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タイトル無し  作者: ルル
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9話 

 

大澤花凛

「失礼します。部室の鍵を返しに来ました。」


合唱コンクール明けの日曜日の午後

部活が終わったので部長が職員室に鍵を返しに行った。


「お疲れさまー。」


職員室の中にいた人が鍵を受け取ると花凛は部室にある荷物を持って学校から出た。


大澤花凛

「それじゃあ約束通りハーゲンダッツ奢ってもらおうか。」


大石大地

「クソッ・・なんでこういう時に限ってボロ負けるかな。」


清野拓真

「運悪いな。」


同じクラスの三人は今日の部活の試合で負けた相手に何かを奢ることになっている。


清野拓真

「俺は花凛に奢って大地には何頼もうかな。俺もハーゲンダッツでいいや。一パックで。」


大石大地

「テメえ破産させる気か。」


三人は歩きながら話していた。


大澤花凛

「そうだ。赤ペンのインク切れてたわ。文房具屋で買って来て。」


清野拓真

「はいはーい。」


大石大地

「お前この場にアリスがいなかったことを感謝するんだな。」


大澤花凛

「あの子最近来なくない?」


――――――――(職員室)


内村陽大

「なんか今日は寒くないですか?」


坂下真理亜

「もう11月に入りますからね。」


午前中の部活が終わった職員室では教師たちが昼食を食べていた。


坂下真理亜

「余計なお世話かもしれないですけど今日少なくないですか?」


内村陽大

「ご飯ですか?最近ちょっと・・・ヤバイみたいで。」 


坂下先生が陽大が食べてるサラダを見てそういった。

いつもならそれに菓子パンが2個くらいついてるのに。


坂下真理亜

「ああ。太ったんですね。」


坂下先生が一口サイズに切られたリンゴを口に含みそう言った。


内村陽大

「そんなドストレートに言わないで下さいよ。」


坂下先生にハッキリと言われると陽大はショックを受けたような表情でそう言った。


内村陽大

「ちょっとだけですからね!たったの3キロです!どうせ食事制限すれば二週間後には元通りですよ!むしろ前より痩せます!」


陽大は身長が169cmと標準並みで

現在の体重は太って56kgなんだから軽い。

ただそれは筋肉がついてないだけで見た目はそんなにガリガリではない。


坂下真理亜

「タンパク質とらないと禿げますよ。それに筋肉落ちますよ。まあそんな極端な食事制限して痩せたとしてもすぐにリバウンドすると思いますけどね。まあせいぜい頑張ってくださいね。」


坂下先生は嫌味のようにそう言いながら自分の食器をかたした。


秋花真理子

「いじめないの!」


そこに近くで会話を聞いていた秋花先生が坂下先生にそう言った。


秋花真理子

「ああそうだ。誰か学年室にある楽器を音楽室に運んでくれない?かなり重いのもあるけど。多分一人じゃ無理かな。」


坂下真理亜

「それじゃあ私行きます。」

 

今、職員室にいる先生は少なく

内村先生と坂下先生が一番若かったので運ぶことにした。


内村陽大

「じゃあ俺も行きます。」


――――(清英ゼミナール)


真城アリス

「安全圏・・・」


アリスは最寄り駅から何駅か先の進学塾に通っている。


「すごっ!清嵐高校が90%だって!やば!」

「マジで?!A判定ってこと?!」


真城アリス

「何みてんの?」


塾の教室でアリスが模試の結果を眺めていると同じクラスの人が覗き込んで模試の成績に感心していた。


この塾は県内で有名な進学塾でトップ校への合格率が高い。

毎月クラス分けテストがありアリスは一番上のクラスだ。


「この時期でこの結果って期待しかないよね。」

「羨ましー」


清嵐高校は県内トップの公立高校

倍率は毎年2倍を越える。

非常に難関な高校だ。


真城アリス

「でも私たち二年だよ?三年生になったらみんな本格的に頑張り出すから多分Dくらいに落ちそうな気がする。」


ぶっちゃけ本気で行きたい高校なんて決めてない。

でも・・・


―――――(職員室)


気がつくと外は真っ暗で時刻は午後7時程になっていた。


内村陽大

「もうテスト作ってるんですか?」


坂下真理亜

「中間テストは12月ですよ?おかしくないじゃないですか。」


二人は仕事を切り上げ話しながら帰る支度をしていた。


秋花真理子

「あれ、音楽室の鍵が戻って来てない。」


その場にいた秋花先生が色んな所の鍵が掛けてある場所を見てそういった。


内村陽大

「僕たちちゃんと返しましたよね?多分そこ使ってる部活の人が忘れたんじゃないですか?」


坂下真理亜

「普通は忘れません。探してきます。」


坂下先生が職員室から出て鍵を探しに行った。


――――(音楽室)


音楽室の電気は消えている。

片方のドアは鍵が掛けられてるけどもう片方のドアの方は掛けられていない。

中に入ったら目隠しされてるのと同じくらい暗い部屋に人なんか居るはずが無い。


坂下先生は中へ入ろうとドアを開けると

誰もいないはずの音楽室のピアノが鳴り始めた。

一番低い音を力任せに思いっきり弾くような・・・


坂下真理亜

「・・・・」


坂下先生はあまりの衝撃にその場で立ち崩れた。

そしてすぐに立ち上がり急いで電気をつけた。


坂下真理亜

「内村先生!こんな子供じみたイタズラはやめて下さい」


その犯人は内村先生だった。

たぶん坂下先生が職員室から出たあとに急いで違う方向の階段を上って入ったのだろう。

 

いつもクールな坂下先生が怒りを剥き出しにしてそう言った。


内村陽大

「ごめんなさい。悪気があってやったわけじゃないんです!秋花先生の見間違いでここの鍵が違うところに掛かってただけでそれを伝えようと急いでここに来たんですよ。それでこのドアから入ったんですけど電気遠くて慎重に歩けばそこまで辿り着けるかな?って思ってたら転けて・・・」


坂下真理亜

「だから事故ですと?なんでわざわざ私と違う方向の階段使うんですか。」


内村陽大

「それはたまたまです。マジで。まず貴方に嫌がらせしたら後が怖いんで・・」


坂下真理亜

「他の人じゃなくて良かったです。自分が苦手なものとか知られたくないですからね。」


「私こういうの苦手なの!」

「怖いの・・」


10年も前のことを思い出した。

まだ苦手だったんだ。














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