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2枚目・私の名前は春野 泉美、あなたの名前は・・・④

小説の構成順番を直すために投稿し直しました。

2024年7月15日

服を着た猫

そんな泉水の顔に向けて、大樹は人差し指を指さし抗議する。


「じゃあ、兄ちゃんは、この人がどうして光の玉の中から飛び出してきたのか、説明できるの!?」

「そりゃ、光の玉の中に隠れてて、俺を逆に引きずり込もうとしていたとか?」

「何で?」

「光の中に引きずり込んだ俺を捕まえて、俺と入れ替わって、この家の人間になりすまして悪事を働こうとしていたとか?」

「兄ちゃん・・・自分で言ってて、無理あると思わない?」


大樹はあきれ果てたようにジト目で、泉水を見てきた。


「ウチ普通の家だよ」

「ウチはな。だけど母さんの実家の水輝家は違う!

母さんは本家の水輝家の娘だぞ!あの家に近づくための作戦だとしたら納得いく」

「かなり無理がある推理だと思うよ・・・

そもそも、そんな計画だったら光の玉から出てきたのは男の人のはずでしょ?

それに髪の毛を染めたり、カツラ被っても、蒼玉(せいぎょく)の瞳で見破れるんでしょ?」

「うっ・・・た、確かに」


泉水は痛い所を突かれて、顔を曇らせる。


「水輝一族の血を引く人には、髪の毛に特徴が現れて、三種類に分かれる。

一つ目は水輝の血を濃く引く人同士が結婚して、産まれた子供に現れる

(あい)の髪】

その名の通り、青色をしている髪が特徴で、水輝の本家の人たちは全員この髪の色をしていて、すごい身体能力を持っている。

超人一族だね。

二つ目が水輝の血を濃く引く人と一般人が結婚して、産まれた子供に現れる

紫紺(しこん)の髪】

紫紺って言うのは藍色の一種である紫色のことで、この紫紺の髪を持つ人は、水輝のものすごい身体能力とかを受け継いでいるのが特徴。

兄ちゃんがこれに当たるね」

「ああ」

「そして、三つ目が、水輝の血を濃く引く人と一般人が結婚して産まれた子供で、水輝の能力をほとんど受け継いでいない人、この人の髪は一般人の親や先祖の髪色を受け継ぐんだ。

僕がこれに当たる、だから僕の髪は茶色い。


そして、水輝族の血を濃く引く人が持っている不思議な能力の一つが

蒼玉(せいぎょく)の瞳】

蒼玉っていうのはサファイアの日本名。

その名の通り青い眼が特徴で、超人的な動体視力を持っていて水輝の運動能力と合わさって超人的な強さを持ってる。

その上一族の藍の髪や紫紺の髪の色を見分けることが出来て、たとえ同じ色に染めても、その違いに一発で気づける、現代科学でも解明できない不思議な能力。

兄ちゃんも、その能力を受けついているんでしょ?

僕は無いけど」

「まあな、俺のこの青い目も蒼玉の瞳。だから、あの子の髪が染めたりしてる、モノじゃなくて水輝の血を引いている者だってことも解ってる。

だけど無理あるだろう?

パラレルワールドから来た、俺と同じ名前・・・読み方が同じ名前で、同じ両親を持つ人間が居るとしたら、大樹がさっき言ってたように男だろ?

それで俺と鉢合わせて「うわっ、なんで俺と同じ顔のやつが!!」ってなるんじゃないか?」


困惑の表情を浮かべながら話す泉水の話を聞き、母は【ポン】と両手を合わせた。


「ああ、ドッペルゲンガーね」

「ああ、同じ顔の人間と出会うって言うあれか!

懐かしいな、ドッペルゲンガー!

【出会った人間は数日後に死んでしまう】だっけ?」

「そうそう、私自分のドッペルゲンガーに会ったらどうしよう!?って、初めて話を聞いた時は怖かったわ~」

「俺は、ドッペルゲンガー会ってみたかったけどな」


懐かしい話題で盛り上がる両親を背に、泉水は冷めた声で返す。


「思い出話は後にしてくれ中年()

「はーい」

「泉水!!親に悪口を言うのは、やめなさい」

「はいはい、ごめんなさい」


泉水は、これまた背中越しに感情のこもってない返事返すと、大樹に向かって話を戻した。


「とにかく、この子が俺と同じ読み方の名前で、たぶん親も・・・住所も同じなのに、女子っておかしいだろ!?」

「それは、このお姉ちゃんが、兄ちゃんが、女の人として生まれた時の姿だからだよ」


さも当たり前のように言う大樹の言葉に、泉水は一瞬思考が停止してしまう。


「・・・お、俺が何だって!?」

「だから、兄ちゃんが女の人として生まれた時の姿だよ」

「お、俺が、女として生まれた時の姿!?」


泉水は思わず、ソファーに寝ている泉美の顔を見た。


「マジか・・・」

「そうか!泉美って名前どこかで見たことある気がしてたけど、そうだよ。

母さん、泉水が生まれる前、子供の名前をどうしようって話し合った時、女の子だったら、泉の一文字に美の文字を入れようって、話し合ったよな」

「そういえば、そうだったわね!

男の子なら『泉水』で、イを強く読んで、()ずみ()ってアクセントで読んで、女の子なら『泉美』で、普通に水が湧く泉と同じ、いずみ(→→→)アクセントにしようって話し合ってたわね」


昔を思い出し、和気あいあいと話しだす父と母。

言葉を聞きながら、泉水は彼女の顔をじっと見つめる。


「俺が・・・女子として生まれた時の姿・・・でも、そう考えれば、すべてつじつまが合う・・・のか?

でも、そう考えて・・・この顔を見てみると、何となく母さんに似てるかも・・・」

「そお?」

「どれ?

うーん、確かにこの丸みを帯びた輪郭、目元、ほほの辺りなんかは、そっくりかもしれないな」


父は母の顔と、泉美の顔を見比べて言った。


「俺は角ばった輪郭とか、きりっとした眉毛は、どちらかというと、父さん似ってよく言われるけど」

「僕はどっちにも似てるって言われるかな」


大樹はソファーに寝続ける泉美のそばに歩み寄った。


「僕の考えが正しければ、この人が異世界での僕のお姉ちゃん。

異世界の僕ってどんな奴なんだろう?それともそもそも居ないのかな?」


大樹は泉美の寝顔を考え深そうに見つめていた。と泉美の瞼がピクっと動いた。


「う、うーん・・・あれ?大樹?」


目を覚ました泉美は、目の前に居る少年を見て、ごく自然にその名前を言った。


「あ、お姉ちゃんが起きたよ!」

「お姉ちゃん?・・・いつもは姉ちゃんって呼ぶのに?」


ボーっとした顔で寝ぼけた頭が働かない様子の泉美は、ソファーから起き上がると、体にかけられたブレザーを着た。

そして、そのままソファーに座り直して母と父に視線を向ける。


「お母さんに、お父さんもいる。あれ?私どうしたんだっけ?」


あたりをキョロキョロと見渡す泉美、その目が泉水と合ったとたん、彼女の顔が一気に顔が青ざめていく。


「ヒッ!!

あ、あな、あなたは!?」


ガタガタと歯を鳴らしながら泉美は、震える指で泉水を指さした。


「よ、よう。気分はどうだ?

いや、良いわけがないか」

「あ、あなたがここに居るってことは、あれは夢じゃなかったの!?」

「残念ながらな」

「じゃ、じゃあ、ここに居いるお父さんも、大樹も私を知らないの!?」

「・・・残念だけど、君とは初対面だ」

「ぼ、僕も初めまして、になるよ。

お姉ちゃん大丈夫?顔が真っ青だよ」

「大樹が、わ、私をお姉ちゃんって、わ、悪い夢だ。これは悪い夢に決まってる!!」


泉美は両手で体を抱きしめ、極寒の地に居るようにブルブルと震えだす。


「だ、大丈夫か?」


泉水が近づこうと、一歩足を踏み出そうとした時。


「来ないで!!」

「っ!」


必死の形相で叫ばれた泉水はその場で固まってしまった。

泉美は震える指で再び泉水を指さすと叫んだ。


「あんただ!あんたが現れてから、おかしくなったんだ!

全部あんたのせいだ!!

あんたさえ現れなければ、私は普通に家に帰って、普通にお母さんにただいまを言って『どこ行ってたの!?』って怒られて、その後、お父さんに『遅くなるなら、電話くらい入れなさい』って怒鳴られて、大樹に『姉ちゃんダセー』っとか、憎まれ口をたたかれて、そんな普通の光景を過ごすはずだったんだ!

なのに、お母さんも、お父さんも、大樹も私を知らないって言う!

全部!全部!!全部!!!

あんたが現れてから、おかしくなったんだ!

消えてよ!今すぐ消えてよ!!

私に普通を!日常を返してよ!!


う、うわぁぁぁぁぁぁぁ・・・」


膝を抱え、声を上げて泣き出す泉美、その姿を見て家族全員、何も言えなくなってしまった。



それから数分後。



泉美の涙が少し収まったタイミングで、泉水が話しかけた。


「少しは落ち着いたか?」

「ヒック、ヒッ、消えてって、言ったでしょ!」


涙をこらえながら、泉美は鋭い眼光で泉水をにらみつける。


「話くらい聞いてくれてもいいだろ?」

「あなたと何を話せっていうの!?」

「じゃ、じゃあ私と・・・」

「あなただって一緒よ!」

「ご、ごめんなさい」


優しく話しかけた母だったが、怯えた小動物のような泉美に睨みつけられ委縮してしまう。

そんな彼女の様子に(取り付く島もないな)と考えながら、泉水は根気よく話しかけることにした。


「俺のこと見覚えないか?」

「あるわけないでしょ!?」

「よく思い出してみろよ」

「何を?」

「ほら、神社の境内で、おでこをぶつけた時」

「おでこ?」

「何かにぶつかっただろ?」

「ぶつかった?

おでこ?」


泉美はおでこをさすりながら「おでこ」とつぶやき続ける。


「おでこ・・・おでこ・・・あ!」

「思い出したか?」

「そうだ、私は、月みたいに光る玉に腕を突っ込んじゃって、何かをつかんだんだ!

それでそれに引っ張られて、光る玉中に飲み込まれたと思ったら、すぐにすり抜けて、あなたが目の前に居て、おでこ同士をぶつけて・・・」

「その衝撃で、たぶん2人とも気絶しちまったんだよ」

「そっか、あの時ぶつかったのは、あなただったんだ。

でも・・・それが何!!」


再び睨みつけてくる泉美に、大きく息を吐いてから泉水は続きを話し始めた。


「君の学生証明書を見させてもらったよ。

驚いた。名前もだけど、住んでる住所もここだった」

「それはそうよ。ここが私の家・・・だったんだから」


うつむく泉美を見ながら、泉水は話を続ける。


「あと、瑞希と写ってるプリクラもあった」

「あれを見たの!?

瑞希は私の幼馴染で親友よ!変なことするつもりじゃないでしょうね!?」

「しねぇよ。俺にとっても瑞希は幼馴染で親友だ。煙たがれてるけど」

「は?・・・私も・・・瑞希には・・・煙たがれてるけど?」


要領を得ないという顔で、泉美は確認するようにゆっくりと答えた。

その顔には、ありありと何が言いたいのだろうと書いてあった。


「そこまで一緒なのかよ。まいったな」


泉水は右手で、ボリボリと頭を掻いた。


「さっきから、何か言いたいの!?」

「・・・単刀直入に言おう。

君はたぶん異世界から、この世界に飛ばされた人間。つまりここは君にとって異世界だ」

「はぁ?

私が異世界から飛ばされた人間?・・・ここが異世界?」


泉美は、まるで実感がないという感じでつぶやいた。


「ああ、あの光の玉が、二つの世界をつなぐ扉だったんだ・・・たぶん」

「二つの世界を・・・つなぐ、扉?」

「君はあの光の玉を突き抜けた訳じゃない。

あの光の玉を通って、こっちの世界に来たんだ」

「そんな・・・」


泉美は再び、ブルブルと震えだす。

そして、壊れた人形のように震える手で指をさしながら、確認するように言った。


「だって、お母さんが居る、お父さんも居る、大樹も居る。

でも・・・あなたが居る」

「ああ、俺が居る。

君の換わりに、俺が居る。

俺は・・・君が・・・男として、生まれた時の姿だ」


泉水はゆっくりと、確認するように、そして自分を納得させるように言った。

それ聞いた泉美の表情は驚きを通り越して無表情になっていた。そして、壊れた人形のように言った。


「あなたは・・・私が・・・男として・・・生まれた時の・・・姿?」

「そうだ、そう考えれば納得が出来る。俺たちが同じ読み方の名前なのも、同じ両親を持つのも、兄弟が同じなのも、親友が同じなのも、な」

「ここは私の世界じゃない?」

「ああ」

「この家は、私の家じゃない?」

「ああ」


壊れた人形のような泉美の問いに、泉水は伏し目がちに答える。

そんな壊れた人形のようだった、泉美の目に少しだけ生気が戻る。


「ここに居るのは、私の家族じゃない」

「それは・・・」


次の瞬間、泉美の目が鋭くなる。


「この世界の瑞希は、私の親友じゃない!」

「落ち着け!」


ヤケを起こし叫ぶ泉美を見て、泉水は一気に距離を詰めると、その両肩を掴んだ。


「触らないで!」

「落ち着けって言ってるだろう!!」


泉水の言葉とは裏腹に、泉美の呼吸が乱れていく。

そして、泉水の顔を泣きそうな顔で見た。


「あなたは・・・私だった」

「深呼吸しろ!」

「私はここに居るべき・・・人間じゃ・・・なか・・・った」

「お、おい!」


力なく両腕と頭をダランと落とし、泉美は再び糸の切れた人形のように気を失ってしまった。

≪人物紹介≫


泉美の部活の先輩

神条(かみじょう)  (まい)


腰まで伸びた黒髪長髪に黒い瞳が大和撫子感を引き出している、キリッとした顔立ちの美しい美少女。

高校三年生で、演劇部に入部して、わずか半年で演劇部のスターに上り詰めた少女である。

実家は、この桜門町の中央にそびえる小山の門開山(もんかいさん)の中腹に建つ【桜門神社】で、神条家はこの神社の宮司を代々務める。

彼女自身も桜門神社の巫女を務めている。

武芸も得意で、一応剣道部所属で主将を務めているが、強すぎて相手が居らず演劇部の顧問であるマリア先生にスカウトされ演劇部を兼部している。と本人は言っているが、周りからは演劇部に所属し、剣道部を兼部しているようにしか見られていない。




演劇部の顧問で、泉美のクラス担任

神野原(かみのはら) マリア」


金髪ロングヘアーに青い瞳のハーフの女性で、その右手人差し指には金色の指輪が光っている。

年齢は見た目、30代くらい(詳しいことは教えてくれない)

ちょっと天然ボケで強引なところもあるが、今回の演劇【天女物語】を舞の実家である桜門神社に伝わる【天女物語】と【十二石像伝】という二つの短い伝承を組み合わせて、舞台脚本を書き起こすなど、やる時はやる先生である。




もう1人の主人公

春野(はるの) 泉水(いずみ)


泉美の前に現れた彼女と同じ、イズミを名乗る少年。

水輝家という剣術の名家の血を引いており、泉美と同じように紫紺色(しこんいろ)という特殊な紫色の髪の短髪と蒼玉(せいぎょく)の瞳と呼ばれる青い瞳を持つ。

名前はイを強く読んで、()ずみ(→→)と読む、独特のアクセント。


泉美と同じように、隣に住んでいる瑞希が幼馴染で、彼女のことを親友と呼び大切な友人として接しているが、瑞希には煙たがれている。

なぜなら彼は、泉美が女性ではなく男性として生まれた姿で、泉美が居た世界とは異なるパラレルワールドの人間であるため。

そのことを知った泉美はショックのあまり気を失ってしまう。




イズミ達の母

春野(はるの) アゲハ」


藍色(あいいろ)の髪を肩まで伸ばし、パーマを当てており、蒼玉の瞳である青い瞳をしている中年の女性。

剣術の名家である水輝家の本家の娘で、泉美と泉水の母親。




イズミ達の父

春野(はるの) 一郎(いちろう)


茶色の髪に短髪、オレンジの瞳の普通の中年男性。

泉美と泉水の父親。




イズミ達の弟

春野(はるの) 大樹(だいき)


茶色の髪に短髪、オレンジの瞳の小学5年生。

イズミ達にとっては、生意気な口を利く厄介な弟。




主人公

春野(はるの) 泉美(いずみ)」その⓶


水輝の血を濃く引く人間と一般人が結婚して、産まれた子供に現れる紫色の【紫紺(しこん)の髪】とその髪を見分ける青い色の【蒼玉(せいぎょく)の瞳】を持つ少女。


一応、剣道部の所属で腕は凄腕だが、相手が舞くらいしか務まらないため、ほぼ自主練のみで暇をしていたところ舞に演劇部の兼部を勧められ、演劇部にも3ヶ月前から席を置いている。

今回、その実力を買われ、舞台【天女物語】のヒロインである(はく)に指名されるが、上手く演じられるか悩んでいる。

隣に住んでいて幼馴染の瑞希を親友と呼び、大切な友人として接しているが、瑞希には煙たがれている。

今回、桜門神社に現れた光の玉に手を突っ込んだ上に引っ張られて、異世界である泉水の世界に来てしまう。






≪登場用語説明≫


桜門神社

分類:町の神社


町の中央にそびえる【門開山】の中腹にある神社。

町の誕生の時に一緒に建てられたとされ、町に伝わる【天女物語】や【十二石像伝】の舞台となったとされる。




門開山

分類:地形


町の中央にそびえる小さな山、中腹に桜門神社の社殿があるほか、天女物語の天女である(ハク)が地上に落ちた地とされている。




天女物語

分類:伝説


昔々、百姓の長二(ちょうじ)という男が門開山でまき拾いをしていた時、中腹に天から美しい女性が舞い降りた。

彼女は(ハク)と名乗り、自分は天女で天界から落ちてしまい帰る手段を失ってしまったという。

不憫に思った長二は拍をしばらく自分の家に置くことに、そうして2人はしばらく暮らすことに、やがてどちらかともなく惹かれあうようになった。

だが、そんな2人の前に3人の天女が現れ、拍を迎えに来たという。

初めは納得いかないと抵抗した長二だったが、拍は今すぐにでも天界へ帰らなければ罰せられてしまうという。

長二は泣く泣く納得し、2人は涙を流しながら別れをした。

その後、長二は拍と出会った地に小さな祠と鳥居を立て、天界に居る拍に届くようにと毎日その地を訪れ祈ったと伝えられている、桜門神社創建にまつわる伝説である。




十二石像伝

分類:伝説


【天女物語】と同じく桜門神社に伝わる物語

桜門神社に伝わる、町の周りをグルッと囲むように、配置された十二支の石像にまつわる昔ばなしである。

昔々、突如としてこの地に人食いの鬼たちが押し寄せてきた。

人々は次々と鬼に食われ、さながら地獄絵図であった。

「もう駄目だ」皆がそう思った時、1人の陰陽師と彼の従者である侍が現れた。

陰陽師は村に十二支の姿をした、十二体の式神を飛ばし従者の侍と共に鬼たちを封印するように命じる。

その命に従い、侍が鬼を切り伏せ、式神たちが鬼を次々と封印していった。

そして式神は最後に村を囲むように広がり自ら石像となり、村全体を包む結界の要石となった。

人々がお礼を言うと、陰陽師は石像になった式神たちを決して、傷つけたり、動かしてはならない。

約束を違えれば、たちまち鬼たちは解き放たれ、この地は再び地獄と化すだろうと村人にきつく言い聞かせ、従者であった侍に神社の宮司と共に、この地を守るように言いつけ去っていったと伝えられる。

十二支の姿をした、十二体の石像にまつわる伝説である。




長二ちょうじ

分類:人の名前


舞台【天女物語】の主人公の名前。

伝承の天女物語に登場する百姓であり、舞台天女物語では十二石像伝の侍と結び付けられ、侍として登場する。

泉美の世界では舞が演じ、泉水の世界では泉水自身が演じる予定。




ハク

分類:天女の名前


舞台【天女物語】のヒロインの名前。

伝承の天女物語に出てくる、天界から落ちてきた天女の名前。

泉美の世界では泉美自身が演じ、泉水の世界では舞が演じる予定。




光の玉(仮名)

分類:現象


見た目、月のように光り輝く玉。

泉美はこの光に手を突っ込み、引っ張られて異世界である、泉水の世界に来てしまった。




パラレルワールド

分類:世界


異世界や並行世界とも呼ばれる。この世界とは異なる、別の世界の称そう。




水輝一族(すいきいちぞく)

分類:一族


桜門町に本家を置く剣術に優れた一族で、町で有数のお金持ちの家。

特殊な髪や瞳、驚異的な身体能力を持っている。




(あい)の髪

分類:家の特徴


水輝一族の血を濃く引く者同士が結婚して、産まれた子供に現れる髪色。

その名の通り、青色をしている髪が特徴で、水輝一族の本家の人は全員この髪の色をしている。




紫紺(しこん)の髪

分類:家の特徴


水輝一族の血を濃く引く者と一般人が結婚して、産まれた子供に表れる髪色。

紫紺とは藍色の一種である紫色のことで、この紫紺の髪を持つ人間は、水輝一族の能力を受け継ぎ、ものすごい身体能力などを発揮できるのが特徴。




水輝一族の能力を受け継がなかった者の髪色

分類:家の特徴


水輝一族の血を濃く引く者と一般人が結婚して、産まれた子供の中で、水輝一族の能力をほとんど受け継いでいない者に現れる特徴で、髪の色が一般人の親の髪色や、祖父母の髪色を受け継ぐ。




蒼玉(せいぎょく)の瞳

分類:家の特徴


蒼玉とはサファイアの日本名。

その名の通り青い眼が特徴で、驚異的な動体視力を持っており、水輝一族の者の証であり、

藍の髪や紫紺の髪の色を見分けることが出来る。

たとえ、一族以外の者が、藍の髪や紫紺の髪に似せて髪を染めたとしても、その違いに一発で気づける。

紫紺の髪の持ち主もこの瞳になり、能力も引き継いでいる。

その能力は現代科学でも解明出来ていない。




ドッペルゲンガー

分類:現象


自分とそっくりのもう1人の自分が現れ、数日後に死んでしまうという都市伝説。

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