第二十一話
建物の瓦礫から逃げたアイリーンたち、気絶しているアイリーンを背負いながら一彩は先生から逃げ切った。
一彩は廃墟の中に入り、アイリーンを壁によりかけて立ちながら壁に背中を押しつけて、老人にメールを送った。
送り終わると車のエンジン音が聞こえた、外を見ると後ろの片側のドアがないタクシーが廃墟から出て行ったのがわかった。
一彩は一気に力が抜けて、座り込んだ。
一彩「助かった……」
言ったと同時にアイリーンが意識を取り戻した。
「一彩、大丈夫!?」
一彩「アイリーン、お前の方がボロボロだろ」
「当たり前だよ、数年ぶりに先生と戦ったから身体中悲鳴あげてるよ。・・・腕を叩き落とした時、かなり力入れたけど全然効いてなかったな〜」
体育座りで顔を膝へと押しつけた。
一彩「瓦礫も簡単に避けるし化け物かよ」
話をしていると再び車のエンジン音が聞こえた、見ると車が止まり中からスーツを着ている男性が出て来た。
一彩は緊張しながら男性に近づいた。
一彩「迎え?ありがとうございます」
男性は一呼吸置いて話し始めた。
??「心配したぞ 待ち合わせのホテルに全然こないから」
一彩「すみません……」
??「とにかく乗って、一彩くんとアイリーンって子も一緒だったはずだけど?」
一彩はアイリーンを廃墟から担ぎ出して、車に乗せた。
車はすぐに廃墟から遠ざかった。
車の中で一彩は何があったのか話した。タクシーの中で起きたこと、銃を持っていたこと、打った男がアイリーンの元先生だったこと。
??「なるほど・・・一つ言っていい?」
一彩「? 何ですか?」
??「車のドア蹴破るってすごくない?」
一彩「・・・確かに」
後部座席でうつ伏せ寝ているアイリーン、両腕も両足も全体的にだらんとしている。
「二人とも〜今体痺れてるから、私のことあんまり喋らないで〜」
??「あぁ ごめん、ちなみに僕の名前は“宇佐美梶”」
一彩「俺は鎌倉一彩で後ろが稲本アイリーンです」
アイリーン「よろしくお願いしま〜すぅぅ」
梶「かなりしんどそうだね」
一彩「あいつ人間じゃなかったです」
梶「その男もこっちで調べないといけない感じか〜。また、寝れないな」
梶はハンドルに顔をうつ伏せた。
「もしかして、幽霊の改竄した監視カメラ調べた人って梶さんなんですか?」
梶「そうだよ、頑張ったんだから。でも、さっき、老人から一瞬で改竄、見抜いた奴がいるって言われて、なんか寝ずに頑張ったのに〜てさっきまでエナドリ飲みながら泣いてたんだよ」
一彩 (なんかごめん)
一彩は後ろを振り向き寝ているアイリーンに言った。
一彩「アイリーン、そろそろ起きろ」
アイリーンが起き上がり助手席の椅子を掴みながら言った。
「言っておくが!三分の一はお前の電気のせいだからな!後、梶さん、監視カメラのそいつこいつです!気まずくなって話しかけるな身体中痺れてんだよ」
アイリーンは指を指しながら言った。
一彩「でも、俺がいなかったらあそこで死んでたんだからな」
「でも、大半は私が先生と戦ったからでしょ!」
二人は車の中で言い争ってしまった。
梶(元気みたいだし、大丈夫かっ、一彩くんとは後で楽しく話そ)
二人が争っていると車が左右に激しく揺れた、一彩とアイリーンが驚いて梶を見ると白目で運転していた。
アイリーン&一彩「うわぁぁぁぁぁぁ!」
一彩「ちょっ梶さん!」
「一彩、路肩路肩ブレーキーーー」
一彩は梶の足をどけて、助手席から手を伸ばして車を路肩にとめた。
二人は梶の顔を見るといびきをかいて寝ていた。寝不足と二人の言い争いによるちょとした限界を迎え寝不足によるストレスの糸が切れたのだ。梶の深い眠りを見て、二人はホッとして、梶を運転席から後部座席に寝かせて、一彩が代わりに運転した。
《ホテルに着き》
女性従業員が三人を待っていて、老人がいる部屋へと連れて行った。
老人は鋭い眼光で椅子に座って待っていた。
老人「遅かったな……」
老人は三人の格好を見た。
アイリーンはボロボロでフラフラしていて、梶は一彩におぶられて寝ていて、一彩は魂が抜けたような顔だった。
・・・
老人は椅子から立ち上がり、女性従業員に言った。
老人「とにかく、三人を寝かせよう」
女性従業員「はい」
三人は別々の部屋で寝かされた。
《翌朝》
三人は老人がいる部屋へ向かい、昨日あったことを話した。
老人「なるほどそれは災難だったな」
梶「すみません二人とも後半は僕が原因なのに……」
「梶さんは疲れていたんですから、むしろ、迎えに来てくれてありがとうございます」
一彩「老人、梶さんに休日あげてください」
真顔で言った。
老人「・・・わかった、ただし幽霊を探すのことも含めて休みとする」
(それは休日出勤みたいなことでは・・・)
一彩「それはさs」
梶「ありがとうございます!」
二人はなぜと言いたげな顔で梶を見た。
梶「幽霊の情報が入ってから、数日間、トイレ行く以外でパソコンから離れてなかったから。休みで外出できるの嬉しい〜」
梶は泣きながら言った。
アイリーン&一彩「えっ?」
「ここってブラックなの!?」
アイリーンは女性従業員と老人に向かってすごい勢いで怒鳴った。
従業員「老人が幽霊の情報を得るまでは皆、無理のない範囲で世界の管理者を探していました」
一彩「つまり、幽霊のことを知ったときから梶さんは寝ずに調べていたと……」
老人「すまない、幽霊が出たと聞いて無我夢中で……」
(一彩と同じタイプだ・・・)
梶「そういえば、二人はこの国に来たばかりだよね、観光がてら案内するよ」
「あっ……ありがとうございますぅ……」
アイリーンたちは梶と幽霊の情報集めも兼ねて、その国を観光することになった。




