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第十七話

病院に運ばれた百合、消毒液が充満する病室にたくさんの機械や管が百合の体に付けられている。


梨穂「百合……」

梨穂(耳に入ってくる苦しそうな声、見ることしかできない自分が情けない……)


コンコン《ノックする音》


病室の扉が開く。


梨穂「先生……」


病室に先生が入り眼鏡のブリッジを軽く上に上げて話し始めた。


先生「妹さんは今は安定してますがいつ悪化してもおかしくありません」


梨穂は膝に置いていた手を握りしめた。


梨穂「百合は……何かの病気になってしまったんですか……」


先生「検査の結果、あれだけ出血したはずなのに内臓、血管にいたるまでどこにも傷や炎症すら見つかりませんでした、はっきり言って原因がわからないです……」


梨穂は3時間もの間、椅子から立つことはできなかった。看護師が慰めてくれるが梨穂の頭の中には響くことはなかった。面会の時間が過ぎてしまい、梨穂は何十分もかかる道のりを一人、暗い中歩いて帰っている。


??「君、道を聞いてもいいかな?」


頭を上げると、態度の悪い男が目の前にいた。今にも切れそうな街路灯の灯りに照らされていた。


梨穂「どうしましたか?」


??「ここら辺で一番大きな病院ってどこかな?」


梨穂(病院……一番大きなだと、さっきの)

梨穂「この道を真っ直ぐ行って、」


??「ありがとよ」


男は暗い道を一人歩き始めた。梨穂はハッとして後ろを振り向いて言った。


梨穂「もし、お見舞いに行くならもう面会できない時間なので明日にした方がいいですよ」


男は歩きながら手を振った。


《男が病院に着き》


スマホを取り出して誰と電話し始めた。


真樹「郷さん着きました」


郷「八階の右の狐だ」


スマホから気品溢れる美しい声が聞こえる。真樹は言われたとおり、八階の正面から見て右側の三〇二号室に入った。暗い中、心電図の線などが顔を照らしている。


真樹は百合の方に近づき、ジッと見た。見た後に静かに外に出ると夜間の看護師が見回りに来た、真樹は看護師と目が合い、急いで部屋の中に入った。


看護師「誰!?そこで何を!」


看護師は扉を開けると不審者どころか人影は百合しか見えなかった。


看護師(疲れてんのかな?・・・)


看護師は扉を静かに閉めて見回りに戻った。


天井に張り付いていた真樹が床に着地して、病院を後にする。


歩きながらスマホで郷に電話をする。


真樹(がぁぁぁ〜 病院忍び込むの大変だった〜。だからやりたくなかったんだ!)めっちゃ、むしゃくしゃしていた。


郷「真樹どうだった?」


真樹「はい、生きてました」


・・・


郷「何怒ってんだ?」


真樹「当たり前だ!?病院に忍び込むのめっちゃ大変だったんですから!」


郷「仕方がないだろ、代表が生きてるかどうかの確認を誰にするかをゲームで負けた人にするって急に言い出したんだから」


真樹「俺が寝ている最中に鬼電で起こすの今度からやめてください、ちょうど夢の中で“あっ これ夢だ”って気づいた夢だったんですから」


郷「見たら嬉しいやつだね」


真樹「だから、起こされた時スマホかち割ろうかと思いましたよ」


郷「我々にとって、楽しい世界を見ることはまだ数回しかない」


真樹「・・・」


郷「ご苦労様」


真樹はスマホをポケットにしまい、複雑そうな顔をした。


《五十嵐家》


一彩は右側の区間をアイリーンは中庭の花を調べることにした。


「花を調べるにしても何をどう調べればいいの」


一彩「本には花のことも書いてあった、桜、鬼灯、たんぽぽ」


「桜は昔たくさん見た、鬼灯は見たことがないけど」


一彩「探すぞ、桜と鬼灯」


二人は書いてある花の位置をメモした。だが、見つかったのは枯れた桜の木たちやたんぽぽ、鬼灯は見つけられなかった。


「一彩、百合の花の匂いは桜やたんぽぽとかに似ていたりしない?」


一彩は百合を蔵に連れていった時を思い出した。


一彩「会った時、春の匂いがした」


季節の匂いは独特だ。嗅ぐ人によってはハッキリとわかる。


「春の匂い?」


一彩「春は桜が咲くからわかる」


アイリーンは思い出す。

百合と歩いた道、強い風が吹くたびに花びらが宙を舞って心が躍った。泊まりに来ていた頃は落ちた桜の花びらを二人で集めて両手いっぱいにした後、上に投げて二人で笑い合った。輝がカメラで写真を撮ってくれた。


声を震わせながら言った。

「また、百合たちと笑いながら桜見たい……」


一彩「またみんなで桜を見るぞ」


「うん」


アイリーンは地図を見ながら花の位置に印をつけた。花はまばらに咲いていたのに桜だけが中庭に一本、北東に何百本もの桜の木があることがわかった。


「一彩、ここの桜がたくさんある場所何かあると思う?」


一彩は地図を見ながら何かに気づいた。


一彩「この方角……」


「北東だけど」


一彩は息を呑んだ。


一彩「北東は十二支の(うし)(とら)の間で鬼門と呼ばれる場所だ。そして幽霊や邪気が入ってくるとされている」


「幽霊……」


一彩「百合が見た幽霊はこの場所に現れた可能性がある」


二人は桜がある場所に向かった。しかし、全て枯れている木で歩き進めると落ちた枝がバキバキと音を立てている。

奥に進むと古い倉庫を見つけた。


一彩「ここは……」


その倉庫は輝と一彩が昔、本の移動を手伝った倉庫だった。
























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