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攻略対象外の推しを救うため、世界を改変することにした  作者: 白露 鶺鴒
第一部 水の神子 暗殺阻止   第一章 風の大陸 出会いと陰謀の幕開け

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15.情報整理



「自称って言ったね? カライスが殺した訳じゃないと考える根拠は何?」

「まず、カライスちゃんの実力的にも精神的にも無理。そうなると、何故、神子様が亡くなって、カライスちゃんは自分のせいと考えるのか」


 ルヴィニの問いに、こくりと頷いてから答える。

 ゲームでのカライスちゃんの立ち位置は、不在である水の神子の穴を埋め、死んでしまう親友・ライバル枠のキャラ。


 彼女のイベントでは、大きく分けて3つ描かれる。アイオ様、神子様、姉。

 特に仲の良かった姉妹であり、水の神子に仕える神官だった姉。


 その姉の不審死により、アイオ様や神子様との距離が生じた。

 結果が、水の神子様の暗殺に関係してしまい、彼女の後悔が自称暗殺犯という立場なのだろう。


「多分、自責の念があるだけで、周りはカライスちゃんが殺したと判断してない」

「ふむ、どうしてそう思う?」


 サフィロスがじっとこちらを見る瞳が冷たい。

 カライスちゃんとの接点もない私になにがわかるのかと不服を感じているようにも見える。


 友人となった立場ではなく、神子側として私を見極めたいのだろうけど、ちょっと悲しい。


「5年後。カライスちゃんの後見をスマラクト殿下がしている。もし、風の国が水の神子暗殺犯と思っているならあり得ないでしょ」

「あいつか」


 サフィロスが面倒くさそうに呟いた。

 水の神子様と交流があるため、従者の二人ともスマラクト殿下とは顔見知りのようだ。


「カライスが暗殺犯であることを承知で、後見をする。あり得ない話じゃないかな」

「え? そうなの?」

「多分ね。真相次第では、世間の評価はそのままに、あの子を庇う可能性はあるよ」


 ルヴィニは当然のように肯定した。

 スマラクト殿下は、風の国の王子、王の三男にして、次代の風の神子の候補。

 ただ、ゲーム内で彼は神子となる前に死亡してしまう。


 出番が少ないので性格はおおよそしか知らないけど、二人は彼の言動に違和感はないらしい。

 ここは、現実の彼を知っている二人が正しいのだろう。


 そうすると、ある程度は神子の暗殺の真相を知っていて、庇っているという構図が成立する。


「ルヴィニはどう考えてるの?」

「僕の前に、きみの考えを言いなよ。情報も足りないから判断できないよ」


 私の考えか。少し、考えを整理する。

 実際、公式の情報、ネットの考察、色々と知ってはいる。


 だけど、そんなことよりカライスちゃんと直接会って思ったのは、悲壮な覚悟で神子様を殺そうとしているようには全く見えない。


 すでに姉神官が亡くなっているなら、考えが変わる転機が訪れる。

 第三者からの情報提供――教団の接触が考えられる。


 じゃあ、教団の接触後に、カライスちゃんの考えられる行動は?


「二つ、可能性があると思ってる。前提として、カライスちゃんの姉の死、それを教団が利用する。一つは、姉の死の真相を知りたい彼女が唆され、水の神子様を誘き出し、その場で戦闘となりカライスちゃんを庇い、死亡した」


 これは、水の神子様が迂闊にものこのこと出かけたことになる。

 流石に一人歩きはしないだろうから、ルヴィニやサフィロスが護衛として側にいて、一緒に犠牲になったとか。


 それならルヴィニ達がゲームにいないのは、一緒に死んでると考えれば、あり得る。


 カライスちゃんが足手纏いになった可能性が高そうだしね。

 相手の戦力差次第とは言え、神子様と護衛がいても、防ぎきれなかった可能性。


 ただ、二人はあまり納得していない。

 ルヴィニが首を振っているから、こちらの可能性は薄いってことかな。

 罠と承知で誘き出されるのは認めないということだ。


「次に、教団が姉の死体を使う。この場合、カライスちゃんは教団からの刺客である姉を向かい入れてしまったんじゃないかな。大好きなお姉さんだと思って……これなら、護衛の目を掻い潜る暗殺ができるし、カライスちゃんも加担してることになる」


 ずんっと空気が重くなった気がする。

 私の言葉に、二人が重々しく頷いた。どうやら思い当たることがあるらしい。


「死体、無くなったの?」

「ああ。簡単に説明するが、彼女が亡くなったのは2か月前だ。風の神殿に安置していた死体が消えたと報告が来ている。カライスには亡くなったことと、死体の損傷がひどく、そのままにできないため丁重に弔ったと言ってある」

「カライスは納得はしてなかったけどね。他の犠牲者についても、死体回収できたのが数人で……おかしなところがあったよ」


 サフィロスの言葉を補完するようにルヴィニが言う。

 どうやら、ルヴィニが先に到着して確認した護衛の死体は、かなり損傷の激しい遺体だったらしい。


 また、見たことも無い痣や魔法を使える護衛なのに魔力を感じないなど、通常では考えられない状態だったらしい。


 神子様であればもう少し詳しく調べられるが、風の神殿側はそれを許さず、神子の到着前に、水側の許可も得ずに火葬されてしまった。


 その後は色々と調べたりはしたけど、実際の襲撃の場すら確定できていない。風側は黙秘を貫いているという。


「カライスちゃんのフォローは?」

「できていない」


 サフィロスはゆっくりと首を振った。

 2か月前。たった一人の肉親を亡くして、立ち直るには短い。

 もしかして、私を敵視して通報したのも、仲間を失いたくないという気持ちの表れだったのかもしれない。


 もっと、彼女に寄り添うべき状況な気もするけど、二人は淡々としているようにも見える。


 さらに、水の神子側の説明と実際の状況にも乖離がある。

 カライスちゃんが裏切るフラグはすでに出来てしまっている。


 できる事子なら、今日、アイオ様と笑っていたような、彼女のままでいてほしいのだけど。


「そもそも、亡くなったとき、護衛がいたんでしょ? 風側の人間も……本当に何もわからないの?」

「襲撃があるとは思わなかったが、少々きな臭いことに気付いていた。だから、神子は拒否をし、隙を突かれた」

「うん? 知っていたってこと?」

「そこまでじゃない」


 サフィロスをじっと見るけど、笑みを浮かべて隠された。

 私には言えないことのようだ。


「風側が祭典を行うと勝手に決めてね。参加できないなら、代わりの者を用意するようにと言われて、彼女が勝手に向かい、襲撃にあった。神子様の身代わりに死んだことにして、讃えて、弔ってるよ」


 ルヴィニが淡々と口にしたが、その事実は残酷だった。




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