71話
清水音羽
「ガハッ・・ゲホッ!!」
手を離された反動で倒れ込み自身の首にナイフの刃が刺さった。
清水涼太
「ナイフにはお前の指紋がついてる。ここは人気の少ないところだから俺達の会話を聞いてるやつは誰もいない。でも俺の指紋がついてるのはマズいし。」
そう言って音羽が手に持ってるナイフを取り上げた。
清水音羽
「この・・ゲス・・やろっ」
首から流れる生暖かい血が制服の中に入ってきて気持ち悪い。
清水涼太
「今のは自殺でしょ?俺はナイフを向けただけ。お前は自分から来て自分で刺した。」
清水音羽
「・・・・」
清水涼太
「おとは・・・死んでくれてありがとう。」
そう言って涼太はこの場から去った。
このとき改めて知った。
私はとんでもない毒親の元へ産まれてしまった。
本当にろくでもない人生だったな。
―――――――
清水音羽
「・・・・」
目が覚めると自分の部屋に居た。
さっきのは夢?でも妙にリアル過ぎる。
いや、夢じゃない。首元を刺した時の傷の痛みをしっかりと感じてる。
清水音羽
「へ?・・」
ベッドから起き上がり隣を見ると
清水音羽
「なんで?」
あのあと何があったの?
パニックになっていると聞き覚えのない着信音が聞こえた。
大石大地
「路地で気を失ってるところを見つけた。俺の家の近道だからそこよく通るし。それで悪いけど勝手にお前のスマホ使って家の人に連絡した。」
清水音羽
「・・・・余計なこと、しないでよ。」
大石大地
「・・・・」
――――――――――
真城アリス
「ひっく・・・」
11月に入ったばかり。
退院したがまだクラスには行けないので保健室登校することになった。
そして受験に向けて勉強して模試を受けたのだが判定が落ちまくっていた。
夏目はE判定清嵐はC判定
そして去年は余裕過ぎて見向きもしなかった希望ヶ丘はB判定
ギリギリ合格圏内か。
真城アリス
「こんなこと、今まで無かったのに。」
もっと志望校を下げるか?
でもそしたら今までの努力が無駄になる。
元々夏目行く為に努力してきて県内トップの公立高校を安全圏にしてたのに。
そもそもあんな事実を知った後に勉強する気なんか・・・
――――――――
頬を引っぱたく音が部屋中に響き渡った。
清水音羽
「痛ったあ・・・なにす、」
大石大地
「・・・・」
大地は何も言わずに音羽の頬を往復ビンタした。
清水音羽
「この・・・馬鹿すか叩きすぎなんだよ!!」
音羽は大地の胸ぐらを掴みそこら辺に押し倒した。
大石大地
「どいつもこいつも・・・いい加減にしろよ。」
大地は音羽を睨みつけてそう言った。
大石大地
「くっだらねえ事でみっともない。」
清水音羽
「ハア?!お前にそんなこと言われたくな・・・」
大石大地
「だったらなんで話した?!お前の親たちのこと。本当は慰めて欲しかったんだろ!」
清水音羽
「・・・なに、言ってんの?」
大石大地
「なんで今まで生きてきたの?」
清水音羽
「・・・」
大石大地
「母親がああでも父親は違うって期待してた?でも全然違くてショックだから、」
清水音羽
「うるさいなあ!!あんたには分からないでしよ!偉そうに語らないでよ!」
本当は大地の言う通り。
心のどこかで期待してた。
でもあんな本性を見せつけられてあまりにもショックだったからあんな行動をしてしまったんだ。
今考えてみれば本当に馬鹿馬鹿しい。
大石大地
「お前は俺の何を知ってそんなこと言えるんだよ。」
さっきの荒々しさとは違って落ち着いた声で話していたけど私を睨む鋭い目は変わらなかった。
清水音羽
「子供って・・普通親に愛されるものでしょ?」
大石大地
「愛されてたじゃん。幼い頃だけだけど。て言うかお前の親みたいなやつ他にもたくさんいるよ?でなきゃ虐待事件なんか起きてないからね。」
清水音羽
「遺伝子が最悪すぎよ。」
母親は絶望的に泣きながら
そして私にはふざけた不良共の血が流れている。
考えただけでもゾッとする。
大石大地
「産まれたからには生きる権利がある。どう産まれようが関係ない。お前の人生だよ。」
清水音羽
「・・・・」
一時の感情だけで行動するのは本当に良くない。
大石大地
「人1人殺っといてこんな事言えねえけどな。」
そのあとすごく後悔することになるから。
清水音羽
「後悔してる?」
大石大地
「・・・解決にはなってないかなって。俺がしたこと結局あいつと変わらねえんだよ。」
きっとあいつみたいなヤバい神経してる奴は世界中に溢れ返ってる。ただ運良く大きな事件を回避出来てるってだけで。
もしかしたら俺らが知らないどこかでヤバい事件が起きてて犯人が上手く隠したりしてたりギリギリで逃げられたりしてるのもあるかもしれないし。
どうせ自分の手を汚すんだったら最初からああしとけば良かった。俺だって最初はよくあるイジメだとしか思ってなかった。あんなに神経狂った奴が身近にいるなんて思わなかった。
大石大地
「やめようぜこんな話!それより俺、最近アリスに会ったんだけど。」
清水音羽
「へえ。そうなんだ。」
すごく軽い反応に驚いた。
大石大地
「反応軽くね?友達でしょ?」
清水音羽
「・・・・友達なんて・・・もう要らないよ。」




