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ムチは罪、じゃない、ご褒美だ。

掲載日:2020/06/18

貧乏公爵令嬢の起死回生。 @短編その30

「たああーーー!!行け!ペガサス!!」


ピシーーー!!

騎手は鞭を鳴らし、馬を制御しつつカーブを曲がる。


パカラッパカラッ


軽快な足音を立てて、愛馬ペガサスが行く。


馬波を掻き分け、どんどん加速・・・



「ペガサス、余裕のゴーーール!!一等は、ダライ公爵家、ヴァリッサ嬢と、愛馬ペガサスだーーー!!」


客席から盛大な拍手が、今だ鳴り止まない。

ヴァリッサ嬢は手を振り、ゆっくりと馬舎に引き揚げて行く。


ヴァリッサ嬢はペガサスの鞭打った部分を優しく撫で、微笑んだ。


「ごめんなさいね、ペガサス。痛かったでしょう?でも、もう少し早く走って欲しかったから・・」


馬の体を念入りにブラッシング、そして特製の餌。

愛馬はちょっとグルメだ。特製の人参、新鮮で柔らかな飼い葉、そしてパンが好きだった。


「お前のおかげで、我が公爵家は持ち直せたわ。本当にありがとう、ペガサス」




3年前、領地ではぐれ馬を見つけた。それがペガサスだった。


彼女の家は公爵家なのに、貧乏な寂れた家だった。領民も貧しかった。


10年前の飢饉の後、上手く再生が出来なかった。新事業も失敗した。


父は正直無能だった。その父は、3年前に死去。兄と二人で頑張ってきた。



2年前、兄がペガサスと私が駆けているのを見て、言ったのだ。


「ペガサスは、本当に早いな!ヴァリッサ。お前、ダービーに出ないか?」


ヴァリッサは乗馬が大変上手だった。

そして、ダービーの騎手は、高額の賞金が貰える。

もう打つ手は尽くした!!それならば!


そしてヴァリッサとペガサスは起死回生するのだった・・・





あれから2年。

ダービー馬の活躍は、3〜4年が限界だ。そろそろ引退を考える時だ。


領地もなんとか暮らせるほどには回復した。

兄の事業も、波に乗ってきた。長く待たせた婚約者と、やっと結婚出来る運びとなった。

優しいがしっかり者の義姉で、ヴァリッサにも優しい。兄と義姉が幸せそうで、本当良かったと思う。


この幸運は、ペガサスがくれたものだ。

彼にお礼がしたい、ヴァリッサは心から思うのだった。


馬体のブラッシングを終え、愛馬の顔を両手で優しく持ち上げて、ちゅ。


「貴方って、本当にハンサムね。人間にしたらどんな姿形なのかしら?ふふ、私ったら」

『じゃあ、お見せしますよ、ヴァリッサ』

「え?えええ??」


私のペガサスが喋った??と思ううち、目の前の白馬がグニャーーーと変形して・・・

一人の男性になったのです。


ヴァリッサがした事といえば、真っ赤な顔で視線を上に向け、自分の羽織っていた優勝のマントを彼に差し出す事でした。


そしてペガサスは自分のことを話したのです。


3年前、たまたま湖の水を飲みに立ち寄ったところ、ヴァリッサが現れたので、ホイホイついて行ってしまったと。

彼女があまりにも美しいので、一目惚れしたと。

甲斐甲斐しく世話をしてくれるヴァリッサは、美味しい食事をいつも出してくれたが、どう見ても馬屋は寂れていたと。なのに良い餌をくれる気持ちが嬉しかったと。

自分がいたら餌代が嵩むだろう、それはわかっていたが、ヴァネッサの側にもう少し、もう少し・・

気がついたら1年過ぎていたと。

あまりにも図々しいと反省し、出て行こうとしていた時、ヴァリッサにダービー馬になってと頼まれて、これで恩が返せる!と張り切って走ったのだそうだ。


「図々しく居座って申し訳なかった。ヴァリッサ、私は天馬なのだ。本当に、ペガサスなのだ」

「まあ・・・」

「私の妻になってもらえないだろうか」


目の前のペガサスは、今は人の姿。白髪で、黒い瞳の美男子だった。

今は上半身裸の姿だが、細いのにがっしりとした体つきで、まあ、その・・好みだった。


「私でよろしければ・・・」


こうして二人は番になり、仲睦まじく暮らしましたとさ。




たまにペガサスは馬に変身し、奥方を乗せて領地を駆ける姿が目撃されました。


「さあ、ペガサス!一気に加速するわよ!それーーー!!」


ノってくると、奥方は物凄いスピードで走るのです。そして、鞭でピシーー!!




奥方には言いませんでしたが、ペガサスはこの鞭でピシーーー!!が、『大好物』でした。

今夜はベッドの上で騎乗、もがもが・・・


ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。

どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。


pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。

https://www.pixiv.net/users/476191

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