第十二話
一彩にお土産を渡そうと雨の中、蔵まで行き無事お土産を渡した百合帰る途中視界が悪く不安な気持ちになり周りを見渡すと倉庫を見つける。倉庫に入ると古い本を見つけた、本を取ると同時に扉が開き外を見ると白い人影が見えて金縛りのように体が動かなくなり気がつくと元いた場所にいた。
一彩が百合を蔵まで運び気持ちを落ち着かせるためお茶や小腹が空いたようのチョコをくれた。尋常じゃない震えを見て自分が使っていた膝掛けを百合にかけた。
百合「・・・」
一彩(話せる様子じゃないなそれに全身が冷たい)
一彩は百合の前に座り顔をじっと見た。
一彩「百合?今、何が怖い」
百合は恐る恐る顔をあげて一彩の方を見た。
百合「白くない」震える声で言った。
なぜ白くないと言ったのか一彩にはわからないが怯える姿を見て一彩は百合の頭を撫でた。
一彩「怖かったなら好きなことで怖いこと忘れればいい」
一彩はスマホで百合が好きな曲を流し始めた百合は曲が始まると現実に戻された。百合の震えは徐々に落ち着き意識もはっきりし始めた、体温も元に戻り始めて指が動かせるようになった。一彩はヘッドホンを百合に渡し言った。
一彩「落ち着くまで好きな曲聞いてろ、落ち着いたら話しかけていいからな」
百合はヘッドホンで歌の世界に入った、曲を聴くと自然と目を閉じて椅子の上で体育座りをし顔を膝に向けた。数十分が経過し百合は顔をあげて一彩に声をかけた。
百合「ありがとう落ち着いた」
一彩は後ろを向きヘッドホンを受け取り百合の様子を見て大丈夫だとわかり一彩は何があったのか尋ねた。
百合「幽霊を見た」
一彩「・・・幽霊見たのか」
百合「疑わないの?」
椅子に寄りかかりながら上を向き目を瞑りながら言った。
一彩「日本には昔から幽霊なんかの妖の伝承が多くある、世界中でお化けや不可解な出来事は起こってる。現に昨日の朝から海で深海魚が打ち上がったらしいし・・・お前が見間違いをしたところであの震えは見間違いで起こるような震えじゃなかった」
百合「うん」下を向きながら言った。
一彩は百合の方を向き一人で帰れるか尋ねた。百合は頷き一人帰って行った。百合が帰った後一彩は机に向かい険しい顔をした。
一彩(百合の手最初は寒さのせいでわからなかったけどあれは何がを強く握った跡だ。帰る時はあんな跡はついてなかったし傘を強く握っただけであそこまで赤くはならない・・・それに話の中に出て来た倉庫てっ輝と本を移動させた蔵と似ている、鍵がかかっていて小さい出入り口がある)
一彩「まって、百合が帰る時何か花みたいな匂いがした、ここら辺に花なんてないはずなのに」
五十嵐家で花がある場所は中庭や右側の区間にしかない、今一彩がいる蔵は左側の区間にある。数歩歩いただけで左側の区間に行くことはできない、雨で足元も悪い状況で何キロも離れている所に行くことは現実的ではない。
百合は家へ着き自室に早足で向かった。帰ると家族やお手伝いさんたちはすでに寝ていた、時計を見ると3時を過ぎていた。雨が障子の隙間から見える、じっと見てると何かに引き寄せられるように障子を開けた。雨が何もなかったように消えていた。消えているはずなのに部屋に何かがポタポタと水が滴るような音が聞こえた。朝日が昇ると同時にお手伝いさんたちが家事をしていることがわかった、いつもの平和な一日が始まった。お手伝いさんが百合の部屋の前に座り声をかけてくれた。
お手伝いさん「おはようございます百合さん、起きていらっしゃいますか」
百合「うん起きてるよ」明るい声で言った。
お手伝いさんが布団を片付けようと襖を開けた、開けたと同時に叫び声が響いた。百合が立っている場所に吐血した血が広がっていたのだ、気がつくと百合は倒れ口を手で押さえているが血が咳をするたびに畳に広がり声も掠れていった。意識が遠くなり百合は気を失った。
《日本の日の出の少し前》
銀髪の男が飛行機から出て来て空港内を歩いている。男は誰もいないことを確認して、立ち入り禁止エリアに入り隠し階段を降りて地下の下水道を一人で歩いていた。
??「おかえり」
男が後ろを振り向くとタバコを吸いながら男がやって来た。
男性「タバコの煙嫌いなんでやめて」
??「あ〜悪い」??は下水の水でタバコの火を消した。
男性「何しにここに来た」
??「相変わらず怖い顔だこと、こっちまでイライラする」
男性「・・・真樹」
真樹「繭、勝手な行動は組織を蹴落とすためか」
繭「その名前で呼ぶな、下水に落とすぞ」
二人は怖い顔で言った。
真樹「はぁぁぁぁ 零」ため息をつきながら言った。
零「何?」
真樹「なんで殺した。日本にいたあの黒髪の女、素質はあるが接触しない限り半信半疑だって代表も言ってる」
零「殺してはいないし潰す気もない」
真樹は零と下水道を抜けた。抜けるとトンネルと繋がっていて車が止めてあった、車から黒服が出て来て零のキャリーケースを車のトランクに乗せて二人をどこかへ連れて行った。
真樹は窓を見ながら怠そうに言った。
真樹「零、あのこと引きずってんのか」
零「・・・」
真樹「あれはお互い悪くない」
車はトンネルを抜けて数時間走らせると大きなビルの地下駐車場に止まった。エレベーターで上の階に上がった二人、降りるとそこは映画館の前だった。チケットも買わずに二人は映画館に入った、まだ上映開始でない作品のスクリーンに入り映像が映される壁に手を置いた。手を置いたまま目を瞑るとそこは映画館の中ではなかった。
さっきまで映画館の中だった場所は暗い空間に変わっていた。周りには大きな扉が一つだけあったそれ以外は何もなかった。
真樹「相変わらず、何もないとこだな。うん?」
零がついてこないのを不思議に思う真樹。
零「私ここ嫌いなんだよ(小声)着たくなかった」
真樹「なんで下水道で言わないんだよ!言ったら別に連れてこなかったよ!」後ろを振り向き驚きながら言った。
零「空気悪かったから、私もう帰る」
真樹「おぃ!」
零は帰って行った。
真樹「自分勝手すぎるだろ・・・」
零が帰った後、真樹は後ろで静かに煽る気配を感じた。
真樹「やかましぃ!」
??「うふぉっっ」
真樹は後ろに回り込み??にジャーマンスープレックスをした。
??「ゔぃっだぁぁぁー!」
真樹「空気読まないからこうなるんだよ」
??「何この技!?」
真樹「こないだテレビで見てやってみたからやってみた、実戦は初めてだ」楽しそうに言う。
??は立ち上がり親指を立てながら後ろを指した。
??「会議十六回欠席してるし、そろそろ出たらどうですか?」
真樹「悪いけど今回もパスッ 俺の今回の書類も代理で渡しといてくれ八葉くん」
八葉は投げ渡された書類を見た。
八葉「真樹さん……」
真樹「うん?」八葉の方へ振り向いた。
八葉「流石にこの人たちの悪口を書いた紙は渡せませんよ、それにこの絵なんですかモグラですか?」書類を見せながら八葉言った。
真樹「あぁぁぁ!ヤバッ」真樹は紙を取り上げた。
真樹「八葉くん君は何も見ていない見るどころかあまりの書類の完成度に俺に見せて来た。いいな、それにこれはモグラじゃない鳥だ」すごい早口。
八葉「はぁ・・・はいわかりました」呆れた顔で言った。
真樹「よし」
真樹は帰って行った。
??「八葉会議始まるがどうした?」
八葉「零さんが来ました、後真樹さん十七回目の欠席です」
??「まじか!?真樹はともかく零がここに来たのか!」
八葉「はい、ま〜今回の事態も事態ですし真樹さんが連れて来てくれたんだと思います」
??「今回の件で一番関係があるのは零なんだが……あのことか〜」
八葉「まだ引きずってるんですかね」
??「当たり前だろ今まであんなこと起こったことがないんだからな」
八葉は後ろを向き会議室の扉を開けた。




