第十六話
この世に異能力を持つ人間がいることを知ったアイリーン、明治時代に生きた異能力者が元凶と考える一彩。二人は幽霊の異能力者を見つけるために動きだす。
「それでなんだけど、どこから調べる?」
一彩「まず、お前がどこまで知ってるかの確認をしたい、花の匂いに関しては幽霊の異能力で、他に何か気づいたことはない?」
アイリーンは百合の部屋に入った時を思い返す。
(微かに香った花の匂い、畳にあった血の跡、障子、襖、ハンガーにかかった制服、書院、床の間、床脇、窓……窓!?)
アイリーンはハッとした。
(なんで窓が開いてたの?私が起きたのは朝の7時くらい、その前に起きて窓を開けた……なんのために?)
「一彩、部屋の中にある中庭しか見えない窓って、普段開けることある?」
一彩「いや、会社の方の建物ならよく換気で開けることはあるけど、百合たちが住む家は中庭の建物のせいで日当たりが良くないところがある、特に百合の部屋は日常で開けることはないって、本人が言っていた」
(じゃぁ、なんで?)
一彩は椅子から立ち上がり、本棚の中から大きめの本を取り出した。
「それって何?」
一彩「この、五十嵐家の見取り図」
「そんなもんあったの!?」
一彩「もともとは秋春さんの部屋にあったんだけど、新しい見取り図を作ることになって貰ったんだ」
机に見取り図の本を広げ置いた。
池、建物の形などが描かれていた。今と違うのは植物などの位置、建物の形や数などだ。
一彩は指を指しながら言った。
一彩「百合の部屋はここだ、中庭で見えるのは桜の木だけだが、今は別のところに移動させられてる。確か、枯れた木だけが今は一本見えるだけだ。」
「あの枯れた木か、昔泊まりに来た時は何本もあったのに」
(そうなると、余計になんで窓を開けたのかが疑問だな、何かを見ようとした?何を……)
・・・
「もしかして、幽霊?」
一彩もその言葉で納得した。
一彩「窓を開けたのは外にある何かを見ようとした……でも変だ、それだと最初蔵から出た後が説明できない。」
一彩(もしかして、幽霊を見た時間が違う? そうなると幽霊を見た瞬間には死なない、もしくは死ぬ時間を自由にできる。この二つ、それになんで死人から花の匂いがするのかが気になる)
一彩「百合はまだ死んでいないのになんで花の匂いがしたんだ?」
「確かに、死人から花の匂いがするって書いてあったはずなのに、なんで……花の匂いは別のところでついたってこと?」
一彩は庭の図のページを開いた。
一彩「花があるのは中庭と右側の区間だ。だが、この蔵は左側にある、短時間で行ける距離じゃない」
アイリーンは再び幽霊の異能力が書いてあるページを見た、紙の端を摘んでいると違和感があった。前のページに比べて少し紙が厚い。
(なんか厚い?なんでこのページだけ、そのせいでさっきまで薄っすら見えていた前の字が見え……!)
「一彩、窓を閉めてみて」
一彩「あぁ?」
アイリーンは暗くなったと同時に目が青く光、よく見えるようになった。厚くなってるページを照明の光で透かしてみるもうまく透けなかった。
「ん〜!?」
一彩「お前の目の方がよく見えるんじゃないか?」
「いや、それはないでしょ。それに目はまだうまく使えないし」
一彩は窓の扉を開けて、アイリーンの両肩に手を置いて言った。
一彩「大丈夫、教えてあげる!」
「えっ!?あっ!」
一彩は教えるのが好きなので止めるまで止まれない。
《数時間後》
「疲れだ〜」
一彩「だいぶ扱えるようになったな、日本語もそうだったけど物覚えがいいな」
「一彩の教え方がわかりやすいからだよ」
改めて、蔵の窓を閉めて本の厚紙を異能力の目で見た。透けると同時に青く光る目になった。
図のような物が見えた。
「これページが貼り付けられているんじゃ」
一彩「これ慎重にやらないと破けるな」
《数分後》
二人はページを慎重に剥がした。
「これって地図?」
一彩は地図帳を出して、地図同士を見比べてみた。
一彩「これは、ここの地図だ」
「ここって、五十嵐家とその周辺?なんで幽霊の異能力者のページにそんなのあるの、昔ここに住んでたとか」
一彩「それはない、本に書かれている情報は主に関西方面が多いいし、はじめて幽霊が目撃されたのは京都付近だ」
「・・・幽霊って普通に見えるの?」
一彩「いや、これはその幽霊のせいで死んだ老人から聞いた話だ」
老人は死ぬ前に幽霊を夢の中で見て、孫に話した。
(だとしたら、なんで?)
一彩「この本は古い倉庫から出て来た本で数は少ないが偉人の直筆のサインもある」
「それ本物なの?」
一彩「本物だ。秋春さんの異能力で本物だとわかっている」
「まって!秋春さんも異能力持ってんのー!」びっくりした。
一彩「あぁ 持ってるぞ、俺に異能力のこと教えてくれたの秋春さんだもん」
キョトンとした顔で言った。
(マジか……)
「身近に異能力者が二人もいたことにびっくりしたんだが」
一彩「まぁ・・・」
「どんな能力なの?」
一彩「秋春さんの異能力は歴史、本物かどうかの判別。ものに触れるとそのものの歴史を見ることができる。例として字に触れるとその字を書いた瞬間とかが見れるとかだ」
「んで、本物だったと」
一彩「あぁ、有名な○✖︎や△■なんもあったな」
「すごー!?」
二人で偉人のサインを見てはしゃいでいる。
本には偉人の他にも直筆サインがあった。
「あっ!こんなことしてる場合じゃなかったんだった」
《一旦冷静になった》
アイリーンは一回咳払いをした。
「仮に関西にいたはずの幽霊のページにここに地図があるのは明らかに何かあると考えるのが普通だ!」
一彩「急にバカっぽくなるな」
「なんか、もう、情報量多くて頭回らなくなっちゃった」
一彩(まぁ、確かに)
「それは本人から聞こう。今は幽霊の異能力者を探すに集中した方がいい」




