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世界の管理者たちのために  作者: 弥生やこ
世界の管理者たちのために
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第十四話

零たちが向かった映画館は秘密の会議室に通じていた。どうやら、百合のことについて話し合っていたようだ。会議に参加しなかった零は帰りの花屋で日本の五十嵐家に百合の花を贈った。

百合が吐血をして五十嵐家には心配と焦りが一気に家族やお手伝いさんたちを襲った。救急車が門を通り百合を病院まで運んだ。百合は危険な状態で大量出血による出血性ショックを起こしてしまい、救命救急センターに運ばれた。しかし、百合の血液型が前の患者によって数が足りなかったことがわかった。車内に一緒に乗っていた輝は百合と同じ血液型なのを伝えた。すぐに輝は輸血用の血を400cc取った。輝が血液を取っている途中に車で来た梨穂も血液を取ってと言っている。すぐに梨穂からも同じく400ccの血液を取った。

合計、800ccの血液が確保でき、百合の緊急手術が始まった。輝と梨穂の頭の中はもはや何も考えられなかった、握っている手から手汗が溢れ心臓の音が鼓膜を破るような感覚だった。輝は救急車の中でずっと百合に声をかけ続けていた、目を瞑って掠れた声で酸素マスクが曇るたびに恐怖が増していった。

輝「梨穂みんなは?」

梨穂「父上は百合が血を吐いたって聞いたら走って百合の部屋に向かった、でも救急車に運ばれている途中だったから部屋しか見てなくて……部屋見たら汗がすごく出てその場で吐いた。母上は父上の姿見て、その場で固まっちゃって足も手も一切動かなくなって……」


百合の部屋は酷いものだった。畳は吐血した血で赤黒くなっていて、気を失った時倒れた形に血が跡となって残っていた。

輝「秋や春、アリーは見たのか」

梨穂「秋と春には見せないようにお手伝いさんが部屋に近づけないようにしてる。アイリーンちゃんはまだわからない」

二人は百合の手術が成功するのをひたすら待っている。

《五十嵐家》

アイリーンが起きると外が騒がしく襖を少し開けると何か嫌な予感を感じた。お手伝いさんたちが百合の部屋には行かせないように柱と柱の間に立ち入り禁止のためのテープや目隠し用の布を何枚も使っているのが見ていてわかった。アイリーンは自室の障子を開け外に出て誰にも見られないように遠周りをして百合の部屋へ向かった。百合の部屋の前に着き障子を開けると血の匂いがアイリーンの鼻を通った。アイリーンは手首につけてある髪ゴムで髪をまとめて近くに転がっていたスリッパを履いて部屋の中に入った。入ったと同時に障子をしっかり閉めてゆっくりと血の方を見た。その目は暗闇の中から急に出てくる猫のような目だった。アイリーンは吐血した畳に近づき周りを見渡した。

アイリーン(この血、形は少し歪だけど大きさから見て百合が血を吐いて倒れたってところか)

アイリーンは入って来た障子とは向かいの小さな窓が少し開いているのを見つけた。近づいて、窓を開けるとそこには桜の木があった。だが、今は枯れていて花は咲くことはない、昔泊まりに来ていた時には今より何本かあったらしいが中庭を作ると同時に別のところに移動させられたらしい。

アイリーン「・・・花の匂い?」

部屋の中には微かだが花のような甘い香りがした。香水でもない自然な花の匂いだ。アイリーンはこの花の匂いがどうして部屋にあるのかが気になり家の中で花がある中庭や右側のエリアを調べることにしたが、夜に一彩にもお見上げを渡しにいったことを思い出し一彩がいる蔵に行った。

アイリーン「一彩!夜に百合が来たよね」

一彩の姿が見当たらない、アイリーンは本の間を通りながら一彩を探した。一階にいないことがわかりアイリーンは階段を使って二階へと登った。本棚に置いてあった本が床一面に散らばっていてその真ん中に一彩がしゃがみ込む形で本を開いていた。一彩に近づいて声をかける。

アイリーン「一彩、何読んでるの?夜、百合がk……」

一彩はアイリーンの話を遮り言った。

一彩「ちょっと待って、今調べてるから」

アイリーンの様子が変だ。一彩はふとアイリーンの方を見た。見た瞬間に一彩は胸ぐらを掴まれた。

アイリーン「話を聞け、夜百合の様子変じゃなかったか」

暗くて顔は見えないはずなのに青い目が光って見える。

一彩「お前こそ一旦落ち着け!ここで暴れるな、資料が破れる」

アイリーン「資料より私の質問に答えて、それから話は聞く」

一彩「夜に百合がお土産持って来た、その後百合の様子が変になった」

アイリーンは続けて質問した。

アイリーン「百合の様子どんなふうに変だった?」

一彩「全身が冷たくて、呼吸が正常じゃなかった。それと幽霊を見たって言ってた」

アイリーンは一度深呼吸をして一彩を離した。二人は一階に降りて、座りながら話をした。

一彩「百合に何かあったみたいだな」

アイリーンは頷いた。百合の部屋で見たことを伝えていると一彩が本を出した。それはある幽霊の話だった。字は昔ながらの筆で書かれていて、パッと見ただけではわからないものだったが一彩は内容をわかりやすく伝えた。

『少年の幽霊が白く見える。幽霊は人の命を奪い花の匂いが死人から微かに香る』

アイリーン「これ・・・本当に信じてるの?」

逆に冷静になったアイリーン。

アイリーン「確かに部屋から花の匂いはしたけど、幽霊は信じられない」真顔

一彩「なんか急に落ち着くのやめてほしい」

・・・

アイリーン「そもそも幽霊が信じられない、この世にそんな非科学的なことがあったら社会はとっくに終わってる」

一彩はため息をついていった。

一彩「お前、本当に気付いてないのか?」

アイリーン「?」

一彩は蔵の扉を閉めて電気を消した。アイリーンは暗くなった部屋を見ると、物が鮮明に見えた。蔵の中は明かりが全くなく物が鮮明に見えるはずもないのに不思議に思っていると一彩が鏡を渡してきた、鏡を見ると青く光る目が映っていた。







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