6枚目・瑞希とルーンの秘密①
小説の構成順番を直すために投稿し直しました。
2024年7月15日
服を着た猫
時は庇の下で、瑞希が大きくため息をついたときに戻る。
「そんなこと・・・言えるわけ、ないじゃない」
大きくため息をつき、うつむく瑞希。
そんな瑞希の後ろからルーンが現れ、彼女の足元へとやってくると心配そうに見上げた。
「ニャー・・・
『瑞希・・・』」
「ああ・・・ルーン、どうしたの?」
「ニャー
『飛び出していったから、気になって』」
「そう、私を心配してわざわざ出てきてくれたの、ありがとう」
瑞希はルーンを抱き上げ、頭を上にして抱きかかえた。
その顔には笑顔が浮かんでいた。
「君と出会ったのも、こんな雨の日だったね」
「ニャー
『そうだね』」
笑顔の瑞希だったが、雨雲を見上げながら小さくため息をついた。
「ハァー・・・私・・・ダメな人間ね」
「ニャ?ニャー??
『え?なんで瑞希がダメな人間なの??』」
「自分が思ったことを素直に言えない・・・泉水が私のことを親友だって言ってくれたのに、私も大切な親友だと思ってるって、言えなかった・・・ただ、怒って言葉を遮ることしかできなかった。
ホント、自分で自分が嫌になる」
そのままうつむいてしまった瑞希を見て、ルーンは力強く鳴いた。
「ニャー!!
『そんなことない!!』」
「ルーン?」
「ニャー!ニャー・・・
『瑞希の想いはちゃんと伝わってるよ!だから、そんな悲しいこと言わないで・・・』」
「・・・ありがとう、ちょっと元気出たよ」
「ニャー
『よかった』」
心底ほっとした様子の鳴き声を上げるルーン。
その声を聞き瑞希は微笑んだ。
やがて瑞希は話題を変え話始めた。
「それにしても、あの泉美って子には驚いたわ。泉水が女の子として生まれたときの姿って言われても・・・いまだに頭が追い付かない・・・
ルーンも初めて会ったとき、驚いたでしょ?」
「ニャー・・・ニャー
『う~ん・・・そうだね、驚いた』」
「?・・・あまり驚いてないように見えるわね」
「ニャ、ニャー!ニャン!!
『そ、そんなことない!結構驚いたよ!!』」
何か慌てているようにも聞こえるルーンの言葉に、瑞希はジト目でルーンを見つめる。
「・・・あなた何か隠してない?」
「ニャ、ニャー・・・
『そ、そんなこと・・・』」
「ルーン、何かおかしなこと言ってるの?」
「ええ、何か隠してるみたい」
「へぇー、ルーンが隠し事・・・私も気になるなぁ~。
ちなみになんて言ってるの?」
「えっと泉美のこと驚いたでしょ?って聞いたら『う~ん・・・そうだね、驚いた』って言って、私が『あまり驚いてないように見えるわね』って答えたら『そ、そんなことない!結構驚いたよ!!』って言って明らかに動揺したの・・・・・ん?」
一瞬固まった瑞希は、一拍置いて勢いよく後ろに振り返った。
「あ、あなたいつからそこに!!」
瑞希が振り返った先には、玄関の扉から顔だけ出した泉美の姿が。
「話し声が聞こえたから、気になっちゃって。
最初の話声はよく聞き取れなかったけど『ありがとう、ちょっと元気出たよ』の辺りからちゃんと聞き取れて、ドアを開けて顔を出したって感じかな?」
はじめ驚いた表情の瑞希だったが、すぐにジト目で泉美を睨んだ。
「盗み聞きとは、いい趣味ね」
「ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃなくて。
もう家に帰ったと思ったのに、まだ居るんだって気になっちゃって」
泉美は謝りながら、ドアから体を出し、瑞希の横に立った。
「こっちでもやっぱり、ルーンと話が出来るんだね」
ごく自然に話しかけてくる泉美に、瑞希は一瞬迷惑そうな顔をしたが、小さくため息をつくと諦めたように話し始めた。
「こっちでもってことは、あなたが居た世界の私もルーンと話が出来るのね」
「うん、ルーンと居る時だけ一時的に心が治るのも同じだよ」
「そう・・・この世界とあなたが居た世界、そんな所まで似てるのね」
面倒くさそうに泉美の話を聞いていた瑞希だったが、やがて少し考え逆に泉美に質問返しをしてきた。
「ねぇ?ルーンを飼うことになったきっかけは、やっぱり雨に降られたルーンがここの庇に飛び込んできたのがきっかけ?」
瑞希がそう質問したのは、2つの世界の法則性状、泉美の世界のルーンも同じ経緯で、春野家の家猫になったのではないかと考えた結果だった。
だが、瑞希の考えに反し泉美は首を傾げる。
「雨?
ううん、私がルーンに会ったのは川だよ?
川に流されてたのを助けたのがきっかけ」
泉美とルーンの出会いもまた、1年ほど前にさかのぼる。




