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タイトル無し  作者: ルル
74/75

74話

「聞いてもないのに!語り出す!」

「●●君!」


「斉藤先生超こわい!」

「先生がブチ切れた時に言う言葉は?!」

「その神経が分からない!!」


「無駄な買い物をする内村先生!」

「最近買ったものは?!」


内村陽太

「ドローンです。」


卒業まであと三日

本日は学年解散式だ。

体育館で3年間の思い出を振り返るスライドショーを見たり生徒が様々な出し物をしたり等をして盛り上がる。


今のところ盛り上がったのはダンスと卒業式風に生徒や先生の癖を群読係の人が言ってるやつ。


「坂下先生!!」

「めっちゃ可愛い!」


群読係のお調子者の男子がそう言うとみんなは坂下先生に注目し坂下先生は特に表情を変えずにみんなから目を逸らした。


「照れてるっぽくない?」

「あとひと本当に美人だもんねー。」


初めて見たときめっちゃ美人で驚いた記憶がある。そしてちょっと怖かったのも覚えてる。


「てか前にこっそり聞いちゃったんだけどね。内村先生と坂下先生ほかの学校に移動だって。」

「その二人だけ?」

「それは分からないけどこの二人が移動するってのは聞いた。」


離任か。なんか悲しいな。

私たちは卒業するからこれから先会えないのは

変わらないけど。


て言うか悲しいとか以前にわたし内村先生に超やらかした。本当に酷いことをした。


―――――――


学年解散式が終わると

並べたイス等の片付けを数十人でボランティアでやった。


内村陽太

「片付けありがとね!スムーズだったよ!」


あのとき殴った傷は目立たない程度に消えていた。でもうっすらと残っている。


「今日で最後の昼食だねー。」

「高校でも牛乳って出るのかな?」


今日は金曜日

明日は休みで明後日は何故か学校

そして明明後日は卒業式


片付けが終わり皆次々と教室へ戻っていく。

わたしは人がいなくなるのを見計らっていた。


今さらこんなこと言ってどう思うか。

でも言わなきゃいけない。


内村陽太

「お、清水まだ残ってたの?」


清水音羽

「はい、直ぐに出ますね。」


言うんだよ。


清水音羽

「内村先生・・顔の傷・・ごめんなさい。」


間を開けて小さな声でそう言い頭を下げた。


内村陽太

「大丈夫だよ。これくらい。」


清水音羽

「平手打ちされて2発グーで殴られたのに。」


そして急所を思い切り蹴り

暴言を吐いた。


内村陽太

「・・・そうだね。痛かったし怖かったよ。」


殺気を感じたあの表情

自分を見失って俺を殴りつけていた。

今にも殺されそうなくらいだった。


清水音羽

「ごめんなさい。」


だから時間が経ってから冷静に謝られるとかえって混乱する。もうこの事には触れないでおこうと思っていたのに。


言ってしまおうか?

あの時にこんなこと言ったらマジで殺されてたかもしれないけど。


内村陽太

「俺が悪かったんだよ。」


間を置いて言い始めた。


内村陽太

「本当にああなるなんて、思わなかった。」


あいつはどんな表情をするだろうか。

また怒るだろうか。


恐る恐る顔を見ると清水は優しく微笑んでいた。

今さらこんなこと言われてなんで笑ってられるんだ。でもその笑顔に憎しみがこもってるとは思えない。根拠はないけど。


清水音羽

「もういいですよ。それじゃ遅れちゃうんでそろそろ教室戻りますね!」


そう言って清水は走って体育館から出た。


――――――――


白澤光輝

「良かったよ。文章しっかりしてたしネットの記事使わないでほとんど自分の考え書いてるし。」


清水音羽

「どうも。」


夕方の5時

今日は最後の授業


白澤光輝

「分からないところある?」


作文には中学三年生の夏頃の清水さんの受験に対しての熱意が書いてあった。「受かりたい」と言う気持ちが強く、寝る間も惜しんで勉強していた。惜しみすぎな日もあったけど。


清水音羽

「いいえ。」


今見ると皮肉だな。

受験が終わっても勉強してはいるけど。

なんのために勉強すればいいんだろうな。


白澤光輝

「大学受験は成功するよ。」


清水音羽

「キツすぎますよ。」


大学受験の事なんて考えたこともなかった。

希望ヶ丘に行けたら成績取って推薦で大学入ろうと思ってたし。一般受験なんか辛すぎる。


でも今は落ちちゃって惨めな思いしてるし。


白澤光輝

「確かに高校受験に比べたらめっちゃきついけど清水さんの程の集中力あれば大丈夫だよ。」


清水音羽

「3年間もあんなバカみたいに勉強したくありませんよ。」


白澤光輝

「やってたら変態だよ。毎日コツコツとやればいいんだよ。まあ志望大学によるけどね。それに高校生は量とかも多いからね。」


大学に行きたいとは考えてたけど私の通う高校は設備がしっかりしてるぶん学費バカ高いし。

大学まで私立に行く余裕などない。


清水音羽

「そうですよね。数学とか難しいですし」


白澤光輝

「でも私立を受験する場合は3科目しか受けなくていいから文系だったら数学から逃げることが出来るよ。」


清水音羽

「高校私立なのに大学まで私立行く余裕なんてありません。」


白澤光輝

「国公立なら教科多いからちょっと大変だね。」


清水音羽

「この塾にいる高校生が数三が難しいだの物理が難しいだの言ってて怖いんですけど。」


白澤光輝

「文系なら数学は2Bまでで終わりだよ。それに物理が絶望的なら生物とか化学に逃げればいいし。」


高校受験に落ちたばっかりなのに現実逃避するように大学受験の話をしていた。


白澤光輝

「でも高校は難しい分いい参考書とかたくさんあるし。数学なら青チャートとか。俺も使ってたよ。」


清水音羽

「聞いたことはあります。けどあれって東大受験する人が使うやつですよね?バカみたいに分厚いらしいですし。」


白澤光輝

「あれはほとんど基本問題だよ。最後の方のページのはバカ難しいけど。まあ高校受験の後に大学受験の話をしてもね。とりあえず高1の間は楽しみな!」


清水音羽

「・・・はい。」


白澤光輝

「高校生は1番楽しい時期だからね!そこそこ頭いい高校行くと中学まで優等生だった奴が高校入ると緩い校則で髪染めたりピアスしたりとかするし。」


楠木学園の特進科は偏差値高いけど私立って校則厳しいらしいからな。私もやんちゃして髪の毛染めたかったな。


清水音羽

「白澤先生もそうだったんですか?」


白澤光輝

「俺の場合は逆かな。中学生の頃アホで高校から真面目になったタイプだよ。」


頭いいんだろうな。

じゃないとあんなに上手く教えられないよ。


白澤光輝

「でも髪は染めない方がいいよ。めっちゃ痛むからね。それにピアス穴空けるの超痛いよー!」


清水音羽

「ええ?!ピアス穴って麻酔で眠らせて気づいたら空いてるんじゃないんですか?!」


白澤光輝

「俺が高校生の頃に友達がピアス穴開けたいって言ってたから俺がじゃあその画鋲で空けてみてよって言ったらそいつ本当に画鋲で空けた。」


清水音羽

「それのどこが真面目なんですか。普通に問題ですよね?!」


お喋りしててもちゃんと問題は解いていた。

そんな感じで最後の授業は終わった。


なんか寂しいな。

最初は塾なんて行きたくなかったけど

やめるとなると寂しくなるのってなんでだろう。
























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