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恵理子の無想

 書きたいから書いた

 ついに本編と関係無くなったので読み飛ばしておけ

 今日の配信終了っと。

 VRヘッドギアを外して、すぐにハウジング企画の告知や動画編集作業に取り掛かろうと思ったけど。


「にゃ、えりこがもどってきました!」


 ん? 莉緒の声?

 いつも聞いてる声よりも子供っぽいような動物っぽいような……そうだった!


「おかえりです。うにゃにゃ」


 この子、三毛猫の耳と尻尾が生えた体長23センチの莉緒は、早い話私のペットである。

 一言で語れば、食べちゃいたいくらいかわいい。


「遅くなってごめんね、莉緒一号。いい子で待っててくれた〜?」


「そんなことより、やくそくのじかんからななふんのおくれですよ。でもたかいたかいとなでなででゆるしてあげます」


 うー、これは手厳しい。莉緒一号は原物の莉緒と似て時間にうるさい猫種だからねぇ。


「ぐへへへへ。たかいたかーい」


「にゃにゃ、これだいすきです!」


 とりあえず、ふくれっ面になっていた莉緒一号を持ち上げてご機嫌にさせた。


 あぁ〜いい。軟体動物みたいな掴み心地がたまらないよぉ。

 拾って下さいの箱の中にいた時からぐんぐん成長してるね〜。およ、意外と胴長だ。


「ずるいですよいちごう! わたしもたかいたかいしてください!」


 きみは莉緒二号!? ウチ二匹も飼ってたっけ?

 何故か記憶があやふやだったけど、この悪魔的なかわいさに比べたらどうでもいいよね。


「じゃあ交代だよぉ。おいで〜」


「みぃ~、いまいきます」


 てちてちと音をたてて歩み寄って来る構ってちゃんな莉緒二号……か、かわいいっ! 悩殺される!

 たかいたかいだけとは言わず、もっといろんな遊びでキャッキャグヘヘしたいなぁ。


 あれ? なんだか脚に誰かが乗っかってる感覚がする。


「えりこのふともものうえ、おもちみたいにぷにぷにしててしこうのねどこです……」


「ぎゃあー!! ぷにぷにだなんて言われたら私ショックで死ぬ!」


 ものぐさで、人の心をクリティカルで抉って来る莉緒三号がいつの間にやら私の膝の上で丸くなっていた。


 私ダイエット成功したはずだよね!? でも眠たがりな莉緒三号のためならいくらでもぷにぷにボディになってあげるねっ。


「うにゃー! あらたにあみだしたひっさつわざ、うけてみてください!」


 ウチ四号までいた!? 必殺技以前にうにゃーだなんて尊死んじゃうよぅ……。


 わんぱく盛りなこの子は身軽な跳躍力を駆使して一気に私の肩まで登って、手を振り上げていた。


「ひっさつ、りおぱんちー!」


「ぐへ〜」


 効果はばつぐんだ。

 ほっぺに当たった肉球がぷにってなって、思わずだらしない声が溢れちゃった。


「えりこ、ごはんです、ごはんをください」

「げーむはおしごとなのはわかりますが、おべんきょうもしなきゃだめですよ」


 食いしん坊の莉緒五号に、勤勉な莉緒六号。


「ひぐっ……えりこぉ……はちごうがわたしのしっぽにかみついてくるんですぅ……」

「ななごうのしっぽがちょろちょろしてたからかんじゃっただけです。ねこのほんのうをせめるのはおかどちがいです」


 泣き虫の莉緒七号に、わがままな莉緒八号。


 なんてぐへへな莉緒ハーレム。

 ここは天国だったかな? ちっちゃい莉緒がいっぱいいるだなんて天国どころか神の国だよおおおおっ!


 私の生涯に一片の悔いなし。


「えりこにずっとやしなわれるのはわたしです」

「いいえわたしです」

「わたしですむにゃむにゃ」

「わたしいがいにゆずれません!」

「ごはぁん」

「なにはともあれわたしですから」

「わたし……わたしをえらんでくれますよね……?」

「なきおどしはひきょうですよどろぼうねこ!」


 突拍子も無く私の取り合いの喧嘩が始まってしまった。

 尻尾が絡み合い、威嚇をし合い、てんやわんやの大狂騒に。みんなまとめて養ってあげるのに、独占欲強過ぎて参っちゃうなぁ。


 でもどの莉緒もかわいいなら問題無しっ! みんな違ってみんな莉緒!




「私のために争わないでぇ〜。ぐへぇへへへへへへへへへ」


「えりねぇはよ起きろや遅刻するで」


 夢から醒めてみれば、妹の良子(よしこ)に布団たたきで起こされていた。

 虚無感が凄い。


 でも夢だとしても続きを見ていたい幸せ全部乗せな夢。

 よし、もう一回寝てみればまた莉緒猫ちゃん達に会えるかも?


「……なにこの赤い染み。全部私?」


 ベットをよく見てみれば、天国じゃなくて鼻血の池地獄でした。



●●●



 やっと休み時間になったけど、莉緒はどうしてるかなぁ。


「す……す……」


 莉緒は寝顔も寝息もクールビューティーだった。


 またゲーム疲れがどっと来てるんだね。ゲームはキリが良くなる辺りで終了してるメリハリがありそうなタイプだけど、それでも高確率で夜遅くになっちゃうみたい。

 でも莉緒って勉強しなくても平均点やや上は維持出来るとかいう超特技があるから成績の心配はしなくていいけどね。


「つんつん」


 ぐっすりの莉緒のほっぺたに人差し指でつっついてみた。


 仕方ないよね、だって私みたいなぐへへな人間の前で寝てるのが悪いんだもん。

 待って……もしこのまま次の授業まで寝ていたら、こういう学校生活じゃお約束の「起きないとちゅーするぞ☆」が出来るかもしれない。ぐへっへ〜いよいよ興奮してきましたん。


「んっ……」


 りおほっぺの柔らかさに浸ってると、莉緒がちょっとだけくすぐったそうな声をあげた。


 それだけならいいんだど……私の指を咥えちゃってるのはどういうことかな? 理性をぶっ壊したいのかなぁ?


「あむっ……むっ……」


 とか何とか考えていたら、たたみかけるように口の中の指を舐めにかかってきた。

 ちょえ!? なにこの舌遣い、哺乳瓶飲んでる赤ちゃんじゃん!

 あやばっ、鼻血ぶっかけそう。


「むみゅ……」


 しかも甘噛のコンボまで使ってくるとか、一体どんな夢みてるのか覗き見したくなるよぉ。


「みひゃっ!」


 甘噛がガチ噛みになってたから痛くて指を引っこ抜いちゃったけど。

 あとそれ以上に周囲からの視線も痛い。

 風紀を乱している変質者を見るような目が全方向からグサグサ刺さってくる。


 だけど……指先についた粘っこい感覚がそれを忘れさせる。


「莉緒の唾液。ぐ……ぐ……」


 莉緒が咥えた私の指を舐めるか舐めないか変態なことに葛藤中。

 やるとしたら手を洗いに行くフリをする作戦かな? ダメダメ、隠れて風紀を乱すにしても、仮に誰かに見られたら末代までの恥になりそうだよこれ。


「恵理子……」


「ひゃい! って寝言ぉ……」


 急に名前呼ぶからやましい考えが見透かされたかとビックリしたよ。

 でも寝言で私の名前をはっきりと……あら^〜。


「どこにいるのですか……恵理子ぉ……」


 寝言に耳をすませてみると、不安がっているような声色が混ざっていた。

 ううーん。もしかして暗い所で一人ぽつねんってなっちゃってるシリアスな夢とか? それで助けを呼んだ人物が私ということは……はわわぁ、私ってちゃんと莉緒から慕われてるんだね。


「はいはーい。恵理子はここにいるよー」


 寝言に返事してはいけない的なマユツバがあるけど、寂しがり屋な莉緒のために思い切って返事してみた。


「はぁ、なんだいるのですか」


「ひどっ」


 反応が辛辣。嘆息までつかれたし。

 というか寝言と会話してる状況に誰かツッコんで欲しい。


「……むぁあ、そろそろ授業ですね。どうしましたか恵理子」


 莉緒が背伸びをしながら体内時計に従って目を覚ましていた。

 夢のことなんか頭からこぼれ落ちてるような感じで、どうしてなのかこっちを不思議そうにじっと見ている。


 あそうか、見てるのは私のよだれ付きの指だね。もしバレたらあらぬ誤解と引け目が一生ついて回りそう。


「う、うん、莉緒と遊んでたよ」


「私とですか? 記憶にないのですが、おちおちと遊んでる時間ではありませんよ」


「はーい」


 一段とキビキビしてる莉緒に窘められた。そして私の着席の方は紙一重の差で間に合った。


 莉緒、下手したらファンクラブでも結成されそうな性癖詰め合わせ型の美人さんなのに絶対外見以外の部分で損してるよ。私は得してるけど。


 ところで莉緒の寝顔、10年くらい前はどんな感じなんだろう。

 今とは打って変わって無垢無垢なかわいらしさ全開なのかも。


 はぁあ、莉緒と幼馴染みになりたかったなぁ。来世で転生する時は神様に頼み込んで莉緒と幼馴染み設定にしてもらおう!

 莉緒はネコ

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