書きたいところだけ
掲載日:2022/06/23
「もしかして、家出少女のよくある言い訳だと思ってますよね?」
「…?」
まあそうだ。保護された少年少女はよくそう言う。親のせいにしたいのだろう。
「…最後にひとつ、聞いてもいいですか。」
少女はじっと己の手を見つめたまま呟いた。
「人を、殺したことって、あります?」
「あるわけないじゃないか。」
言葉が口から飛び出した。あまりの速さに自分でも驚いた。
「そうですか。」
ため息をつかれたような、鼻で笑われたような。
この子は人を、殺したのか?
「人を、」
「いじめがあったとします。」
…なんだ、急に。
「友達がいじめられていました。あなたは見て見ぬふりをしていました。」
中学生のとき。いじめがあったな。学級内で。
「その友達はいじめに耐えかねて自殺してしまいました。あなたは何もしていない。」
「これって、友達、殺してますよね?」
嫌な記憶が一気に呼び起こされる。
「…ああ。いや、自殺だ。」
「もし私が父に虐待されていたのが本当だったら。もし私が父の拳で死んだら。あなたが殺したことになりますよね?」
「だって父の元に送り返したのはあなたがた警察だもの。」
「私は逃げてきたのにね」




