56話
ああ。手が痛い。
白澤光輝
「大石くん残念!漢字ミス!」
大石大地
「ええ!!どこですか?!」
白澤光輝
「排他的経済水域の域の下のハネ方がおかしい。」
大石大地
「おにー!!」
今日は日帰りトレーニング一日目
「ああ!もう!辛い!」
「勉強嫌いになる!」
思っていたより辛くない。
12時間って言っても最初の注意事項とか休憩時間も含まれてるし。
実際10時間くらいか。
白澤光輝
「ほらほら!お喋りしてたら覚えられないよ!」
英語なら英単語。国語なら漢字。数学なら計算
理科社会なら用語
と、数学以外なら全部暗記だからむしろ楽にすら感じる。
みんなで勉強してる環境なら集中力も増すし。
白澤光輝
「清水さん残念!hがbに見える!」
清水音羽
「・・・・」
因みに一問でも間違ったらそのプリントの問題をすべて解き直すらしい。
しかも連続で同じプリントの問題を解くのはダメで他のプリントの問題を解いてからそのプリントの問題を解くことになってる。
プリントの枚数は五教科合わせて10枚
少なそうに聞こえるが採点が鬼厳しいし
社会と理科は一、二年生の時のもあって忘れてるため覚えるのに時間がかかる。特に私含めみんなが苦労してるのは社会だ。
「追試イヤだなー。絶対合格ないよ。」
「それな。」
プリントの解き方はまず20分間そのプリントの答えを丸暗記して次の10分で同じプリントの問題を解く。
全く同じという訳ではなく英語は単語の穴埋めだがその穴が増えていたり
漢字では読みと書きがゴチャゴチャになっていたり
数学では全く違う文章題になっていたり
と、私たちを苦しめる工夫がなされている。
白澤光輝
「じゃあテストはここまで!ご飯のあとは追試だからみんな頑張ってねー!」
採点者は白澤先生と塾長だが
いつも圧力掛けてきて尚かつ性格も悪いと有名な塾長より
お喋りで親しみやすい白澤先生のほうが採点は厳しい。
て言うか私も合格したプリント一枚もないかもしれない。
英語はスペルミスした。国語は読み書きゴチャゴチャになってるの知らなかった。
理科社会は絶望的だし。
白澤光輝
「清水さん字もっと綺麗に書こうか。後半に連れて字が雑になってきてるんだけど。」
とっとと夕飯を食べ終え追試のために復習してた時のこと。
清水音羽
「はい。」
疲れてくると字が雑になる。
そして書いてる時は普通に見えても休憩を終えてその字を見るとあまりの汚さに発狂したくなる。
自分では分かっていても人に指摘されると辛い。
明日は時間切れになってもいいから綺麗な字で書こう。
――――――――
ストップウォッチの音が鳴り響くと後ろから前へ
プリントが集められた。
「全部書けた?」
「むりむり!時間が足りない!」
白澤光輝
「今までの復習もだけど君たちには時間は無限じゃないってことを思い知らせる為のトレーニングでもあるからね!」
それは言えてるかもしれない。
私も勉強するとき時間配分がヘタクソ過ぎて苦労した。
このトレーニングで制限時間が気になってストップウォッチをチラ見して制限時間内で暗記できるように集中力を高め、問題数が多く明らかに全て覚えるのが厳しい場合はどこまでを確実に覚えられるか決める。
このように普段勉強する時も単純に「今日は何時間勉強するぞ!」ではなく
どのくらいのペースで進めていけばいいのか計算して今日はここまでやろう。
と決める。そして目標のページまで進めるには一ページ辺りどのくらいのスビードでやればいいのか計算し、ストップウォッチを用意して制限時間を決めて集中力を高めると効率の良い勉強が出来る。
つまり「今日は何時間以内にこれを終わらせるぞ!」
が正しい。たぶんね。
清水音羽
「社会のAください。」
今日は昨日より合格したプリントの枚数が多い。
昨日は数学の一枚だけだったからな。
白澤光輝
「頑張ってね!」
清水音羽
「はい!」




