70話
放っておけばよかった。
踏み込むんじゃなかった。
「あなた・・だれ?」
あのとき目が覚めたらよく分かんない山みたいな所にいた。しかも夜遅く。
そこに居たのは奴じゃなかった。
ガラの悪そうな男が数人ほど。
そして私は両手を手錠のようなもので拘束されて足も縄で縛られている。
「俺たちあんたの父親には世話になっててねー。」
「せめて仕返しでもしようかと思って。」
何を言ってるの?
パニックになっていると男は私の腹を蹴ってきた。
「ゲホッ!!・・」
「やめろー!!」
すると聞き覚えのある叫び声が聞こえてきた。
「っち・・見つけるの早すぎ。」
「こいつは関係ねえだろ!!手出すな!」
奴だ。でもなんで?
「関係大あり!お前の娘だぞ?!」
「俺とは無関係だ!口も聞いたことねえよ!」
あいつらは仕返しとか言ってた。
「今さら正義ぶってんじゃねえよ!」
「テメえらいい加減にしろよ?」
奴は男達に襲いかかった。
でも4人くらいいたので流石に1人では勝てなかった。
「教えてやるよお嬢ちゃん。あいつはお前と同じくらいの時に自分の親父を殺したの。虐待に耐えきれなかったんだってさ。」
別に驚かない。
奴は私が幼い頃に連続殺人してるんだから。
「これまでは普通だったのに人殺した途端に急に強くなったつもりで俺らに悪絡みしてきたんだよね。今どきで言うイキりみたいなやつ。カツアゲされたり暴力振るわれたり。」
だから知ってるって。
奴がねじ曲がってるって事くらい。
だからその仕返しに私を使ったんだ。
でもなんで奴はこんなに焦ってるの?
さっき私を殴ったの奴だよね?
「だから苛立って復讐したくて本当は他の奴がやった連続殺人の犯人をあいつにでっちあげたの。適当な証拠作って。」
「え?・・・」
訳が分からない。
だってそれって・・・
「えん罪?」
「そう正解!釈放されたものえん罪が発覚したからなんだよ!まだ発表してねえけどな。金で黙らせて。」
「せっかくこいつの人生詰んだと思ったのに。」
「だからゴメンねー。お嬢ちゃん。ここで死んでね。」
縛られてちゃ何も出来ない。
そして私は殴る蹴るなどの暴行を受けた。
時間が経つと感覚が麻痺してきた。
そして意識を失った。
目が覚めると家のリビングのソファーで横たわっていた。そこに居たのは・・・
「父さ・・」
「今から救急車を呼ぶ。お前は俺にやられたって言え。」
「ど、・・うして?」
「本当はあのまま立ち去ろうと思ったのにお前が変なことするわ。奴らに見つかるわ。」
そう言ってこの場から立ち去ろうとした。
「早くしないとお前死ぬよ?なんのために体張って助けたと思ってんの?」
「分かった・・・から、わたしのカバンの中のスマホ取って。」
喋るのも苦しそうに私がそういうと父親は言う通りにスマホを取った。
もうわけが分からない。
父さんは虐待に苦しんで自分の父親を殺してそれで周りに当たり散らしてそれをよく思わなかった奴らに連続殺人の濡れ衣を着せられてたってこと?
「もうお前とは一生会えないから。今度こそ死刑になる。」
取り返しのつかないことをしてしまった。
そして父さんはこの場から去り玄関のドアを閉めた。
すると電話が掛かってきた。音羽からだ。
清水音羽
「ねえアリスいまどこ?なんかよく分からないけど内村先生が心配してて。」
真城アリス
「お願い。家に居るから救急車呼んで。わたし死んじゃうよ。」
清水音羽
「え?」
真城アリス
「わたし間違ってた。本当にやらかしたよ。」
そして通話を切った。
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目が覚めたのは五月頃
でもまだ完治してなくて病院の中で受験に向けて勉強していた。
私の茶髪は地毛だけどもしかしたら受験で不利になるかもしれないので黒染めした。
でも本当に行きたかった高校には行けない。
ただでさえ完治してないから覚えが悪い上に1ヶ月以上勉強してないんじゃな。
夏目は選択肢から除外された。
清嵐も厳しい。
それじゃあ・・・




