三国志演義・赤壁大戦~三江の大殲滅~【孫呉の章・中編】
はじめに:この台本は故・横山光輝氏、及び、吉川英治氏の著作した三国志や各種
ゲーム等に、作者の想像を加えた台本となっています。その点を許容で
きる方は是非演じてみていただければ幸いです。
なお、人名・地名に漢字がない(UNIコード関連に引っかかって打てな
い)場合、遺憾ながらカタカナ表記とさせていただいております。何卒
ご了承ください<m(__)m>
なお、上演の際は漢字チェックをしっかりとお願いします。
また、金銭の絡まない上演方法でお願いします。
ある程度はルビを振っていますが、一度振ったルビは同じ、または他の
キャラのセリフに同じのが登場しても打ってない場合がありますので、
注意してください。
三国志演義・赤壁大戦~三江の大殲滅~【孫呉の章・中編】
作者:霧夜シオン
所要時間:約50分
必要演者数:8人(8:0)
(7:1)
※これより少なくても一応可能です。時間計測試読の際は人で兼ね役しました。
はじめに:この台本は故・横山光輝氏、及び、吉川英治氏の著作した三国志や各種
ゲーム等に、作者の想像を加えた台本となっています。その点を許容で
きる方は是非演じてみていただければ幸いです。
なお、人名・地名に漢字がない(UNIコード関連に引っかかって打てな
い)場合、遺憾ながらカタカナ表記とさせていただいております。何卒
ご了承ください<m(__)m>
なお、上演の際は漢字チェックをしっかりとお願いします。
また、金銭の絡まない上演方法でお願いします。
ある程度はルビを振っていますが、一度振ったルビは同じ、または他の
キャラのセリフに同じのが登場しても打ってない場合がありますので、
注意してください。
●登場人物
周瑜・♂:字は公謹。
呉の前主、小覇王孫策と同年代の若き英傑。孫策の臨終の際に軍事を託
され、水軍都督として日夜強力な水軍建設にあたっている。
非常な美青年で美周郎とあだ名される。
妻に当時絶世の美女、江東の二喬と謳われた小喬をもつ。
音楽にも堪能で当時の歌にも、「曲に誤りあり、周朗(周瑜)顧み
る」という歌詞があるほど。
魯粛・♂:字は子敬。
本格的に頭角を現したのは孫権の代から。周瑜に推挙され孫権に仕える
。演義では割と周瑜と諸葛亮の間でオロオロしているイメージがあるが
、正史では豪胆かつキレる頭脳を持つ。
黄蓋・♂:字は公覆。
孫権の父親、孫堅の代から仕える最古参の将軍。
周瑜としめし合わせて苦肉の計を自ら引き受け、偽りの降伏を曹操に
申し入れる。
カン沢・♂:字は徳潤。
呉の参謀官の一人。黄蓋と共謀し、曹操や自軍に潜り込んできた蔡仲
兄弟に巧みに近づき、あざむく。
三国志の世界で割とターニングポイント的な役割を持った人物。
蒋幹・♂:字は子翼。
三国志演義では割と道化的な扱いを受けている。
わざと盗ませた偽りの軍事機密を持ち帰って曹操に蔡瑁を処刑させたり
ホウ統を連れ帰って連環の計を成功させる片棒を担いだりと目も当てら
れない。しかし、正史ではそのような記述はなく、ただ周瑜を引き抜く
よう曹操に命じられて単身赴いて面会するも、周瑜の忠誠心の高さを知
り、何も申し出ることなく去ったとある。
甘寧・♂:字は興覇。
もと劉表、黄祖に仕えていた武勇に優れる元・錦帆賊の頭目。
カン沢と協力し、自軍に間者としてもぐりこんできた蔡仲兄弟を
欺く。
蔡瑁・♂:字は徳珪。
荊州の豪族の中でも最大の勢力を誇る蔡一族の当主。
曹操の南進に際し、戦わずして降伏する道を選ぶ。
水軍大都督に任じられるが、周瑜の離間の計にかかった曹操の手によっ
て、副都督の張允ともども処刑されてしまう。
蔡勳・♂:三国志演義における架空の人物。蔡瑁の弟として登場し、劉備が檀渓を
渡って逃げる際と、今作の赤壁の戦いの前哨戦であっさり死亡退場とい
う散々な扱いを受けている。
蔡仲・♂:三国志演義における架空の人物。蔡瑁の甥として登場、蔡和と共に孫権
軍に偽って降伏するも周瑜にはあらかじめ見抜かれていた為、都合の良
いように利用された挙句、最後は曹操軍の本陣の背後に迫ったあたりで
甘寧に斬り殺されている。
蔡和・♂:三国志演義における架空の人物。蔡仲と同じく蔡瑁の甥として登場、
共に孫権軍に偽りの降伏をするも周瑜にいいように利用され、最後は戦
の神々に供える生贄として周瑜に処刑されている。
孫権軍部将・♂♀不問:今作は割と出番多いです。いろんな将の配下として活躍。
孫権軍兵士1・♂♀不問:黄蓋を棒で打ち据える役その1。
孫権軍兵士2・♂♀不問:黄蓋を棒で叩く役その2。
ナレーション・♂♀不問:雰囲気を大事に。
※演者数が少ない状態で上演する際は、被らないように兼ね役でお願いします。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ナレ:孫権は周瑜を水軍大都督に任じ、魯粛には陸軍を与えて全軍を指揮させる。
周瑜は戦備を整えつつ劉備、諸葛亮らと結束同盟し、長江の岸に国中の
軍船を集めていた。
周瑜:・・・霧が濃いな。敵に気づかれず進む分には良いが、敵も出てきていると
すれば、遭遇戦になっていくであろうな・・・。
先鋒の甘寧に油断せず進むよう伝えよ!
孫権軍部将:ははっ、ただちに!
【二拍】
甘寧:なに、都督から・・・おう、心得た!
初戦ゆえ、必ず勝たねばなァ。
孫権軍部将:も、申し上げます! 敵の軍船です! 曹操軍が目の前に!
甘寧:うろたえるんじゃねえ! 戦闘用意だ! お前ら、ぬかるんじゃねぇぞ!!
孫権軍部将:はっ、全船、石弓をいつでも放てるようにしておけ!
甘寧:周都督や韓当殿、蒋欽殿にも伝えろ!この旗艦を囮にして曹操軍の船団を
誘い込むぞ! 包囲戦の準備だ!!
ナレ:甘寧はあらましの指令を矢継ぎ早に命じると、船の舳先に立って戦況を眺め
ていたが、いきなり笑いだした。
甘寧:はっはははははは!! 何だあれァ!? 荊州の蛙や北国のイタチども
が、人間のふりして船に乗っていやがる! 笑止な!!
水上の戦ってのはな、こうやるんだ!! 冥土の土産に俺様の働きをとっく
り拝ませてやるぜ! お前ら、石弓を放て!!
蔡瑁:お、おのれ! 我が荊州の水軍を愚弄するか!!
蔡勳:ええい呉の漁師め、名は無いのか! 我こそは水軍大都督・蔡瑁の弟、蔡勳
である!
遠吠えをしていないで船を寄せて来い! 一刀の元に斬り捨てて、魚の餌に
してくれよう!!
甘寧:なにィ? この甘寧様を知らないだと!? いよいよ水軍のモグリだな!
腰抜けな荊州蛙の一匹め! 長江の水は井戸の中と違うぞ!!
これでも、喰らえッ!!【自分も石弓を射る】
蔡勳:うッ!ぐぁ・・・・ーーーッ!!【船から落下】
蔡瑁:さ、蔡勳ーーッッ!!
お、おのれえええええ、一気に呉の船団を粉砕せよ!!
進めェ!!!
甘寧:ヘッ、まんまと挑発に乗りやがって・・・ま、弟を討たれたから無理も
ねェか・・・よォし、曹操軍を誘い込むぞ! 漕ぐのをやめて、流れに任せ
ろ!
ナレ:霧はようやく晴れ、両軍の船は一艘も余さず見渡すことができる。朝日に
照らされる中、蔡瑁の旗艦は先頭に立って甘寧の船を目がけて進軍を開始し
た。
蔡瑁:あれだ、あの船に憎っくき我が弟の仇が乗っている! もっと早く漕げ!
甘寧を逃がすなァ!
甘寧:ふふふ、来たな・・・そろそろ周都督からも両翼に指令が飛んでいるはずだ
が・・・。 ようし、もっと引きつけろ! 網の中に誘いこめ!
孫権軍部将:申し上げます、周都督! 甘寧将軍が敵水軍大都督・蔡瑁の弟、蔡勳
を討ち取りました!
蔡瑁は現在、甘寧将軍の旗艦を深く追ってきております!
周瑜:うむ、でかした!
それにしても・・・所詮は付け焼刃の水軍、愚かな・・・。
韓当、蒋欽両翼の船団は左右から敵船団を包み込み、石弓を腹一杯食わせ
てやれ!
孫権軍部将:はッ、合図を!!
ナレ:周瑜の水上戦は、至芸の極致と言ってよかった。
蔡瑁率いる曹操軍船団はあっという間に包囲され、ほとんど前後左右から
石弓の雨を浴びた。
蔡瑁:し、しまった! 罠だったか! いかん、退けっ、退くのだ!!
甘寧:ははは、蔡瑁! 水軍大都督ともあろう者が敵に背を向けるのか!!
お前ら、船の鋭角を横ッ腹にぶつけて、木端微塵にしてやれィ!!
孫権軍部将:それッ、あの船の敵兵は全滅しているぞ、体当たりだ!!
蔡瑁:う、うぬぬ・・・次々と我が軍船が沈められていく・・・!
周瑜:よぅし決まった 舵を失った船などただの置物よ!
乗り込んで生き残っている敵兵は皆殺しにし、船は拿捕するか焼き払え!
甘寧:一人も生かして帰すな!
曹操の兵どもに我ら呉の水軍の恐ろしさを、骨の髄まで沁み込ませてや
れェ!!
蔡瑁:くっ・・・なんということだ・・・!!
お、おのれ・・・覚えておれ!!
孫権軍部将:甘寧将軍、敵が撤退していきます!
甘寧:お前ら、よくやった!! これくらい叩きのめせば上出来だ!
引きあげるぞ!!
ナレ:こうして曹操軍は初戦に出鼻を叩かれ、軍配は孫権軍に上がった。
それからしばらくは両軍共に動かなかったが、ある夜から北岸の空が真っ
赤に見えるようになった。
周瑜:魯粛、最近夜な夜な北方の空がいつにもまして赤いが、あれは一体何だ?
魯粛:何でも、曹操が急に構築させた要塞で、その規模は三百里にわたる相当な
ものだとか。
空が赤くなるのはかがり火が増えたせいだと思われます。
周瑜:ふむう・・・、よし、魯粛よ。船足の早い船を一艘用意してくれ。
偵察に行く。
魯粛:えっ、大都督みずからですか? それは危険すぎます!
周瑜:三百里にも及ぶ大規模な要塞であるなら、尚更この目で確かめねば策は立た
ぬ。「敵を知り、己を知らば即ち百戦して百度勝つ」、だ。
ここは多少の危険を冒してでも、私みずから行く必要がある。
魯粛:わ、わかりました。早速に手配します。
周瑜:船は幕で覆い隠し、笛や鼓を持ち込む。
曹操軍には、味方の将が酒でも飲んで舟遊びをしているように見せかけて
欺くのだ。
案ずるな。
ナレ:その日の夜、闇にまぎれて周瑜は、魯粛・黄蓋らわずかな将兵を率いて、
曹操の水上要塞を偵察していた。
周瑜:・・・・・ぬうう、これは・・・!
魯粛:都督、いかがなされました?
周瑜:見よ、水上には四十二の水門、更には柵までめぐらして大船は入れぬよう
になっておる。これではおそらく、水中にも杭を打っているであろうから
、船底を破られる可能性もあるぞ。
魯粛:要塞の中は小船のみで連絡を行うようになっていますな。大船はすべて
外側に配置されております。
周瑜:私以外に水上の軍法に精通している者が曹操軍にいるとは驚いた。
これほどの要塞の構想と水軍の布陣は、一体誰が考案したのだ?
魯粛:それはもちろん、荊州降参の将である蔡瑁、張允の二人でしょう。
彼らの才は決して見くびってはなりますまい。
周瑜:むうう・・・これはとんだ誤算であったわ。今日まで敵に水軍の法に通じ
た者はいないと思っていたが、その二人を始末してしまわないうちは安心
できんな・・・。
魯粛:確かに・・・都督、まだ偵察を続けられますか?
周瑜:うむ、夜明けまでもっと詳しく見ておく必要がある。次はむこうだ。
【三拍】
(・・・見れば見るほど、恐れを抱かずにはいられぬ・・・、水軍都督に
ついてもう長いが、これほどの敵はまだ見た事がない・・・。)
孫権軍部将:む・・・、! あれは!
都督、敵要塞から軍船が出てこようとしております!
魯粛:うっ、き、気づかれたか!
周瑜:よし、ここらで良かろう。
引きあげるぞ! 全力で漕げ!!
ナレ:下流へ向けて漕ぐため、その船足は著しく速い。
曹操軍の追っ手を振り切り、周瑜らは自軍本陣に無事帰還する。
しかしその脳裏に刻まれたのは、得意の水上戦にも暗雲が兆している事と、
敵軍のあまりにも強大な軍容に対する密かな畏怖であった。
それから数日後。
孫権軍部将:申し上げます。都督の古いご学友である、蒋幹と名乗る人物が訪ね
て参りました。
周瑜:なに、蒋幹が? たしか今は曹操の客として敵の陣中にいると聞いたが。
むぅ・・・・・。
【三拍】
・・・・・ッ! なるほど、そういうことか、ははははは!
諸将よ、近くへ。
・・・おそらく蒋幹は、私を説得し、寝返らせようとして来たものであろう
。
これこそ曹操へ我が策を仕掛ける絶好の機会だ。
魯粛:策・・・でございますか。では、いかがなさるおつもりで?
周瑜:うむ、後でさらに細かく指示を出すが・・・皆、耳を貸せ。
【三拍】
魯粛:おお、なるほど・・・! 確かにそれは妙計ですな!
周瑜:良いか、策の大筋は蒋幹を使って蔡瑁、張允を始末させることにある。
抜かるなよ。
では、蒋幹を通せ。
【三拍】
蒋幹:おお周都督、ご無沙汰しております。蒋幹でござる。
周瑜:やあやあ蒋幹、今はこの通り曹操軍との戦の最中だが、よく訪ねてきて
くれた。
しかし、矢に当たらずにここまで来れたのは運が良かったのう。
ひょっとして・・・曹操にでも頼まれて来たかな?
蒋幹:なっ、何をおおせられます。
都督の高名が世に知れ渡っているのを陰ながら喜び、懐かしさのあまり
こうして昔語りでもと思って訪ねて参ったのに、そのようなお疑いを
受けるとは心外です。
周瑜:はははは、いや、冗談だよ。さあ、こちらへ掛けたまえ。
今日は戦を忘れて貴公と飲み明かしたい。
【二拍】
諸将よ、今日は私の古い友人の蒋幹が訪ねてきた。出陣以来、酒は慎ん
でいたが、今日は大いに飲もうと思う。
彼は北方からわざわざ私に会いに来てくれたが、これは決して曹操の元
から来たのではないから、安心するように。
ナレ:周瑜は時にからかい、時に脅すかのような言動で蒋幹に不安を与えてい
った。更には酒を次から次へと勧め、自身も大いに酔った。
周瑜:蒋幹、酒の席はまだこれからだ。少し外気に当たって酔いを覚まそうじゃ
ないか。ついでに我が陣中を案内いたそう。
蒋幹:お、おお・・・では共に参りましょう。
【二拍】
周瑜:どうだ、この軍需物資の山は。曹操軍と戦うのに不足は無いほどだ。
蒋幹:う、ううむ、すごいものですなぁ。
周瑜:貴公とは共に学び、将来を語り合ったものだが・・・いま私は孫権様に
厚い信頼を受け、水軍大都督の任を任されている。
その大恩を忘れる事など決してありえん。ましてや、この忠誠心は揺ら
ぐものではない。ははは。
蒋幹:そ、そうですな。さすがは周都督だ。
周瑜:さあさあ、飲み直しだ。諸将よ、蒋幹にどんどん酒を勧めてくれ。
蒋幹:は、ははは・・・これはかたじけない。
【二拍】
周瑜:(ふふ・・・蒋幹め、だいぶ困っているな・・・。)
蒋幹よ、ここにいるのはみな、呉の英傑ばかりだ。我々はこの酒宴を
群英の会と称している。
宴席ではいつも私がひとさし舞うのが通例となっているゆえ、これから
お目に掛けよう。
ナレ:蒋幹はすっかり生きた心地もなく、微かに震えていた。
それを見て見ぬふりをしつつ、周瑜は剣を打ち振りながら謳い、かつ
舞い、諸将もそれに合わせて唱和した。
拍手歓声は途切れず、深夜に及んでようやくおひらきとなった。
周瑜:(蒋幹め、飲むどころではなかったであろうな・・・ふふふ)
ああ酔うた、これほど心地よく飲んで酔うたのは久方ぶりだ。
蒋幹、今宵は共に寝所で語りあかそう。
蒋幹:周都督、大丈夫ですか・・・足元が大分おぼつかないようですぞ。
周瑜:ははは、何のこれしき・・・・・さ、着いたぞ・・・う~ん・・・
。
蒋幹:と、都督? 周都督?
周瑜:・・・・・【いびき】
蒋幹:【小声】ふー・・・まるで首筋に剣を突き付けられているような一日
だった・・・。しかし、立派な態度や忠誠心だ・・・説得など無意味
か・・・。
周瑜:【いびき】・・・う、う~ん・・・蒋幹! もっと、呑め・・・!
蒋幹:!! ッ・・・寝返りか・・・【溜息】
ん・・・? あの机の上にあるのは、書類の束か・・・。
【二拍】
【小声】うっ、こ、これは、軍の機密文書ではないか・・・!
そ、それにこの手紙は・・・差出人が・・・蔡瑁じゃと・・!?
蔡瑁:「それがしが曹操に降伏したのは時の勢いに逆らえず、機を見て荊州
を奪い返すためであります。もし周都督が受けいれてくださるならば
もとの荊州の兵達に命じて内乱を起し、曹操の首を取って貴国に
献じます。これすなわち亡き主・劉表の怨みを晴らし、また天下の為
となるものです。一刻も早い返書をお待ちしております。なにとぞ、
ご賢察のほどを。 蔡瑁」
周瑜:う、う~~ん・・・・・
(ふふふ、蒋幹め・・・読んだな・・・。)【いびき】
蒋幹:【小声】(な、なんということだ! 蔡瑁は曹丞相を裏切ろうとしている
・・・! この手紙は持ち帰らねば・・・!)
甘寧:都督、都督・・・。
蒋幹:【小声】(い、いかん、見回りか・・・!?)【いびき】
甘寧:失礼します。【揺さぶりながら】都督、お目覚めを・・・。
周瑜:う、う~~~ん・・・・【あくび】
なんだ、どうした。
甘寧:蔡瑁から使者が参りました。
周瑜:なに、そうか・・・ッ? ここへ私と共に寝込んだ奴は何者だ!?
甘寧:都督の昔のご学友の蒋幹殿ですが・・・。
周瑜:何!? ・・・そうだった、思い出したわ。
ここではまずい、外で話を聞こう。
蒋幹:【いびき】
周瑜:して、どうだ・・・・蔡瑁はなんと言ってきた?
甘寧:はっ、蔡瑁は旧荊州の兵達に命じて近日内乱を起こし、張允が隙に乗じ
て曹操の首を取る手はずであり・・・
蒋幹:【いびき】
周瑜:【あくび】ううむ、飲みすぎたな。もう一眠りするか・・・。
(あとは、蒋幹が無事に逃げだせば・・・。)
【いびき】
蒋幹:い、急いで船まで行かねば・・・
【二拍】
孫権軍部将:こらっ、止まれ! 何者だ!!
蒋幹:!し、周都督の客に向かって無礼な!
わしは都督の友人の蒋幹じゃぞ!
孫権軍部将:!! おお、大都督の・・・これは失礼いたしました。
蒋幹:いやいや、お役目ご苦労じゃ。ちと酔いを覚まそうと思っての。
【三拍】
孫権軍部将:大都督、失礼いたします。
周瑜:おう、首尾はどうであった。蒋幹は無事に帰してやったか?
孫権軍部将:はっ、多少は脅してやりましたが・・・。
周瑜:ははははは! そうか。
蒋幹め、昨日からさぞ肝が冷え通しであったろう。
ご苦労、下がれ。
・・・さて、あとは上手くいくかどうかだ・・・。
ナレ:周瑜の仕掛けた離間の計は、見事に功を奏した。
蒋幹は曹操の元へ戻ると周瑜の書いた偽手紙を披露し、その内容を
信じた曹操はまんまと蔡瑁・張允を怒りにまかせて処刑してしまっ
たのである。それを探り得た孫権軍の陣営では。
魯粛:都督! 吉報ですぞ!!
周瑜:吉報? もしや、蔡瑁の一件か?
魯粛:はい、都督の計にまんまとかかった曹操は、激怒して蔡瑁らを処刑
、水軍大都督の席には于禁と毛カイがついたそうです。
周瑜:【手を一回打ちながら】
はっはははははは!!
してやったり! 蔡瑁の能力は侮りがたいと思い、蒋幹が来たのを渡り
に船と離間の計を仕掛けたが・・・これほど上手くいくとはな!
これで曹操軍など恐るるに足らぬわ!
魯粛:さすがですな周都督! 鮮やかな手際にございます!
甘寧:曹操の奴め、今ごろ気づいて地団太を踏んで悔しがってるだろうよ!
はははは!
ナレ:計が図にあたった周瑜をはじめ、孫権軍の士気は一気に高まった。
さらに諸葛亮が謀略をめぐらし、曹操軍から十万の矢を奪う事にも
成功する。こうして勝利への布石を一つずつ積み重ねていく孫・劉連合
軍であったが、その行く手にはまだまだ難関が残されていた。
そんな折。
孫権軍部将:申し上げます、周都督! ただいま曹操軍より蔡仲、蔡和と言う
二人の将が、我が軍に降伏したいと脱走して参りました!
周瑜:なに、蔡仲・蔡和だと?
・・・ふふふ、向こうから格好の獲物が飛び込んできたわ・・・!
よし、これへ連れて参れ!
【三拍】
蔡仲:お目通りいただき感謝いたします、周都督。
蔡和:我ら両名は曹操の為に殺された水軍大都督・蔡瑁の甥でございます。
叔父・蔡瑁は罪無く討たれ、我らの曹操に対する恨みは骨髄に達して
おります。
蔡仲:どうか、寄る辺なき我らに、良き死に場所をお与えください!
誓って忠誠を尽し、命をかけて働きまする!
蔡和:都督、なにとぞお願い致します!
周瑜:ふうむ、そち達があの蔡瑁の甥の蔡仲、蔡和であるか。
一族の長に死なれ、主と仰いだ曹操からは疑われる辛さ、この私にも
よく分かる。
蔡仲:で、では我らを!?
周瑜:うむ、そち達の降伏を受け入れる。誓って我が呉の為に働くがよい!
蔡和:あ、ありがとうございます! 犬馬の労をいといませぬ!
周瑜:甘寧、おるか?
甘寧:はっ、これに。
周瑜:そちの配下に属させる。面倒を見てやるがよい。
甘寧:ははっ。ではお前達、俺についてくるがいい。
【二拍】
周瑜:・・・・・ふふふ、曹操め、今度は埋伏の毒か?
そんなものは私には通用せぬぞ。
あべこべにまた煮え湯を飲ませてくれるわ・・・!
孫権軍部将:申し上げます、周都督。黄蓋将軍が参られました。
周瑜:なに、老将軍が・・・? うむ、通せ。
【二拍】
黄蓋:都督、失礼いたすぞ。
周瑜:老将軍、こんな夜更けにいかがなされたのですか?
黄蓋:うむ。
この戦、対陣が長引けば長引くほど、曹操はいよいよ北岸の要塞を
固めてしまうじゃろう。
水軍も蔡瑁、張允死せりと言えど、荊州の降参の将はまだ多い。
それらから知識を得たら、これも侮れぬものになってゆこう。
周瑜:老将軍のおっしゃる通り、私もその事で日々、密かに頭を悩ませて
いるところなのです。
黄蓋:敵は百万の大軍、味方はその十分の一もない。
この差を覆して討ち破るには、火攻めしかあるまい。どうじゃ都督
、火計の策は・・・!!
周瑜:【↑の語尾に被せて声を落として】
!! しッ、老将軍! 一体、その策は誰から教えられたものです
か?
黄蓋:【声を落として】
馬鹿を言わっしゃい。
誰からでもない。わしの頭から出たものじゃ。
周瑜:おお・・・老将軍の考えとも一致しているとあらば心強い。
いかにも、この状況を打破するには火計しかござらぬ。
黄蓋:おう、都督も同じ考えでおられたか。
周瑜:それゆえ、お打ち明け致そう。
実は先ほど、曹操軍から蔡瑁の甥である蔡仲、蔡和の二名が投降してき
ました。
しかし家族を伴っていなかったゆえ、これは偽りであると見抜きつつ、
味方にとどめております。
黄蓋:なに、では先ほど見かけた見慣れぬ将達は蔡瑁の甥であったか。
して、わざわざそうしておくわけは・・・?
周瑜:曹操が仕掛けてきた埋伏の毒の計を逆手に取り、こちらの策を仕掛ける
為です。
黄蓋:なるほどのう、さすがじゃ。それで、どのように動かれる?
周瑜:胸の内に描いているこの奇策を行うには、こちらからも偽りの降伏を
行う人物が必要になります。・・・ですが、あれこれ思案を重ねても
適任と思われる人物がおらず、悩んでいた次第です。
黄蓋:!
何を言われる。呉の建国以来、三代を重ねているというのに、
それしきの役に立つ人物がいないなどと言わっしゃるとは、都督も
お目が細い。不肖、この黄蓋もおるというのに。
周瑜:!! では、老将軍が進んでこの困難な策を遂行して下さいますか
・・・!?
黄蓋:破虜将軍・孫堅様以来、大恩を受けて三代の君に仕えるこの黄公覆
、呉の国の為とあれば、一命をささげて、少しも惜しむところは無い!
むしろ本望と申すものじゃ。
周瑜:ありがたい! 老将軍がそのお心ならば、すでに策は成ったも同然です。
では明日、私が皆を集めた際に命令を下すので、それにわざと逆らって
ください。
その後、棒叩き百回を受けていただくことになりますが・・・。
黄蓋:都督、ためらわれるな。この大戦に勝つかどうかの瀬戸際じゃ。
我が軍に潜り込んできている蔡仲らを、信じさせる程でなくてはなりま
せぬぞ・・・!
周瑜:無論です。そして、棒叩きを受けた後は・・・。
ナレ:夜中まで策を打ち合せて別れ、周瑜はひと眠りすると直ちに将達を集め
て命令を下した。その中には蔡仲、蔡和も混じっていた。
周瑜:近く、我が軍は大きな行動に出るであろう。諸将はおのおの三か月分の兵糧
を船に積み込んでおくのだ。
黄蓋:なに? 今、何か月分と言われた。
周瑜:三か月分と申したが、それがどうかしたのか。
黄蓋:無用なご命令じゃ。三か月どころか、三十か月あろうと曹操軍を打ち破
れはせぬわ! 今の内に降伏したほうが良かろうて!
周瑜:なッ何ッ!?
開戦に先立って我が君がおおせられた事を忘れたか!
二度と降伏を口にする者はこの剣をもって斬り捨てて良いと言われた事
を!! 者ども、その老いぼれをひっ捕らえよ!
黄蓋:黙れィ、周瑜!! 汝は日ごろから我が君の寵愛をかさに着て、しかも
今日までほとんど無策に過ごしているではないか!
我ら三代の宿将に何も相談せず、必勝のあてもない命令を発したとて、
なんで黙って従えるものか!
いたずらに兵を失うだけだわぃ!!
周瑜:ぬううう言わしておけば! 兵を惑わし士気を下げる痴れ者め!
その首を斬らねば、どうして軍律を正せるものか!!
ええい者ども、なぜその老いぼれにいつまで物を言わしておくか!
黄蓋:ひかえろ、周瑜!
汝ごときはせいぜい先代の討逆将軍、孫策様以来の臣ではないか!
国祖の孫堅様以来、三代の功臣であるこのわしを縛れるものなら縛って
みィ!!
周瑜:き、斬れェッ、彼奴を斬り捨てィッ!!
甘寧:お、お待ちくださいッ!! 老将軍の代わりにおわびいたします!
ですから―――
黄蓋:【↑の語尾に被せ気味に】
黙れ、若造ッ! 引っ込んでおれィ!!
周瑜:ええい、どけッ! 彼奴を斬らねばならん!!
魯粛:お、お待ちを! 老将軍は国の功臣、それに年も年です。
なにとぞ、お慈悲を!
甘寧:どうか、どうか命だけは!
孫権軍部将:味方同士で争いを起すは不吉にございます!
周瑜:はぁ・・・はぁ・・・・!!
ッ、それほどまでに言うなら一時、命は預けておく!
だが、軍法は正さねばならん!
棒叩き百回の上、陣中に謹慎を申しつける!!
それッ兵ども、その老いぼれから衣装甲冑をひっぱいで棍棒で打ちすえ
ろッッ!!
孫権軍兵士1:は、はッ!
孫権軍兵士2:【声を落として】
老将軍、申し訳ございませぬ・・・。
周瑜:打てッ、打てッ!! ためらう奴は同罪だぞ!!
孫権軍兵士1:1ッ!
孫権軍兵士2:2ッ!
孫権軍兵士1:3ッ!!
孫権軍兵士2:4ッ!!
黄蓋:【1~4の間でタイミングをはかって】
う、うぐぐぐ・・・・!!!
孫権軍兵士1:7ッ!
孫権軍兵士2:8ッ!
孫権軍兵士1:9ッ!!
孫権軍兵士2:10ッ!!
黄蓋:【7~10の間でタイミングをはかって】
ッッぐァァァッッ!!!
ナレ:棍棒を持った獄卒は、容赦なく左右から裸に剥かれた黄蓋の背を打ち据
えた。皮膚はあっという間に破れ、鮮血は流れて白髪を染める。百近く
になる頃には、打ち据える兵達もへとへとになるほどであった。
孫権軍兵士1:きゅうじゅう、さんっ・・・!
孫権軍兵士2:きゅう、じゅう、よんっ・・・!
黄蓋:っ・・・・・ッ・・・・・!
孫権軍兵士1:きゅう・・じゅう、はち・・・っ、
孫権軍兵士2:きゅうじゅうっ・・・きゅう・・!
孫権軍兵士1:ひ、ひゃく・・・・っ・・・!
孫権軍兵士2:はぁ、はぁ・・・はぁ・・・!
黄蓋:ぅ・・・・ぐ・・・・っ・・・・・・。
周瑜:・・・・ッふん、思い知ったか・・・!!!
【二拍】
魯粛:い、急いで介抱するのだ!
甘寧:老将軍、気を確かに・・・!
孫権軍部将:医者を、医者を早く呼べッ!
ナレ:周瑜と黄蓋の体を張った芝居は、見事に諸将を欺いた。
敵を謀るにはまず味方から。
この一件から数日間、黄蓋は寝所で棒叩きの傷に呻く日々を送っていた。
諸将が入れ替わり立ち替わり見舞う中、一人の男が密かに訪れた。
呉の参謀の一人、カン沢、字は徳潤である。
孫権軍部将:黄蓋様、カン沢様がお見舞いに参られました。
黄蓋:なに、カン沢が・・・? 通してくれ・・・。
カン沢:老将軍・・・、ご気分はいかがですか?
黄蓋:よう来てくれた。誰が来てくれたより嬉しい。
カン沢:あ、無理に体を起されては・・・。
黄蓋:かまわぬ・・・良いのじゃ。
カン沢:しかし老将軍、周都督から何か恨まれることでもあったのですか?
黄蓋:いいや、なにもない・・・。
カン沢:それにしては、あまりに苛烈すぎはしませぬか。
理に合いませぬ。
・・・まさかとは思いますが、何かの計略では・・・?
黄蓋:しっ! 静かに・・・!
そうじゃ。あれは周都督と示し合わせての事なのだ。
して、どうやってそれを察したのじゃ?
カン沢:日頃のお二方の交わりに、あの度を過ぎた責め方を思い合わせて、
実はある程度察しておりました。
黄蓋:さすがカン沢じゃ、よう見られた。国の為ならばこの老骨を捧げて少し
も惜しくない。ゆえに、進んで百の棒叩きを受けた。
この事を打ち明けたのはお主だけじゃ。
カン沢:おお、やはり・・・!
しかし、それほど密かに練られた策を打ち明けて下さったのは、
それがしを老将軍の懐刀として、曹操への使者とする為ではございま
せぬか?
黄蓋:そうじゃ。お主をおいてこの大役を任せられる人物は、他にはおらぬ。
カン沢:ありがたきお言葉・・・! それがしを知ってくださるものです。
黄蓋:おお、では行ってくれるか?
カン沢:それがしを信じてこの重き任を託して下さる人に、どうして背けまし
ょうか。
老将軍さえ命を投げ出しておられるのに、それがしごとき若輩が身を
惜しむなどありえませぬ。
黄蓋;ありがたい! 時期を逃してはならぬ。曹操へあてた手紙はこれじゃ。
事の成否はお主にかかっておる。・・・頼んだぞ、カン沢・・・!
カン沢:お任せ下さい、では早速・・・。
ナレ:カン沢は黄蓋から手紙を託されると密かに曹操軍へ接触、持ち前の胆力と
弁舌をもって曹操を見事に欺き信用を勝ち取ると、再び黄蓋の元を訪れた
。
黄蓋:おおカン沢、よう戻られた。
【声を落として】
して、首尾はどうじゃった?
カン沢:【声を落として】
お喜び下さい、老将軍。曹操はそれがしをすっかり信用しましたぞ。
黄蓋:【声を落として】
真か! さすがはカン沢じゃ! ようやってくれた。
カン沢:それがしだけでは信じきれなかったかも知れませぬが、途中で蔡仲、
蔡和からの報告文書を読んだ後、明らかに態度が変わりました。
互いの話が一致していた為、曹操も疑う余地なしと信じたのでしょう。
黄蓋:そうであったか・・・そうじゃ、甘寧の部隊へ行って、蔡仲らの様子を
見てくれぬか? 甘寧にも一連の事は教えておいた方が良かろう。
カン沢:承知しました。都督への報告はその後に・・・。
ナレ:カン沢はその足ですぐ前線の部隊へ向かった。甘寧は突然の来訪に、
いぶかしげな顔をして迎えた。
甘寧:カン沢殿か。・・・何か用ですかい?
カン沢:うむ。
【声を落として】
実は蔡仲、蔡和の事なのだが・・・、あの二人は偽って我が軍に降伏
してきた連中なのだ。
甘寧:【声を落として】
なに!? ちっ、道理でこそこそしてやがると思っていたが、やはりか
・・・で、どうする?
カン沢:【声を落として】
周都督や黄蓋殿が彼らを使って曹操を罠に掛けようとなされている。
先日の刑罰もその一環なのだ。
甘寧:【声を落として】
! そういうことだったのか。
で、俺に打ち明けたって事は、何か頼みたい事があるんだな?
カン沢:【声を落として】
うむ、すでにそれがしも曹操と通じている事になっている。
貴公にも協力してほしいのだ。
甘寧:【声を落として】
なるほどな。つまり、俺も周都督に不満を持って呉を裏切ろうとして
いる事にすればいいわけか。
カン沢:【声を落として】
そうだ、頼む。
・・・っと、噂をすれば例の二人だ。
甘寧、うまく話を合わせてくれ。
【わざと聞こえるように】
聞いてくれ甘寧、近ごろ愉快な事は何もない。周都督の知略は我々
だって十分に尊敬しているが、それをかさに着て傍若無人な態度を
取るのは本当に気に入らん。
甘寧:また本陣でなにかあったのか。軍の中枢で毎度そんな事があっちゃあ、
やってられんな。
カン沢:議論だけならいいが、周都督は大勢の中で平気で罵り辱める。
実にけしからん。まったく、我慢ならん。
・・・甘寧、ここは人が来る。ちょっと顔を貸してくれんか。
甘寧:おう。愚痴なら俺もたまってたとこだ。お互い吐き出そうじゃないか。
ナレ:陰で様子をうかがっていた蔡仲、蔡和を意識して誘うかのように、甘寧
とカン沢はそれから何度も人無き所で密かに会っては、わざと不穏な
相談をしていた。
そしてある日。
甘寧:それでだ。他にも誰か語らって暴動を起こして、それを手土産にしよう
と思っていたところだ。
カン沢:ふむ。その混乱をついて、それがしと老将軍で周瑜の首を取り、
曹丞相の元へ向かう、というのはどうだ。
甘寧:おお、そいつは妙案だな!
!!? 誰だ!!
カン沢:何者だ!!
ッ、蔡仲に蔡和ではないか!
聞いたろう、我々の密談を!
甘寧:くそっ、聞かれたからには生かしてはおけんな・・・!
蔡仲:お、お待ちを! 実は我ら兄弟は曹丞相から密命を受け、偽って降伏し
たのです。
蔡和:決して絶望なさる必要はありませぬ。お二人の話は聞かせていただきま
した。我らは味方です。
甘寧:な・・・そ、それは本当なのか!?
カン沢:ああ、それを聞いて安心した! 貴公らの降伏がすでに曹丞相の遠大
な謀略の一端であったとは、夢にも思わなかった・・・!
甘寧:これこそ、曹丞相が天下を治める前兆だ!
よし、これからの事も含めて、酒を酌み交わしながら語ろう!
蔡仲:ではさっそく、この旨を報告しておきます。
蔡和:ご両所とも、これからは共に力を合わせ、曹丞相の元で働きましょうぞ
!
カン沢:うむ、これでそれがしも生きがいを大きく持てるというものだ!
(ふふふ・・・愚かな。渦の中心にいるとかえって周りは見えぬもの
だが、ここまで盲目だとすがすがしいものがあるな。)
ナレ:相手の裏をかけば、また更にその裏をかかれる。
兵法の玄妙は、この極まりないやり取りにあると言ってよい。
その奥義も知らず、眼力も持たぬ者が下手に計の尖兵を務めると、かえ
って敵に絶好の隙を与えてしまう結果となる。
曹操と周瑜の謀略の応酬は、周瑜に軍配が上がりそうであった。
そして、一度は周瑜の元から北岸へ逃げ去ったあの人物が、再び彼の元
を訪れようとしていたのである。
END【後編に続く】
おはこんばんちわー、作者のシオンであります。
・・・1年かけて書き上げた各陣営から見た赤壁の戦い、その孫権軍サイドからのうp第二弾となります。
例によって、間違いなく初心者向けの台本ではないですね、ええ(;´Д`)
もしツイキャスやスカイプ、ディスコードで上演の際は良ければ声をかけていた
だければ聞きに参ります。録画はぜひ残していただければ幸いです。
ではでは!




