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アチラガワラジオシリーズ

アチラガワラジオ3

作者: バケツから声
掲載日:2023/12/13


イタバサミ、それは人の心と宇宙の狭間にある世界。

現実世界の何処とでも繋がっていて、何処とも繋がっていない世界。

誰もが持っていて、干渉し合わない世界。

これはそんな世界に住むジュウニンの日常



あ、お久しぶりです。ふふふ、またお会い出来ましたね。


ここは、桜の洞窟です。とても広いでしょ。

天井に桜の木が生えてるんです。

このシーズンに、ここに飛んでこれたのはラッキーですよ!

え?いい匂いがする?そうですねこの桜は毎年味も匂いも変わるんです。


人の心と宇宙の間にあるこの場所に、変わらないものは案外少ないんです。

見た目が一緒でも味が違う、味が違っても見た目が一緒。

花びら、一枚食べてみますか?どうぞ。

・・・ふふ、何の味がしますか?紅茶の味がするでしょ。甘くて、しょわりと口の中で溶けるんです。

ここの桜を毎年回収して、みんなに配るのが、このイタバサミの、このエリアに生まれたワイの役目。

これまでに会ってインタビューしたワイは、どんなことをしていましたか?

・・・そうですか、ワイの知らないワイも素敵な日々を満喫してるんですね。


今年の桜は本当にいい香りで美味しいけど、美味しくない時もあるんですよ。

そういう時は、過去の桜が美味しかったのに、とか、この桜嫌だなぁ来年は素敵になればいいのにって、思ったりもしちゃいます。

でもやっぱり、やっぱりワイは、今、この今。

今ある姿が1番好きなんです。

今を逃したら、過去には戻れない。

だから、美味しくなかった桜も、結局は向き合っているうちに好きになりました。無理に好きになる必要なんてなかったんだけど。わいがそうしたかったんです。


インタビューの人は、今が好きですか?

ありのままの自分は嫌いですか。

ワイは今まで、散っていく桜を止めることもできなかったし、蕾を咲かせる桜を止められたこともないです。

どっちも、無かったことにすることはできなかったです。

ワイの中で確かに存在してた歴史だったから。

ワイは生まれた頃からここに居て、桜を見てきました。

ずっと、ずっとそばで。もしかしたら結構古株のジュウニンだったりするのかも。

ワイはきっと、この桜と一緒に枯れていくんですね。


インタビューの人がここにきてくれた事、ワイはすごく嬉しいです。


真ん中の湖が見えますか?あの湖は枯れたことも濁ったこともあるんです。一生懸命話しかけてたら、今はあんなに綺麗になりました。また濁るだろうけど、きっともう大丈夫。


洞窟の壁の光る石は、定期的に交換するんです。溶けたクラゲの液をかけると、光るんですよ。


天井の桜の木々は、少しずつ植えていきました。これにもクラゲの砂を使うんです。


ふふふ、クラゲは万能なんですよ。お星様かけらの粉とか、お花をすりつぶして混ぜたら、ワイたちの傷薬にもなります。


おっきい傷?ああ、足ですか。痕は消えないかもですね。


ワイは心から作られる存在だから、ワイのことを殺そうとするジュウニンも、居ないことはないんです。


インタビューの人も、きっと自分を傷つけたことはあるでしょう。


心に怪我を負うって、きっとこういうことなんだなってワイは思ってます。


あ、そろそろ時間なんですね。


会いにきてくれて、ありがとうございました。


あなたの心を愛してるジュウニンがいること、忘れないでください。


いい夢を。いや、いい命の旅を。

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