルに女子と話す事ができる。廊下で、重い荷物を持って歩いてる女子を見つけると、「大丈夫?持とうか?」なーんて、フォローしてたり。んな事、俺にできるか!バーカ!俺なら片手で持てるわ!!だが、そんなアイツの行動に、女子たちは密かに胸をやられているのだ。
悔しいが、俺には…到底敵わない男。
それが悟だ。
俺は、女子と話す時は、どうしても声が一段大きくなる。何故かわからないけど、常にオーバーリアクション。
そんな、アイツみたいな普通のトーンでなんて話せない。そんな事を、一度ぽつりと言った事がある。その時の答えは、「妹が2人いるから、慣れてるだけだよ。」と。
んなわけあるかーーー!!!コノヤローーー!!!
俺だって上に姉貴がいるわ!いっつも俺を召使いが如くこき使う、悪魔の様ながっ!!!
だから、この、女子と戯れる高尚な技能は、ヤツの天性の才能だ。なんとか奪い取れないものだろうか。
そんな事を考えていたら、もう遅刻ギリギリの時間だった。
俺は慌てて自転車を漕ぎ出した。




