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共闘イチャイチャ宣言&無駄に洗練された無駄の無いPS

 ちょっくら世界救ってたので更新遅れました。

『エリリオが共闘宣言した!!!!』

『しかもハグした』

『ハグした上に床ドンした』

『そこからたわわエリっぱいとたわわRIOっぱいがキスした』

『あら^〜』

『距離感バグってる』

『ところで「共闘したい」の一言だけでこの会話量……?』



 あなたという人は、どこの世界でも私に対する感情表現が予測不可能です。


 私が握手のための手を伸ばしたと同時に抱きついていたので、完全に不意打ちでした。



 それとあなたのコスチュームの一部であるはずの犬のつけ耳と尻尾は一体化してませんかね? どういう原理か発情してるように激しく振っているのは、この際スルーする疑問点でしょうか。


「はふぅ〜りおりおりお〜この肌触りはやっぱりりおだよ~。ぐへへへへっ」


 なんだかエリコの知能が急落してますが、そこまで嬉しいのですね。


 ですが今思い返せば、別れ際に抱き合った時の一回限りでした。


 画面の壁と立場の壁によって待たされていたエリコです。

 私の背中とお尻に手を伸ばし、胸元に顔をうずめて鼻息を荒くして、目一杯堪能しているのでしょう。


「犬ではないのですから、もう……」


「イヌ? ぐへへへ、RIOのペットになりたいわん! はむっ」


「……躾けてあげましょうか」


 ピンときたような表情になったかと思えば耳たぶを甘噛みするなんて、いっそ清々しささえ感じます。


『まさかのわんわんプレイ!?』

『ひゃあ! ニッチですわゾ〜』

『首輪プレゼントしなきゃ……』

『エリリオは主従ってイメージはしないけれども……』

『これはこれでアリ』


 どんな犬種であれこの行為は犬であれば愛嬌たっぷりなのですが、人間がやるのはただただわいせつ行為なだけ。

 それでもエリコがしているので多少は愛嬌が出ているのが救いですけど。



「わんわんっ! 私エリわんこ、ご主人様のことが大好きないたずらっ子だわん!」


「また軽率に大好き大好きと……」


「だって大好きなんだもん、RIOも知ってるはずだよぅ」


 ほらまた、大好きという言葉を朝の挨拶のように言ってのけてますよ。

 別に嫌というわけではなくて、照れるあまり顔を合わせられなくなってしまうので困るのです。


「ともかく、配信中だという自覚を持って我慢して下さい」


「そう言われたって、私の推しを前にして我慢する方が無理だよぅ」


「お、推しですって……」


 流れるような告白によって、ついにエリコから顔をそらしてしまいました。


 変ですね、ファンを公言されるのは多々あれど、ここまで心が幸せな感触となるのはどういったバグなのでしょう。


「ふふ〜いっぱい推し〜」


 あ、顔がまた一段と近くに迫ってきました。


 そうやってあなたから至近距離で愛されていると、だんだんと逆らえなくなりそうで恐ろしくなります。


 後戻り出来なくなる前に、何とかしなければ……。


「エリコっ!」


「うげへっ!」


「あ」


 む、いけませんでした。


 つい抵抗する勢いのままにエリコを突き飛ばしてしまっていたなんて、放送事故と思われてしまったでしょうか。


「ごめん……いつもの調子でやりすぎちゃってた……」


 エリコが意気消沈し、潤んだ瞳をこちらに向けています。



 あの時の件もあり、明らかに誤解されてますね。


 私は決してしつこいと思っているのではなく、その逆の感情が暴発しただけですから、そんな目を向けないで欲しいです。



 エリコ、違うのですから。


「私だって、プチ・エリコが推しなのですから、ちゃんと推しらしい振る舞いをして下さい……」


『デレRIO様』

『尊っっっっっっ』

『尊い(遺言)』

『恥じらいスッゲヤッベ』

『これを待っていたッ!』


 配信中の自覚が無かったのは私の方でしたか。


 こんな告白の返事じみた応答、言った自分自身さえ真っ青から真っ赤になって当然でしょう。



「んん〜〜っ!」


 すると突然、エリコが声にならない鳴き声をあげては距離を詰め。


「にゃあっ!? や、やめ……」


「ぐへへっ! 両想い両推しだねっ! ごろごろにゃんにゃん」


 く、また抱きしめられました。


 しかも先程のようなダダ漏れの欲求で締め上げるのではなく、ふんわりと優しく包みこむような気持ち良さ。


 あなたというお花畑が私の頭の中にまで花を広げていて、自分の意思という意思が根こそぎ奪われそうです。


『RIO様、今にゃあって……』

『ちょっとRIO様! ミケネコミミと悪魔風ネコしっぽ生えてるぞ!』

『え、あざとっ(鼻血)』

『しかも尻尾の動きすごいことになってる(鼻血)』

『すぐスクショしなきゃ(鼻血)』

『エリコではないが鼻血(鼻血)』

『流石は血が主食の吸血鬼、視聴者席が血の海だ(鼻血)』

『まさかRIO様に対して「かわいい」を使う日がくるとわ(鼻血)』


 わわ、少女化だけでも懲り懲りだった肉体操作とは、そこまで応用が効いてしまうのですか。


 これらは自分の意思に反して作られたものなので、引っ込めようにも方法が分かりません。


 って、これでは尚更かわいがられてしまいますって。


「りおねこちゃんかわいすぎだよっ! よーしよーしいいこいいこ」


「はわぁ……」


 気づけばあなたの瑞々しい唇がもう目と鼻の先です。

 こちらからも唇を少しだけ前に出せば届きそうな距離。


 それに肌や頬との距離もこんなに近いとなると、あなたの甘えたくなる芳香が鼻に入ってなお好きに……いけません。


「もういいでしょう! そんなに誘われると困ります! ここが敵地だというのに、安心してしまいますから……」


「ぐへ?」


『デレデレRIO様ああああああああああああhhhhhhhhh』

『ン ギ ャ ワ イ イ イ イ イ゛ !』

『てぇてぇ』

『てぇてぇ』

『てぇてぇそして死んだ(事後報告)』

『あらあら、見たことのない素敵な笑顔』

『これだよ! 視聴者の求めていたものは!』

『エモ・トートイになりゅうううぅ!』

『よもやこんな魔王城の薄暗い一室がエリリオ信者の聖地になろうとはな』



 勝手に私のペットになりたがっていたエリコを馬鹿にしてしまいましたが、すみません撤回します。


 このままエリコの飼い猫になって、ずっと甘やかされて過ごしたくなったからです。


「かわいい……ずっと安心させてあげるから、私だけのRIOねこちゃんでいてね」


 というより、もうどうだっていいですよね。


「はいっ、にゃあ……」


 下らない拘りや遠慮なんて、あなたの前では邪魔なだけです。


 あなたを独占し、独占されるこの時こそ私の求めていた幸せ。


 視聴中の皆様も祝福していることですし、あなたの手つきに嬌声を出され、エリコのされるがままになってしまいましょう。




―――――――――――――――


 エネミー名:リビングアーマーLv80


 状態:普通


―――――――――――――――



 おや、エネミーらがお邪魔してきましたね。


 ですが今回ばかりは有り難く思えます。

 敵が出現したおかげで我を取り戻せました。


「そういえば私、ここのエネミーにこの部屋まで追い詰められてたんだった」


「だとは思っていました。安心なんて冗談でもしていられませんね」


 扉の手前には一体だけだと思いましたが、通路からは続々と集結している足音が騒がしいので、集団戦となるでしょう。


 それでもエリコが味方なら、何だって乗り越えに行けます。


「大丈夫ですエリコ、私に任せて下さい。これでっ!」


 敵が槍を振りかぶってくるよりも先手を打ち、まずは走り込んで体を横に拗らせて跳ぶ。

 そこから体を回転させます。


『うおおお例の魅せ技!』

『これは、縦回転か』

『さっきのより難しい技のはずなのにぶっつけ本番で成功させるRIO様』

『車RINO様』

『車RINO様ちょっとニコった』

『好きな人の前だと余計に張り切っちゃうのわかるよー』


 今回はコマのような横回転ではなく、車輪のような縦回転に挑戦してみました。


 横回転から色々と改善し、宙に浮きつづけるという不要な点を削ぎ、敵が離れれば地面を回って追えるという長所を追加したので、実用性が増したかと思います。


「な、なにそれ……カッコいいけど、RIOってあんなにプレイヤースキルあったんだ……」


「エリコ、知ってましたか? 壁や天井も足場代わりになるのですよ」


 お次は、迫る鎧の団体さん方を周りながら蹴散らしましょう。



 壁から天井に蹴って昇り、そこから壁へ床へと蹴って降りる独自開拓したあの高速移動方法。


 今回では、天井に足が着いた瞬間に武器を投擲し、床に着いたら武器を回収しつつ斬りつけます。

 そうすると、より無駄を省いてより効率よく敵を怯ませて前進出来ます。素晴らしいでしょう。


『すぅんごい速くなっちょるううう!』

『しかも視界逆さま状態でもスピード落ちてない』

『吸血鬼適性高杉さん』

『なんか負けたわ』

『縮地、じゃなくナチュラルに霹○一閃してるんだもんそら負ける』

『というかさっきので最高速度じゃなかったって何』

『エリコがいるからね、かっこつけたくなっちゃうよね』

『うむ、エリコのためだと思うと尊い』

『エリコとかいうRIO様専用バッファー』



 先程よりも速く動けるのは、別に能力値が高くなったわけではなく体が軽くなった気分だからです。


 なのでその分速く動けるようになるのは当然でしょう。


「どうでしょうかエリコ、この私をもっと近くで見続けたければ遅れずに着いて来て下さい」


「……私のよく知らない推しがいる」


 エリコ、まさかドン引きしているのですか。


 あからさまに私のペースに着いていけてないといった表情になり、氷のように固まってますけど……。



 だとしても、あなたが側にいるだけでも幸せな気分ですから構いません。


 むしろ、あなたに頼られる私になれて嬉しいのですから。


「急ぎなので、魔王の元へとダッシュで進みましょう」


「RIOのそれダッシュじゃないから〜!」


 このイベント、想像以上に私も楽しめそうです。

 キマシタワーは死語

 そんなことを考えてた午後

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― 新着の感想 ―
[良い点] エリリオわんわんプレイやばいし、RIO様のデレやばいし、りおねこで死んじゃった。 天国に来たら血の海だったよ。エリリオは世界を救う。彼らはきっと張り切ったRIO様を見て死んだんだろう。
[一言] 尊い(遺言) 俺の遺灰は魔王城のこの部屋にまいてくれ……きっと百合の花がきれいだぜ……
[良い点] 見るの遅れてすんません!今回の話もガチで尊かった!このままハッピーさんには10年ぐらいエリリオの物語書いてほしい! [一言] なかなか更新がなかったからマジで心配したけど生存確認できてよか…
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