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攻略対象外の推しを救うため、世界を改変することにした  作者: 白露 鶺鴒
第二章 水の洞窟 沈む真実と断罪の継承

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48.小島に向かって


 私、ルヴィニ、アイオ様で移動すること、7日目。

 漸く、かつての水の大陸に向かうための海に到着した。


 海を渡るための準備をして日が暮れたため、翌朝、今から出航という段階。

 ただし、そこに1名。不安げにしている人物がいる。


「あの、本当に、行くの?」


 眉を下げて、どうするべきかと悩んでいるのはアイオ様。

 

 説明はしたのだけど、なかなか信用出来ないらしい。

 最初から半信半疑のアイオ様と、若干、諦めが入りつつも指示に従ってくれるルヴィニ。


「行ってみるしかないでしょ。小島まで」

「その小島へ、こんなボートで行くのが不安って言ってるんだけど!?」


 ルヴィニの言葉にアイオ様が反論する。


 アイオ様が言うこともわかる。

 目の前には、小型のボート。そして、その先端に馬車と馬を繋げるハーネスを取り付け、その先にはオリオン。


 オリオンに引いてもらい、この陸地から遠くの小島へと海を渡る。

 手元の地図で確認する限り、通常の馬での移動なら10時間くらいの距離。たぶん、100㎞くらいあるのかもしれない。


 見えてはいるけど、船でもそれなりにかかる距離だ。


「手漕ぎよりは早いから大丈夫です」

「どこに、大丈夫な要素があるの? ないよね? 明らかに、おかしいから」

「でも、アイオ様だって、オリオンが空を飛んだところ見てますよね? 同じ要領で、水の上を走るんです」

「それがおかしいって言ってるんけど!」


 どうしても納得してくれないらしい。

 ルヴィニはさっさとボートに乗り込んでいる。


「いいから、さっさと乗りなよ。出来れば夕方より前にあの小島に到着しないと野宿がきつくなるでしょ」

「っ、納得したわけじゃないから」


 アイオ様も納得はしていないけど、ボートに乗り込み、オリオンが引きながら小島へと向かう。


 オリオンは水の上を地面と同じように駆けていく。

 どういう原理なのかはわからないけど、聖獣だからね。多分、魔法を使っているのだろう。




 遠くに見えていた小島に到着したのは、太陽が西へ傾いた頃。

 あと、1、2時間もすれば茜色に空が染まる時間帯だった。


「ミオ。オリオンに3人で乗るんじゃだめだったの?」

「いや、長時間でその体勢がきついから、ボートに繋いだんでしょ」


 オリオンに巨大化してもらい、3人で乗るのも不可能ではないけど。

 どう考えても長時間、3人密着する体勢はきつい。二人乗りでも結構大変なのに。

 それなら時間は少し増えても、ボートの方がまだましだと判断した。


 でも、その決断は出発後に間違ってたと発覚した。

 

 船酔いして、ボートの上で何度も海に吐き戻し、島の陸地についても、蹲っているアイオ様の背中を撫でる。


「えっと、ごめんなさい」

「へ、いき、ちょっと、むこうに」


 顔色が悪いまま、茂みの奥へと隠れてしまった。

 たぶん、見られたくないんだよね。ルヴィニすら、同情していた。


 思ったよりも揺れたんだよね、小舟。申し訳なかった。


「暗くなる前に、火起こして、可能なら食事を用意を始めてて。アイオは休ませておいて」

「わかった。どこに?」

「……魔獣の気配を確認したから、調べてくるよ」


 アイオ様はそっとしておいた方が良さそうだからね。

 ルヴィニはアイオ様に告げないように言い、その場を離れた。


 この島は無人島だし、危険は野生の獣程度だと思ったけど、ルヴィニの言葉はそれを否定した。


 それでも、体調不良のアイオ様にはまだ伝えるなということだから、対処できるのだろう。


「よし、火起こししよう」


 先にやるべきことをやっておこう。

 明るいうちに食事と寝床の確保。


 浜辺から少し離れ、見通しがいい場所にテントを張って、その近くで火を起こす。


「ごめん、手伝うね」

「休んでていいよ? ルヴィニも休んでるように言ってたし。テントの中で寝ててもいいから」

「もう、平気だから」


 まだ顔色は悪い。

 なんとか吐き気は収まったらしいので、野宿のために手伝ってもらう。


「あのさ、あの移動はちょっと……」

「うん。その、帰りはオリオンの背中に乗ったらどうかな。私達はボートで、アイオは背に乗るとか」


 流石に、可哀そうだと思うので、代案を提案しておく。

 少し耳を赤くして「ありがとう」とお礼を言うアイオ様は可愛い。


 甘やかすなとルヴィニに言われそうだけどね。


「あの、水の神器本当にあるの?」

「うん、でも、目的地はあの小さな島。島同士は地下洞窟で繋がってるから」


 風の大陸から見ると、この島の裏側の小さな島。

 地下洞窟が繋がっていて、あの島に納められている。


「ボートで行かなくていいの?」

「この島の地下洞窟からしか行けない。神器アクア・レガリアを安置した祭壇は地下から行くしかない」

「なんでそんな場所に?」

「さあ?」


 それは知らない。

 むしろ、それこそ神子様とか、サフィロスのような水の民の事情に詳しい人に聞いた方がいいことだと思う。


「えっと、水の神器って長いこと行方不明だって聞いたんだけど」


 そうなの?

 ゲームではカライスちゃんが場所を知っていた。使うことが無いからずっと安置されているだけじゃないのか。


「やっぱり、よくわからないよね。ルヴィニ様が信頼するのも理解できない」

「……ですね」


 アイオ様からの信頼が低い。

 話す機会が結構あったのに、未だに、胡乱気な表情でこちらを見ていることが多い。


 私の場合、基本情報が疎かになっていることが多い。

 微妙に信頼しにくい実情が理解できるだけにどうしようか、迷う。


 いや、多少、推しを見て、心が躍ってしまうことはあるけど、変な目で見ないようにしている。

 ただ、ゲームでの彼との差異も含め、一番戸惑いが強いことも事実。


「戻ったよ」

「おかえり」

「明日からだけど、予想以上に厄介かもしれない。今のうちに、明日以降の食事も小分けにできるようにして作っておいてくれる?」

「うん? どうかした?」


 ルヴィニを見たら、膝下が濡れていたり、どころどころに血や泥がついて、服が汚れてる。


「偵察してきたけど、魔獣の巣なってるよ。何体か狩ってみたけど、赤い石はなかった」


 つまり、魔獣が穢れによる自然発生をしているってことになる。


「危険はないって話じゃなかったっけ?」


 アイオ様が私を見る視線がチクチクと刺さる。

 風の大陸が穢れが少ないから、問題がないと思ったのだけど。


 魔獣の巣となるほどということは、かなり穢れが蔓延している状態ってことだ。


「そんな気はしてたけどね」

「え?」

「幼かったけれど、僕も水の大陸の最後を知ってるからね。大陸を維持するためには、神器を神子の元に届ける必要があった。でも、間に合わなかった。それって、その時点で安置された場所は危険ってことだからね」


 にんまりと笑うルヴィニはこうなることを知っていたらしい。

 私の情報には欠陥がある。全てが正しい訳ではない。


「ルヴィニ……」

「心配しなくても、戦力に問題はないよ。カライスだと厳しいけど、アイオならね。足手まといがいても何とかなる。まあ、明日からミオは大変だから覚悟しておきなね? 狼や生まれたての魔獣とは比べ物にならないよ」


 つまり、カライスちゃんや私は駄目だけど、アイオ様なら実力的に問題ないのか。

 ルヴィニの話を信じるなら、魔獣となってからそれなりの時間が経過している。強さは桁違いのはず。


 しかも、ルヴィニが様子見したのは多分入口付近のはず……甘く考えていたけど、穢れが充満している状態が継続しているなら、奥にゲームでのボスがいてもおかしくないのかも。

 いや、弱気になってる場合じゃない。


「想定を引き上げる。ルヴィニの言葉を信じるなら、すでに危険な魔獣が産み出されている。5年後であれば、赤い石を埋め込まれたボス級がいる。水場には不用意に近づかないようにお願いしたい」

「ふ~ん、やれるの?」

「やるよ。魔獣相手なら、私だって戦力になる。ちゃんと、少しは成長したとこ見せるから」


 私が水の神器アクア・レガリアを入手するという案を出した。


 ここで引くわけにはいかない。

 多少の危険があっても、進む。

 浄化は、魔獣にとって特攻効果。


 言うほど役立たずにはならないはずだ。



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