表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺の部屋が異界のハーレム待合室になった件~鏡から来た少女たちと始まるドタバタ同居生活~  作者: きたみ詩亜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/4

【第2話】 「帰れない理由」

 朝、目を覚ました瞬間、違和感があった。


 布団の中が、やけに狭い。


 というか、重い。


「……なんで腕が塞がってるんだ」


 目を開けると、銀色の髪が視界いっぱいに広がった。


「……朝です」


「そうだな。問題は、お前が俺の腕を枕にしてることだ」


「……安心しました」


「理由を聞く前に離れてくれ」


 リュシアは名残惜しそうに離れた。


 心臓に悪い。


◆◆◆◆


 顔を洗って戻ると、リュシアが姿見の前に立っていた。


「……帰れそう?」


「試します」


 鏡に手を当てる。


「……えい」


 何も起きない。


「……えい」


 やっぱり、何も起きない。


「……閉じてます」


「だろうな」


 俺は頭をかいた。


「この鏡、なんなんだよ」


「……門、です」


「門って言うな」


「……通路?」


「やめろ」


◆◆◆◆


 朝ごはんは、トーストとスクランブルエッグ。


「……これ、光ってます」


「油だ」


「……鳥の卵を焼く文化……」


「文化って言うな」


 ひと口食べたリュシアは、目を見開いた。


「……あつい。でも、おいしい」


「感想、正直すぎる」


 牛乳を渡すと、じっと見つめる。


「……白い液体」


「怪しく言うな」


「……毒では?」


「なんでそうなる」


◆◆◆◆


 洗濯物を干そうとすると、背後から声がした。


「……それ、何をするところですか」


「洗濯機」


「……箱?」


「服を洗う箱」


「……魔法?」


「文明だ」


 ふたを開けた瞬間。


「……入れます?」


「入らない!」


 腕を引っ張られる。


「……回ったら、どうなりますか」


「大惨事になる」


「……見てみたいです」


「だめ!」


◆◆◆◆


 昼過ぎ。


 俺が着替えようとしたら、リュシアがドアを開けた。


「……開いてます」


「開けるな!」


「……知らなかった」


「ノックを覚えろ!」


 慌ててシャツを引き寄せる。


「……肌、白いですね」


「見るな!」


「……戦士は、傷だらけです」


「戦士の話はいい!」


◆◆◆◆


 午後。


 姿見の前で、二人で考える。


「なんで、昨日だけ開いたんだろ」


「……門は、不安定です」


「だから門って言うな」


「……条件、あるかも」


「条件?」


「……人が一人、通った後」


「……それ、俺の部屋が満員になるやつだろ」


 リュシアは、少し不安そうに言った。


「……帰れなかったら」


「調べる。ちゃんと調べる」


「……一緒に?」


「一緒に」


 少し、安心した顔になる。


◆◆◆◆


 夕方。


 風呂に入ろうとしたら、背後から視線を感じた。


「……それは、何をするところですか」


「身体洗う場所」


「……一緒に?」


「入らない!」


「……なぜ?」


「説明が難しい!」


 ドアを閉めても、外にいる気配がする。


「……水の音、安心します」


「聞くな!」


◆◆◆◆


 夜。


 布団を二つ並べる。


「……距離、近い方が暖かいです」


「近い方が危険だ」


「……危険?」


「心臓に悪い」


「……病気ですか?」


「違う!」


 電気を消す。


 暗闇で、声がする。


「……朝倉」


「なに」


「……ここ、変だけど」


「うん」


「……少し、楽しいです」


「それは、否定できない」


 そのとき。


 姿見が、また淡く光った。


「……え?」


「……開きました」


「頼むから、今日は一人ずつで……」


 次の瞬間。


「いたた……」


 黒髪の少女が転がり出てきた。


 巫女服っぽい格好だ。


「……ここは、どちらでしょうか」


 俺は天井を見上げた。


「……説明、追いつかない」


 リュシアと黒髪の少女が並んで首をかしげる。


 俺の部屋は。


 本格的に、異界の待合室になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ