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タイトル無し  作者: ルル
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8話    

「声・・・綺麗だね。」


あの時は強くて優しくて格好良かった。


「あーごめんねー。鳴かせ過ぎて声出なくなっちゃった?」

「残念でしたー喪失おめでとー!」


殺してやる。お前ら全員・・・殺してやる。


清水音羽

「・・・悪夢だ。」


10月の末の朝

その日は土曜だったが合唱コンクールがあるので平日と同じ時間に起きなければならなかった。


スマホのタイマーで目を覚ましたが嫌なことを思い出して目覚めが悪い。


私はベッドから起き上がり身支度を開始した。


―――――――(体育館)


合唱コンクール本番の体育館には生徒や保護者が座るイスがギッシリと並べてある。もうすぐ11月だと言うのに体育館の中は暑い。


私はカーディガンを脱いでイスの背もたれに掛けた。


「あれ、アウトじゃない?いま身体揺れてたよね?」

「移動バラバラだったよね?あのクラスは無理だね。」


今は1年生の合唱を聴いているが近くの人から厳しい指摘を受けてる。


審査員は合唱だけではなく移動のタイミングや指揮者と歌う人とのタイミングが合っているか等も見るらしい。


当たり前か。

いくら歌が上手くてもそれ以外がダメなクラスが優勝なんて他のクラスも納得出来ない。


「つぎ二年だよ?!怖いんだけど。」

「しかもトップバッターだし。」


歌の順番はくじで決まったらしい。

このクラスがトップバッターだ。


「つぎは二年三組のHEIWAの鐘です。」


司会の人がそう言うとみんなで一斉に立ち上がり移動した。

移動が終わりしばらくすると指揮者が手を上げたので一斉に歌う姿勢になり

赤ペラスタートの合唱が始まった。


「LaLaLaLaL・・・よみがえれあの時代へ・・」


この歌はいい歌詞だ。

たぶん審査員は公平に審査してるだろうけど地味な曲より迫力のある曲のほうが印象が良いので点数も自然と高くなってしまうだろう。


―――――(昼休み)


「最優秀賞取れるかな?!」

「えー。他のクラス怖いんだけど。」

「一組とかは?」

「あんなクソ小さい声じゃ無理でしょ。」


午前の部が終了したので教室へ戻り昼食を食べていた。


真城アリス

「音羽の前の学校はさ。合唱コンクールとかあった?」


今日は自分たちのイスは体育館へは持って行き机も後ろへさげてるのでいつものように班でかたまってでなく仲の良い人同士でかたまっている。


清水音羽

「あったけどヤバイからマジで。もう真面目に練習してるのが馬鹿馬鹿しくなるくらいに荒れてた。」


大澤花凛

「泣き出す人とかいた?マジメにやってよ!みたいに。」


清水音羽

「クラスによって差があるかな。真面目なクラスは本当に真面目に練習するけどアホなクラスは全く練習しない。」


大澤花凛

「うちは去年クラスが荒れてたから全く練習しなかったよ。でも最優秀賞取ったから。歌なんて才能の問題だよ。」


真城アリス

「一年生のクラス分けは出身小学校とかがバランスよく分けてあるだけだからね。あの子はああだからこの子がいた方が良いとか出来ないし。」


大石大地

「1組はあの先生だから優勝出来無いよ。」


女子同士で話していると近くのグループの会話が聞こえた。

大地は拓真やその他の男子と食べている。


清水音羽

「なんで?」


大地の発言が気になったので質問した。


大石大地 

「高校受験落ちた。大学受験落ちた。教員採用試験で第一志望の県に行けなかった。そして去年取れなかった。」


清水音羽

「運わる!最悪の人生だな!」


真城アリス

「言い過ぎでしょうよ!」


――――(体育館)


午後の部の最初は三年生の合唱だ。

やっぱりわたし達とは格が違うくらい上手い。


そして全校合唱や先生達の話を聞いた後は


「以上で一年生の発表を終わります。次は二年生です。優秀賞は・・・」 


司会の人がそんな感じで進めて


「僕らの生まれたこの地球に奇跡を起こしてみないか〜」


発表の時に曲が流れる。


「二年三組です。」


「おお!やった!」

「ええー。悔しいんだけど。」


うちのクラスは最優秀賞の下の優秀賞だ。

喜ぶ人もいれば悔しがる人もいる。


清野拓真

「大地泣くなー。お前どっちの涙だよ。」


大石大地

「いや泣いてねえよ!寝てたんだよ!」


清野拓真

「いやお前よくそんな大事な時間に寝てられるな!」


――――――(放課後)


「明日どうする?」

「一緒に遊ばない?!」


合唱コンクールが終わりすっかり夕方になった。

いつもの学校の時よりも帰りが少し遅い。


清水音羽

「アリス!一緒に帰ろ!」


真城アリス

「ごめんね!これから塾なの!」


教室からみんなが出ていく中

アリスを見つけたので一緒に帰るように誘うと焦った様子でそう言ってさっさと教室から出て行った。


土曜日に塾なんて大変だな。









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