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村へ襲撃&信じるべきは……

 ここら辺のRIO様ガチの悪役パートになるので注意

 差し替えも考えてる

 (6/14)ちょい改稿

 本日のテーマは『迎撃』としましたが、勢いで決まる序盤戦はとうに過ぎたため、無理にテーマを決めて振り回されないよう廃止にしたくなりました。


 そして、ボスさんから不穏な動きが見え隠れしてきましたね。


『RIO様気づいてた?』

『ボスが撃ちコロそうとしてたけど』

『いや、気づいててわざとやらせたんだろ』

『RIO様のことだしあり得るww』

『洞穴に放ったらかし過ぎたんかなぁ』

『解雇か眷属化した方がいくない?』


 視聴者様の言う通り、先程、明らかに銃を私に向けていましたが、本当に吸血鬼をハントするつもりだったのでしょうか。


 しかし、強張るあまり怖気づくばかりよりは、野心を募らせるほど士気旺盛の方が交戦時において役立ちます。

 真意はどうあれ、気づかなかったことにしてあげましょう。


「皆様は十分間ここで待機して下さい。私は闇に紛れて戦力調査を行います」


 アーカン村に冒険者ギルドは無く、面積もそれほどではないので。調査といってもほぼ往復するだけです。


「へいっす」


 代表して返事したボスさんは表面上なら従順でした。


 背後の様子は視聴者様が順次コメントしてくれるようですが、このままボスさんに背中を預けれていれば、土壇場にて視聴者様にだけ大盛りあがりな展開になってしまうこと請け合いです。


 ならば銃を取り上げるなりして反乱の兆しをかき消すのが善策なのか。いいえ、その逆を征きたいと思います。


 そう、信じるのです。



★★★



 村に滞在する冒険者達は、かつてローレンスで敗れた者が大半を占めており、周辺のエネミーを撃退出来る程度の戦力しか揃っていませんでした。

 単純な力攻めでも制圧可能です。今回は制圧や支配が目的ではありませんが。


「村の住民は人質として使います。可能な限り殺しは避けて下さい」


「おっかしいだろ! どーいう経緯でRIOが街じゃなくて村に!? るろろろろ……」


 眷属達へ再三の指示出しをして、失禁しながら嘔吐した冒険者を斬り捨てます。

 この襲撃は迅速さが命、欲張らずに素早く終わらせましょう。

 召喚したフラインは、邪魔が入らないよう村の外を監視させています。


「逃がした村人は追わなくて構いません。住民を一人捕らえたのなら戦線を離脱し、村の中央へと連れて下さい」


 愚鈍な眷属が混じっていれば作戦破綻に繋がるので、計画をもう一度伝えましたが、眷属達は腐っても中々に優秀で、次から次へと外出中の住民を組み伏して抵抗する体力を奪っています。


『指示が的確』

『賊の頭みたいだがRIO様である』

『んな頭がいたら一秒で降伏するわ』

『蹂躪じゃなかった』

『平均的女子高生がやることじゃねえだろww』


 しかし、住民達が寝静まる夜は、外出中の者が少ないために混乱が広がりませんね。

 まあどちらでも良いでしょう。こちらはこちらの役割を全うするのみです。


「【Aランク序列1914位・寒来】! ここで会ったが百年目、貴様へのリベンジを果たしてこの雪辱をぬがあああ!?」


 聞き覚えのある通名です。

 仕返ししたいようですが、ローレンスを蹂躪した時よりも力量差は広がっていたため、大剣一閃で終わりました。


「【Aランク序列2233位・斬ッ刻子女】! あ、あのう……RIO様のふともも゛っ!?」


 私の下半部を野獣のような眼光で見つめていたため、感じた身の危険に従い一文字で撃破しました。


 こんな鎧袖一触では、次の冒険者も期待できませんかね。


「【Aランク序列70位・ギガントレット】。ふんっ!」


「む」


 これは予想以上の伏兵です。

 この冒険者の手に嵌められた重厚なグローブによって攻撃を防がれてしまいました。


 彼の装備には吸血鬼の攻撃力でもどうにもならないまでの防御力があるようで、大剣を直接掴み取られた上に、止む無く変形させ形が崩れた瞬間、遥か後方へと投げられてしまいました。

 もしかすれば、白刃取りのようなスキルでも使って止めたのでしょうか。


「尋常ならざる手合いですね。これならどうでしょうか」


 武器を失ったため、横蹴り、肘打ち、ハイキック、様々な格闘攻撃を試みます。

 しかし素のSTRだけとなっているために、どれもダメージが通っているとは言い難い結果でした。


 削りきるまでにあと何十の攻撃を要するか。たった一人に時間をかけていれば危ういです。

 武器での攻略なら、後ろの人に託しましょう。


「ボスさんに命じます。この冒険者の頭部目掛け、私ごと撃ちなさい」


「へっ?」


 突飛な指示なために、素っ頓狂な声を出して呆気にとられているボスさん。


 ボスさんの小言や、密かに反目していることはお見通しです。

 なので私公認の元に攻撃させましょう。

 裏切りの危険性がある駒を使い続けるよりも、一度お望み通り殺しにかかるよう仕向け、更なる力で再度屈服させれば、歯向かうだけ無駄だと悟って当分は裏切らなくなります。

 今がそれを示せる好機です。


『オーノー! RIO様が壊れた』

『自分からフレンドリーファイアさせるよう命じるとかww』

『自己犠牲の極み』

『あの銃の火力は頭が粉微塵になるほどだぞ』

『RIO様のDEFじゃ死ぬwwwww』


 視聴者様は、他者への信用がいまいち足りていませんね。

 ボスさんは未だ葛藤していたので、背中を押す一言を投げかけましょうか。


「私を殺ってみたかったのでしょう? この機会を無為にすれば、名実共に臆病者の看板を背負うこととなるでしょうね」


「RIOめ、なにを企んでいる! ふぐぐぐ……こやつの膂力……!」


 この冒険者のSTRはお決まりのようにそれほどでもなかったので、私自身が取っ組み合えばそれだけで身動きがとれなくなりました。


 さてボスさんは……ようやく腹をくくりましたね。

 私と冒険者が両方貫けるように照準を合わせていました。


「くうぅっ! 撃てと言われたから撃つんだ、頼むから恨むなよ!?」


「はい。どうぞ」


 こちらもよく狙われやすいよう、頭を冒険者の直線上に重ねます。


「食らいやがれっ!」


 そしてボスさんの指が動き、銃口が光り、弾が放たれました。


「へぎっ!!」


 眼前の冒険者は、あの防御力を以てしても銃撃には耐えられず、急所である脳髄を破壊されたようで即死しました。


 一方私は、後頭部から触られる感覚がしたために撃ち抜かれてしまったらしいのですが、意識や足の力は維持しているままです。


『HPゲージが……あれ?』

『RIO様が生きておられるぞ!』

『原理は知らんが耐えとるww』

『なんでや?』

『吸血鬼すげぇ』


 HPだって、少ししか減っていません。


「ガチで殺る気で狙撃したのに、ピンピンしてやがる……。不死身のバケモンだろ……」


「これで満足して頂けましたか? さあ、続けましょう」


 減ったHPは冒険者から《吸血》し、また別の冒険者に向けて駆け出しました。


 ……私が信じたのは、ボスさんが扱う銃の製造者であるパニラさんです。


 攻撃力抜群の武器を私の配下であるボスさんに売るのは、私達の戦力増強のためならば間違いではありません。

 しかし、それは私の寝首を掻く力を与えてしまうリスクが存在します。

 気性の激しさを秘めた配下がそこまでの力を手にすれば、上の者に背くということは現実の歴史が証明しています。


 思慮深いパニラさんなら、そこの重大な欠点を見落とさないはずです。

 あのような形式で確かめさせて頂いた結果、ボスさんの銃は対人専用兵器であり、対吸血鬼へは威力が著しく減衰すると発覚しました。


 パニラさんの才能やIQ、教養は、毎度戦慄させてくれますね。


「村の冒険者一団は沈黙しました。総仕上げです」


 投げられた武器を拾い上げた後、私も目ぼしい住民を見つけ次第連れ去り、眷属達が囲う中央へと向かいました。



―――――――――――――――


《レベルが63に上がりました》

《カルマ値が下がりました》

《冒険者ギルドから懸けられた賞金が1985万イーリスへと修正されました》

《冒険者ギルドから懸けられた経験値が18,266,445へと修正されました》


―――――――――――――――



 もうじきレベル上限に達してしまいますね。まあ今日中にレベル65にする予定なので一向に構いません。


「ひえええええっ!!」

「ば、化け物おおおおお!」

「お助けぇぇ……」

「ワシらをどうするつもりなんじゃあ!」


 ふむ、捕えられた数はおよそ五十名ですか。

 多すぎず少なすぎず、老若男女混合でまずまずの人数なら冒険者ギルドも動くはずでしょう。


「この世の邪悪に無知な方々へ自己紹介を行います。私こそが、壊された日常を更に壊す吸血鬼のRIOです。あなた方全員は今より私の人質で、冒険者をおびき出すための餌なのだと、よく自覚して下さい」


「ひょえ……」


 集められた村人達は、それぞれ多彩な形相を見せてくれましたが、異議や抗議をする姿勢を取った者へは眷属達が睨みを利かせるため、話は進みやすそうです。

 村人の一部をあえて逃したのも、冒険者ギルドへと連絡させるためです。


 リートビュートの街を舞台にした決戦は、もう少しレベルアップしてからのお預け。今回村を襲撃したのは村や村人自体に意味はなく、救出のためにのこのこやって来た冒険者をねじ伏せ、種族進化の経験値にするというシナリオのためなのです。


「最初に、生殺与奪権は私だけにあり、私こそが此度の主役です」


 これは村人達だけが対象ではありません。

 どちらかというと、今にもつまみ食いしようとよだれを垂らしている眷属達や、自分だけはまともであろうと村人達へペコペコ謝って責任逃れをするボスさんに対して言い聞かせたのです。


「次に、私が定めるルールに従って頂きます。基本的には指示通りにさえ動いてくれれば十分ですが、もしルールを破った者が出たのならば……」


 破った者を処刑します。


 そう言いたかったのですが、それでは陳腐な盗賊や山賊程度の悪役度にしかならず、私の配信者としての格が落ちてしまいそうです。

 もう一捻り、視聴者様への娯楽にもなれるよう、より緊張感やハードさが否が応にも降りかかるようなアイデアが欲しいところです。むむむ……。


 閃きました。


「ルールを破った者が出たのならば、破った者以外全員を平等に処刑します」


『……え?』

『ええええええ!』

『ワイ思考停止寸前』

『ルールとしておかしいわw』

『RIO様ストイックやなぁ(諦観)』

『どこぞの鬼軍曹かな』

『この吸血鬼あべこべな発想ばっかりだwwwww』

『どうだ皆の衆、これが頭のネジを自分から外しまくったRIO様という御方だぞ』

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― 新着の感想 ―
[一言] 全員で破るという考えが出なければ、自分たちで監視させるのに最善の手!
[一言] やべーやつかな? いや最初からやべーやつだったわw
[良い点] つーかパニラさんが天才すぎん?
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