52話
夏休みが始まってからしばらく経ち
8月に入った。
内村陽大
「・・・・」
南沢胡桃
「なによ。気持ち悪いからジロジロみないでくれる?」
その日は胡桃の親に頼まれ自分も休みだったので
自分の家の中に二人でいた。
胡桃は机の上でテキストを広げて勉強して俺はノートパソコンを弄っていた。
でもなんでこんなクソ暑いのに胡桃はパーカーを着ているんだ。
外でも着てたし。
内村陽大
「冷房効きすぎ?寒いなら温度下げようか。」
こんな寒がりだったかな。
南沢胡桃
「いいってば!気が散るから話しかけないでよ!」
怒るようにそう言って一瞬時計を見たあと
南沢胡桃
「もう帰る。親にはちゃんと嘘言っといてね。」
内村陽大
「分かった。けど外暑いから上着脱いだほうがいいぞ?熱中症になる。」
南沢胡桃
「余計なお世話!!」
そう怒って勉強道具を持ちイスから立ち上がってしばらく歩くと・・・
内村陽大
「・・・・くるみ?!」
急に力が抜けたかのように胡桃が倒れた。
焦ってそばに行き何度も名前を呼んだりしたが意識を失っていた。
内村陽大
「・・・・薬飲んでなかったのか?」
身体が熱くなったのか顔が赤くなり
大量の汗をかいていた。
とりあえずベッドのうえで寝かせようと思い持ち上げようとすると
内村陽大
「ん?」
手首に傷のようなものがあった。
そう言えば大石と同じ傷だ。
あいつは後になって鈴木にカッターでやられたと言ってた。
まさか・・・
胸騒ぎがして胡桃のパーカーの袖を捲くると
内村陽大
「なんだこれ・・・!!」
肘から手首にかけて多くの傷があった。
これは・・・
南沢胡桃
「・・・・あっ」
そのとき胡桃がパッと目を開けた。
南沢胡桃
「ちょっとなにしてんのよ!!」
大声でそう言い素早く立ち上がり俺から避けて袖を下ろした。
内村陽大
「誤解だ!!お前さっき急に倒れただろ!ちゃんと薬飲んだのか?!」
南沢胡桃
「・・・それなら大丈夫よ。もう帰るから!!」
内村陽大
「待てよ!!勝手に見たのは申し訳ない。けどあの傷はなんだ!あんなのまるで・・・」
南沢胡桃
「・・・・転んだだけよ。」
内村陽大
「どういう転び方したらあんなとこに傷つくんだ。普通手だろ。お前は転ぶとき先に腕をつくのか。」
俺が冗談のようにそう聞くと
南沢胡桃
「ドジな転び方したのよ!!もういいでしょ!!」
胡桃は怒鳴るように言い走った。
内村陽大
「くるみ!!」
そして何も持たず玄関から飛び出した。
南沢胡桃
「・・・キャア!」
胡桃は泣きながら前を見ずに走っていた。
そして誰かにぶつかった。
南沢胡桃
「ごめんなさい!!」
ぶつかった相手に謝ってそのまま走った。
坂下真理亜
「・・・あの子かしら。」
―――――――――――
ああ。そろそろ頭おかしくなりそう。
清水音羽
「公式覚えにくい・・・」
夏休みは毎日朝から夜遅くまで勉強している。
毎日同じことの繰り返し。
白澤光輝
「どれ?」
清水音羽
「わあ!・・」
ずっとノートを見ていたから気づかなかった。
清水音羽
「えっと・・ここです。」
白澤光輝
「空間図形ね。これ実は楽な公式があってね。母線と半径足したあとに半径掛ければ求められちゃうんだよ。ちょっとシャーペン借りるね?」
白澤先生がそう言ってノートに公式を書いた。
私はその通りに計算した。
清水音羽
「本当だ!すごい!」
白澤光輝
「でも楽な方に逃げ続けると思考力を失うから気をつけたほうがいいよ。おれ小学生の頃に三角形の面積が何であの公式なのか理解できなくてめっちゃ悩んでた頃があったの。」
清水音羽
「ええ・・そんなこと考えるんですか?」
白澤光輝
「清水さんは面倒くさくて考えるのも嫌な複雑な図形の面積を求める公式があったらそれ使う?」
清水音羽
「そりゃ悩み続けて時間を無駄にするより効率がいいですからそうしますよ。て言うか本当にそんな公式あるんですか?」
白澤光輝
「あるけど少ないよ。それにさっきのよりもっと面倒くさい公式あるよ。」
清水音羽
「球ですよね。なんかああ言うのに限って覚えるの早いんですよ。」
白澤光輝
「へえ?じゃあ表面積と体積どっちも言える?」
清水音羽
「表面積が4πr二乗で体積が3分の4πr二乗ですよね。」
白澤光輝
「違うよ。」
清水音羽
「ええ!!嘘です!絶対そうです!白澤先生ウソていてます!」
白澤光輝
「清水さんが間違ってたらどうする?」
清水音羽
「私の国語の作文見せます。」
白澤光輝
「・・・あーあ。ズルいよ。清水さんズルい。でも良かった。俺のそういう噓に騙される子多いし。やっぱり清水さんはちゃんと勉強してるね。でも作文は見せて欲しかったな。」
清水音羽
「じゃあ今みたいに白澤先生が問題出して私が答えられなかったら作文見せます。ああでも習ってない問題はやめて下さいね。」
白澤光輝
「そんな性格悪いことしないよ。たぶんね。」
――――――――――
坂下真理亜
「それ、リストカットじゃないですか。」
内村陽大
「やっぱりそう思います?」
なにがそこまで彼女を苦しめてるんだ。
親か学校かそれともどっちも?
内村陽大
「あの傷は異常です。でも俺が何を言っても聞き入れてくれなそうだし・・・」
坂下真理亜
「て言うか何で両親は内村先生に頼むんでしょうね?一人暮らしさせてる割には過保護ですね。中」
内村陽大
「彼女は中学生になってから病気にかかったんです。非常に珍しい病気で同じ時間にパッタリと倒れてしまうという。薬を飲んだらその日は症状はないんですけどたまに表れてしまうことがあって。原因もわからないんです。」
坂下真理亜
「こんな状態で一人暮らしさせるなんておかしくないですか?」
内村陽大
「・・・・そういう親なんですよ。」
坂下真理亜
「・・・・」
―――――――
南沢胡桃
「・・・・早く覚悟決めなきゃダメだよね。」
手首を切れば死ねると思ってた。
けど死ねなかった。
胡桃は部屋の電気を消してベランダの窓を開けた。
そのときインターホンの音が鳴り響いた。
玄関のドアを開けると
清水音羽
「ごめんね?こんな夜に。」
時刻は夜の6時
南沢胡桃
「どうしたの?」
清水音羽
「・・・・ちょっと胡桃に聞きたいことがあって。」
南沢胡桃
「いいよ。なんの教科?」
清水音羽
「・・・・」
南沢胡桃
身長→153cm
体重→47kg
バスト→B
髪→セミロング
似ているアニメキャラ→School Daysの西園寺世界
白澤光輝
身長→185cm
体重→76kg
髪→茶髪ベリーショート




