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取り込み&決戦の前に

 誤字報告有り難いです……!

 作者が頭悪いのがバレそうでおずおずしてますが。

「ギャフッ!!」


「や、殺りやがったぞこいつ!」


 挨拶と同時に速攻で一人目を射殺し終えました。しかも相手側は未だ度を失っているなんて、意表を突く策の効果は絶大のようですね。

 リクエストしてくれた視聴者様は偉大です。悪感情は増加しましたが。


「なんだかわからんが、敵だってのは確かだ! 早く撃て撃て!」


「は、はいす!」


 おや、伝染する混乱を収束させながら指示を出す者が一人いますね。それがリーダー格の者だったら標的にするのは最後にしなければいけません。


 次に掃射するターゲット達を決定した辺りで相手は全員銃を用いて応戦し始めたため、またコメントを読み上げましょう。


「このへなちょこなびーびーだんでりおをうちころすきあるの? ロリコンのへんたいさんたち♡」


 あ、自然と殺意が湧きますね。


 ……とにかく敵に集中です。視聴者様が下さった私への試練なのだと解釈すれば、平均的女子高生としてはしたない行為も乗り越え甲斐が湧いてきますから。


「RIO!? こいつローレンスに襲来してきたって噂のRIOなのか!? こんなんが!?」


「知らん! どのみち殺らなきゃ殺られるぞ!!」


「でも……何度も何度もぶち抜いてるのに死なねぇんですよボス……。ほげえっ!?」


 二人目三人目四人目……、こちらも眼への被弾だけは避けつつ順に射殺します。

 彼らが銃を用いるのはつまり、銃弾の入手経路を存じていると意味するので、ここで全弾使い切るつもりでひたすら攻め立てましょう。


『カオス』

『銃撃戦の雰囲気じゃねえww』

『ワイらオタクもズキューンと撃ち抜かれたわ』

『ちゃんとセリフ通りにしてくれるRIO様健気』

『名演技』

『これぞメスガキ』

『出落ちで終わらないとこRIO様メスガキの才能あるよwww』

『あぁ、分からせたい……』

『↑分からせるってお前死ぬぞ』

『よっしゃ。後は「ざぁーこ♡」って連呼するだけでいいぞ』


「ざ、ざぁーこ、ざぁーこ♡」


 そのまま視聴者様の指示通りの言葉を――色々と気力が抜けているため壊れた機械のように繰り返しながら演じ、そしてボスと呼ばれた者一人にまで追い詰めました。


 さあ、魔装爪にでも変形させて、残り物の喉元に爪先を突きつけましょう。


「ヒャ……こっ降参だ……」


 渦巻く竜の入れ墨を腕に彫っているのにこの尻込みようですか。

 「ざぁーこ♡」だなどと煽り立てているだけとしか思えないセリフも、この人の目線では会話が通じない理解不能な化け物と捉えられたようで望外の僥倖です。


「一つ目、生存している構成員はこの場にいない者含め何人いますか?」


 腰を抜かしているボスとやらに、演技を止めて残存戦力を吐かせます。


「もういねぇ。あんたが全員殺っちまった……」


 ふむ、名のある割に人数が少ないですね。なんだか儚さを感じます。

 もう本題に入っても不都合は無いでしょう。


「二つ目、要求に移ります。あなただけは生かすので、組織ごと私の支配下となりなさい」


 少女の姿のままですが高圧的に勧告しましょう。


「そ、それが目的かよ! じゃあ俺の部下達は……!」


「その点に関しては眷属化で解決させるため心配いりません。当然あなたに拒否権は無いので、はいかはいかで答えて下さい」


「はい……もうRIO様には逆らいません……」


 観念し、一つ返事で降伏したようです。

 この聞き分けの良さ、RIOが現れた時から半ば諦めていたのでしょうね。


『またやりやったぞこの人』

『鬼畜』

『配下配下で答えて下さい(空耳)』

『視聴者へのサービスを怠らずに片付けやがった……』

『吸血鬼なのに銃撃戦の適正まであるとわ』


 こうして思うと、吸血鬼ってかゆいところに手が届いて便利ですね。

 銃弾程度ではいくら人体の急所を貫かれても死にはしませんし、手っ取り早く戦力吸収するために殺し過ぎても実質損害ゼロです。


「とんだ厄日ってもんじゃねえ……。そんで俺に何させるんだ。まさか冒険者ギルドに楯突けってんじゃねえよな……?」


「そのまさかです」


「うおおおい!! いくらRIO様がついてても無理だ! 大声で言えねぇが、あいつらは反則級に強いし、人の心もねぇ外道集団だ。そいつらのせいでローレンスがあんなザマになってるのはRIO様も知ってるはずだ!」


 ボスさんは恐ろしいものでも見たかのような面持ちのまま首を横に振っています。

 従う気があるようですが、戦局を見極められるが故にこうも反対してるのでしょう。


「冒険者ギルド、頭目のあなたですら震え上がるほどなのですか」


「ああそうだ。俺ら……もう俺だけか、『ドラグニルファミリー』は、冒険者ギルドに頭下げまくって存続だけは許されてるんだ。組織の規模はここまで縮小されちまったけどよ、命脈を保つにはそれしか無かったんだ」


 ボスさんの苦々しさが強調された顔からは、諸行無常の儚さがより伝わってきます。

 ですが、こんな反社会的勢力は細々と生き延びてる辺り、冒険者ギルドの正義とやらはたかが知れてますね。


 感傷に耽るのはここまでです。


「今宵、この街は滅びます。人民は明日を願いながら逃げ回り、支配者は私の手によって討滅される。今もまだ皮算用かもしれませんが、一歩でも現実に近づけるためあなたの力を借りたいのです」


「エッ、俺ェ!?」


 仰天したかのように自分に指をさすこの人ですが、調子づかせるのは好ましくないですね。


「おっと、ただ導かれるまま何となく選んだだけなので思い上がらないで下さい。ですがこれ以上の救済はありませんよね? なんといっても私が築く革命の舟に乗れるのですから」


「あ、ハイ。……導かれるままって、こ、こいつにか!?」


「RIO様、アト一人トナリマシタ……」


「ギギギギ……」


「血と肉こそオレの好物だったんダ……」


 おお、これはかなり優秀ですね。ここまで上手に身を隠していたあの眷属が、ボスさんの部下を私の指示なしで望み通り眷属化させていたようです。

 ここは第三の街だからなのか、――実は眷属化にも当たり外れがあるのでしょうか。


「眷属の皆様も聞いて下さい。私が不在の時は彼に全指揮権を託します。なので命じます、彼が不審な態度を見せないよう、付きっきりで監視して下さい」


「ハハッ」


「ボスゥの肉、食いたかっタ……」


 この人の護衛を兼ねて、ログアウト中の眷属の管理を実質的にボスさんに命じました。


『RIO様ちゃっかり合理に叶ったことしてるな』

『この人もRIOちゃんねるのメインキャラの一員に……』

『命を奪わず犬にさせるなんて優しいとこあるじゃん()』


 彼一人だけ始末しなかったのはこのためです。私は現実世界の都合上ワンマン体制は限界があるので、組織の長のように一定以上の指揮能力がある方を捜していたのです。

 ついでに金銭を溜め込んでそうだったら尚嬉しかったのですが、ドラグニルファミリーの装備や構成員の数から察しました。冒険者ギルドの前では、反抗する力を蓄えられぬよう誰もが貧乏でなければならないようです。


「作戦を伝えます。夜間、あなたは眷属達を率いて私の同胞を増やしつつ、冒険者ギルドへと進軍して下さい。あなた達が行動を開始したタイミングで私も別地点から動き出します」


「いやいやこいつら俺を食い殺す気マンマンだぞ! 来訪者でもない俺なんかに反冒険者の副リーダーが務まるかよ!」


「大役に緊張されてますか? 私は緊張していません。お互い力尽きても蘇るのに、命を投げ出すことに対し、どうして恐怖心があるのでしょうか?」


「死生観まで人間じゃねえ……。やっぱり本当に逆らっちゃいけねぇのはRIO様だったんだ、ガクッ」


 ふむ、今やボスさんの心境は諦観一色でしょう。これで万が一にも裏切ったりする可能性は低くなりましたね。

 この後、弾薬を予備が出来るまでに補充し、すぐ戦えるよう大剣に変形させたため、下準備はこれで締めて良いでしょう。


「さて視聴者の皆様、私は夕食やその他諸々の支度があるため、配信は中断します。今夜開かれる蹂躪の時間をお楽しみに。ご視聴ありがとうございました」


『乙』

『乙』

『ま、またな』

『従わされたボスが不憫だ……』

『うおお盛り上がってきた』

『超効率的レベリングが始まる……!』

『全裸待機はダメだから半裸待機してるね〜ぐへへ』


 皆様の高揚感がコメント越しに伝わる――気がします。


 ログアウトする前に、ボスさんに大事なことを伝えてあげましょう。


「三つ目、このやり取りは配信形式で中継されているので、すぐに拠点を変更するのを推奨します。それではまた」


「えっ、えっ!?」


 反応を聞かずにログアウトしましたが、まあこの人なら上手くやってくれるでしょう。



 後はゲーム内の夜を待つだけです。


☆☆☆

 次回には掲示場回挟もうかと。

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― 新着の感想 ―
[良い点] メスガキRIO様きゃわわわわ……。分からせられたい、屈服したい……。
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