第六話
蔵の黒い影の正体がわかり安心した二人。数時間が経っており、家へ戻ると鬼がいて説教を受けてしまった。輝の仕事を手伝うために渋谷へ。
二人が家へ戻って来て、玄関を開けると般若となった梨穂が玄関で待ち構えていた。お手伝いさんたちやじじぃちゃ、輝は遠くの廊下の奥から怯えながらのぞいていた。
梨穂の説教が終わり、輝は二人に近づく
輝「大丈夫?じゃないな」
百合(泣きながら)「梨穂ねぇ〜ごわぁい」
アイリーン「足痛いし痺れたし意識は飛んだし」
二人はすごく怖かったらしい。梨穂は普段は優しい笑顔をしていて、弟たちからは天使だと言われているが、普段怒らない人はより恐く見えるのは自然なことだ。輝は二人を台所場に連れて行き、棚からさしま茶の茶葉をだし、お湯を沸かし始めた。
輝「まぁ。お茶飲んで落ち着け」
百合「うん」
アイリーン「ありがと輝」
二人は椅子に座りしょんぼりとした。
輝「牛乳入れてラテにするか?」
アイリーン「うん お願い」
百合「私はそのままでいいや」
輝「お前は飲んだ方がいいだろ身長伸びないぞ」
百合は椅子から立ち上がり、輝の足に蹴りを何度か入れた。しかし、あまり効いていないようだ。後ろからアイリーンが輝の前に立ち百合が蹴りを入れた場所に強い蹴りを入れた。
輝「いっだぁぁぁぁ!」
アイリーン「百合大丈夫、この感じ弱い蹴りだったけど少しは効いていたみたい。」
百合「弱い……」(落ち込んだ)
アイリーンはハッとして百合を宥めた。
輝「とどめ刺してどうすんだよ」
アイリーンは飢えた狼のような声で輝の方を見た。
お湯が沸き少し冷ました後にお茶を注いだ。三人はお茶を飲んで落ち着き、輝は明日の仕事の説明をし始めた。
輝「明日の連休、三日続いての仕事になるから渋谷のホテルに泊まるからよろしく」
百合「えっ?ちょっ休み全部使うなんて聞いてない」
お茶を飲んでいたが内容に驚きむせながら輝に言った。百合はアイリーンの方を向いて顔を見た。アイリーンは目をキラキラさせていた。
アイリーン「渋谷に泊まる?贅沢すぎませんか?感動なんだが」アイリーンはすごく楽しそうだった。
輝「よかった」(休み全部続いての仕事だと忘れていて、せっかくOKもらったのダメになるかと思っていた。)
輝とアイリーンはがっしりとお互いの手を握った。百合はその光景を見てスポーツアニメの名シーンに見えると思った。
輝「とっ言うことなので、二人は急で悪いんだけど着替えとかを用意しといて」
アイリーン「それじゃ、明日急いで私服家に取りに行かないといけないね」
後ろから一彩が台所にやって来た。
一彩「三人とももう夜遅いけど寝ないの?」
輝「一彩。もうそんな時間か」
一彩「うん 夜食のおにぎりは・・・あれない?」
輝「多分、お手伝いさん作る忘れたんだな ちょっと待ってて、俺が作るから」
一彩は二人の前に座りながら言った。
一彩「ありがと 感謝〜。あっお茶もらうね」
急須に残っていたお茶を湯呑みに入れて飲みながらなんの話をしていたのか二人に聞いた。
一彩「でっこんな遅くまで何やってんの」
百合「明日渋谷に輝の仕事手伝いに行くんだけど」
一彩「?アイリーンだけ連れてくんの?」
アイリーン「なんで?百合も一緒だよ。しかも渋谷のホテルに泊まりで行くの!」
ワクワクしているアイリーンとは真逆に一彩の顔はものすごく引き攣っている。
百合「えっ何その顔?」
一彩「だってお前私服持ってないだろ」
アイリーン「えっ?いやいや、私服持ってないことないでしょ。小さい頃普通に私服着て公園で遊んだじゃん」
輝はおにぎりを握りながらハッとした。
百合は現在私服を持っていないのだ。アイリーンと初めて会った時は外でも遊べるように私服を着ていたが、中学に入ってからは制服を私服がわりに家でも着ていたので、現在着れる私服がないのだ。
輝「盲点だった。普段から制服で見慣れてしまっていたが百合、お前は私服ないじゃん」
アイリーン「百合の服のサイズって、梨穂お姉ちゃんの小さい頃ので代用できないの?」アイリーンは二人に聞いた。
百合「うちは古い服は綺麗な状態なら直して本人の成長にあった大きさに社員さんが練習も兼ねて直しちゃうんだよ。汚れてたりきれないものは会社でリサイクルで他のものにして、リサイクル古着ショップに出しちゃうんだよ」
アイリーン「五十嵐家の会社って無駄を少なくするをコンセプトにしてる部署が多いいって聞いていたけど、本当だったんだ……」
輝「アイリーンの小さい頃の服を借りるってのはどうだ?」
アイリーン「中学校まで空手やっていて、家でも練習できるように自作のサンドバッグの中に砂の代わりに着ない服圧縮して入れちゃったんだよ。」
三人は自作でサンドバッグを作るアイリーンにびっくりした。
一彩「梨穂さんの服を工夫すればなんとかならないかな?」
百合「それしかないね……」
なんとか百合の服問題は解決した。おにぎりは少し固くなってしまった。
翌朝、各々キャリーケースなどを持ち笠間駅から渋谷駅へ向かった。始発なのもあり、電車の中は三人しかいなかった。
電車の中でアイリーンは輝になぜこの仕事をしているのか尋ねた。
アイリーン「輝はなんでカメラアシスタントやろうと思ったの?別に家が金持ちなんだから、お金が欲しいから?」
輝は座っている席から前の窓を見ながら行った。
輝「もちろん家のルールで自分で稼いだお金は自由に使っていいことになってるから好きなものを買いたいからやっているのと。小さい頃、一彩と一緒に古い蔵から本を新しい蔵へ移す手伝いをしていた時、何枚か古い絵が入ってる箱が出て来て、汚れていたり古すぎてよくわからないものもあって。でも、一枚だけやけに厳重に保存されてる絵があって、すごく可愛い女の子が描かれていたんだ。でも、作業を見に来た父さんにその絵を見せたら、怖い顔で急に取り上げられてしまって。後で父さんに絵のことを聞いたら捨てたって言ってたんだけど何日かして、父さんが先祖の墓に行ってるのを見つけて跡をつけたんだ。そしたら、捨てたはずの絵を何代目かはわからなかったけどその先祖に絵を見せたんだ。そしたら、急に泣き出して何がなんだかわかんなかったよ。」
アイリーン「何それ?」
輝「そんで家に戻った後、自室の金庫にその写真を入れていたんだけどそれを見ていた時後ろ姿を母さんが可愛いと思って何枚か写真を取ったんだよ」
アイリーン「つまり、その時の写真が理由でカメラ始めたの?」
輝はアイリーンの方を向き頷いた。アイリーンは呆れたような顔で言った。
アイリーン「呆れたし、金庫って大体ダイヤル式やパスワード式でしょ。写真じゃ正確なパスワードわからないんじゃないの?」
輝「お前も経験したことあるだろ母さんの写真の速度」
アイリーン「まぁ。確かに連写の速度バケモンだけど、輝が小さい頃って今の技術より画質良くないでしょ?・・・・・あっ!だからカメラのこと」ハッとして輝の顔を再び見た。
輝「そうゆうこと、母さんが撮った写真を俺が身につけた技術でパスワードを明らかにして、金庫を開け絵を取り返すんだよ」
アイリーンはジト目になり、輝に言った。
アイリーン「そんなことしなくてもお父さんが金庫開けるところ覗き見すればいいんじゃない?」
輝は目を閉じて腕組みをしながら言った。
輝「いや、その時の金庫は新しい金庫が来たからゴミに出された」
アイリーンは目が点になった。
アイリーン「じゃぁぁどうすんの!」
輝「安心しろ。ゴミが回収される前に一彩と金庫だけこっそり回収したよ。小さめだったし、引きずって一時的に自室に隠した」
アイリーン「でも、捨てようとしたなら中カラなんじゃないの?」
輝は満面の笑みで言った。
輝「いや、中は入っていたよ。見た目のせいで忘れていると思うけど父さんもう50歳すぎてるからそれにその時なんとかして絵を手に入れたいって思って、捨てることがわかった何日か前にお手伝いさんたちや母さんに『父上サプライズ作戦』って、父さんの誕生日が近かったから、サプライズと称して父さんが今日何日か聞いても間違った日を伝えたりして、父さんの記憶を操作して金庫の中身は新しい方に移したと思わせて中身入ったままゴミに出させた。」
アイリーン「小さい頃の方が頭良くない?」
輝「まぁ。子供の方が頭は柔らかくて柔軟だけど」
アイリーン「いやそうゆうことじゃないて……後、柔らかいと柔軟は同じだと思うんだが(まぁいいや)その後どうしたの」
輝「流石にずっと部屋に置いてあるのは見つかると思うから元々あった古い蔵に隠した。今は写真をどうにかしないとどうにも……」
アイリーン「カメラを始めた理由が小さい頃に見た絵をもう一度見るためとは……」
次は友部・・・《電車の放送》
輝「あっ。次乗り換え」
輝は隣で寝ている百合を起こして、乗り換えをした。
そして、ついに渋谷駅に到着した。




