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タイトル無し  作者: ルル
61/75

61話

死んだような目付き

感情が失われたかのような表情

ずっとあんな感じだ。


白澤光輝

「どうだった?」


大石大地

「めちゃくちゃ下がってます。」


白澤光輝

「みんな下がってるんだよね。」


10月の後半

2回目の模試が返された。


白澤光輝

「清水さんは?」


その日は授業があって

俺達は同じブースだった。


清水音羽

「・・・」


音羽はボケーッとしながら結果を見ていた。


白澤光輝

「ちょっと見せて?」


白澤先生がそう言うと音羽は模試の結果が書かれた紙を白澤先生に渡した。


白澤光輝

「お!上がってるね!」


前回はEよりのDだったけど今回はDのド真ん中


白澤光輝

「・・・そっか。やっぱり合格圏じゃないと嬉しくないよね?あそこレベル高いもんね。」


音羽が何も喋らないでいると白澤先生は気を使ったようにそう言った。なんで黙ってるんだ。なにか言えよ。


――――――

一体何があったんだ。

俺にも心当たりがないと言えばめっちゃ嘘になるけど。


大石大地

「・・・」


塾の帰り道

同じ時間に終わり同じ時間に出た。

そして同じ帰り道を歩いている。

俺は音羽の何メートルか後ろにいた。


俺は何をそんなに躊躇ってるんだ。

普通に話しかければいいだろ。


大石大地

「お・・」


声が出かかったが本人には届かない。

何を喋ればいいんだ。

そもそもそう言う状況を作ったのは俺自身だ。


大石大地

「おい!」


出してしまった。

大きな声を出してしまった。


音羽は立ち止まって後ろを振り向いた。

「なに?」とも言わずに特に何も喋らず

その死んだような目付きで俺を見た。


大石大地

「あの・・」


ヤバい。本当に何を言えばいいのか分からない。

俺はパニック状態になった。


清水音羽

「迷惑だから用もないのに話しかけないで。」


すると音羽は冷たさを感じるような声で俺にそう言ってまた歩き始めた。


大石大地

「ごめん!」


不意にその言葉が出た。

音羽は何も喋らず歩くだけだった。


大石大地

「嘘だから!!話しかけんなとか嘘だから!!」


清水音羽

「・・・・わけわかんない。」


冷たくそう言い放った。


大石大地

「お前どうしたんだよ!そんな・・そんなじゃなかっただろ!俺が悪いのか?!」


清水音羽

「さっきからなに訳の分からないことを言ってるの?」


そんなんじゃ無かっただろ。

お前はもっと・・・


大石大地

「そっちこそ訳わかんねえよ!前だって話しかけたらイキなり悲鳴上げるし拒絶してんの?!人殺したことあるだけで俺がそんなに怖い?!」


俺が大きな声でそう言うと音羽は少しずつ俺の方に近づいていた。


清水音羽

「もう一度自分が言ったことよく思い出してみてよ。話しかけんなって言ったのそっちだよね?」


鋭い目付きで俺を睨めつけながらそう言った。

なんか怖い。本当に怖い。


清水音羽

「それを今更自分の都合のいいように言わないでくれるかなあ?!」


音羽がここまで怒鳴ったのは1年くらい前だ。

でもその時よりも怖い。


大石大地

「ごめ・・」


清水音羽

「私だってお前には金輪際話しかけて欲しくないよ!!」


大石大地

「そんなこと言ってねえだろ!!」


どう言う解釈の仕方だ。

俺はそんなこと言ってねえよ。

無理して話しかけるなとは言ったけど。


清水音羽

「そっちがそう思ってなくても私がそう思ってる。」


大石大地

「そっちこそ訳わかんねえよ!それこそなんでだよ!」


清水音羽

「・・・・」


音羽は何も言わずに走ってこの場から去った。


大石大地

「待てよ!」


俺はそう言って追いかけた。

音羽は足が遅いので俺が本気で走らなくてもすぐに捕まえられた。


清水音羽

「離してよ!!」


俺が掴んだ手首を音羽は力ずくで振りほどこうとした。


大石大地

「俺と金輪際喋りたくない理由を言うまで離さない。」


音羽は何も言わずに必死で腕を暴れさせたが力が弱いので全然振り解けそうにない。


大石大地

「やめたら?音羽の力じゃ振り解けないから。俺だって本当はこんなことしたくないの。」


清水音羽

「じゃあ離してよ!!気持ち悪い!」


強引すぎるのは分かってる。

俺が自己中心的に動きすぎてるのも。

でも・・・


清水音羽

「本当にやめて!!」


音羽の頬に涙が流れてるのが見えた。

流石にヤバいと思って俺は手を離した。


清水音羽

「さいてい」


大石大地

「・・・おとは・・」


音羽は顔を赤くして泣きながらそう言った。

久しぶりに感情のこもった表情を見た。

そして音羽は走ってこの場から去った。

――――――――

その日の朝もいつものように勉強していた。


大石大地

「おはよう。」


清水音羽

「誰が話しかけていいって言った?勉強の邪魔だから話しかけないで。」


俺が挨拶をすると冷たくそう言われた。

しつこく何か言うと昨日みたいになりかねないので俺はその場では黙っておいた。


―――――――


白澤光輝

「もう10時だから準備しようか。」


清水音羽

「はい・・」


その日もいつものように教えて貰ってた。


白澤光輝

「でも本当に偉いよね。もう6ヶ月近く頑張ってるよね。夜遅くまで。」


清水音羽

「家だとなんか集中出来なくて。それに白澤先生の教え方わかりやすくてスムーズに勉強進みますし。」


白澤光輝

「・・・」


清水音羽

「どうしたんですか?」


音羽がそう言うと白澤先生がクスッと笑った。


白澤光輝

「いや、笑った表情久しぶりに見たなって。」


清水音羽

「え?・・」


白澤光輝

「ほら、いつも追い詰められたようだったから。」


清水音羽

「そう・・ですか。」




















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