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タイトル無し  作者: ルル
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5話    

「ねぇ、三組の授業の進み具合どう?」


ある日の職員室

生徒たちが帰ってから数時間が経過して教師たちが次の日の授業の準備などの仕事をしていた。


坂下真理亜

「順調ですよ。」


聞いてきたのは二年生の英語の先生であり学年主任でもある。


斉藤明(さいとうあき)

「じゃあ英語に頂戴?三組が一番遅れてるんだ。」


坂下真理亜

「いつの授業ですか?」


斉藤明

「明後日の5時間目」


坂下真理亜

「わかりました。」


三組の担任の坂下真理亜は理科担当

授業の進みは遅くもなく速くもない。

進みは全クラス全く同じだ。

授業日数はバラバラなのにどうやって調整してるんだ。


坂下真理亜

「そう言えば内村先生」


自分と隣の席に座っている彼女をチラ見しながらそう思っていると彼女から声をかけられた。


内村陽大

「はっ・・はい?」


坂下真理亜

「今日の二時間目は随分と賑やかでしたね。」


内村陽大

「えっと・・いつも通りに授業したんですけどね。」


今日の二時間目は彼女のクラスで授業をしていた。

そして彼女は隣の四組で授業をしていた。


内村陽大

「イヤー。三組の生徒はよく分かんないところで盛り上がるからなー。」


なんて笑いながらそう言ったのを坂下先生は無表情で聞いている。


内村陽大

「すいませんでした。」


怖くなって謝って逃げるように職員室から出た。


俺は自分の教室に近い階段を上って教室に入り教卓の中に入っているプリントを持って教室から出た。


内村陽大

「今日の授業そんなにうるさかったかな。」


俺は一人で呟いた。


俺は去年の4月にこの学校に赴任した。

それが教師一年目だ。


最初は新人だから舐められていたけどユーモアはあったので楽しく授業をすることは出来た。そのおかげで舐められずに済んだし。

好きな先生ランキング一位だったし・・・

それは去年自分のクラスで行ったアンケートだから他のクラスの人がどう思ってるのかはあんまり知らないけど・・・


坂下真理亜

「正直かなり五月蝿かったです。」


内村陽大

「わあ!ビックリした!」


俺の後ろにいた坂下先生が俺の独り言に答えた。


彼女は俺の同僚で同じく去年ここに来た。

最初は俺と同様に舐められていたがそれはすぐに無くなった。

何故かって?普通に怖いからだ。


彼女はいつも決まった表情をしている。

ようは無表情だ。

顔はけっこう美人なのに・・・


授業妨害する生徒には本当に容赦ない。

すぐに言うことを聞く人もいるけど手がかかる人は親を呼びたとえ親も頭がおかしくて口論になったとしてもすぐに彼女が勝つ。


それに毒舌なのか単なる暴言なのか彼女は出来の悪い生徒にも容赦ない。

普通の先生なら授業で答えられたかったら次の人にとばすか教えながら答えさせたりするけど彼女は「こんな問題もわからないの?」みたいな感じで煽ってくるらしい。これはある生徒から聞いた話だ。

 

この学年は賑やかな人が多いので最初はいつも同じ表情の彼女を笑わそうとする人がいたけど何をしても笑わないので諦めてしまった。


俺も彼女が笑った顔なんて教師になってから一回も見ていない。


坂下真理亜

「なんですか。人をお化けみたいに。」


内村陽大

「だって後ろにいたんですよ?!普通驚きますから!普通に怖いです!」


坂下真理亜

「貴方の独り言の方が怖いです。」


彼女がそう言い自分が何も言えなくなるとその場から歩き彼女は自分のクラスへ向かった。


ちょっと今日3組でやった授業を思い出してみよう。


――――――――(二時間目)


大石大地

「あの先生本当に酷いです!」


3組の生徒の大石大地が俺に訴えてきた。


内村陽大

「またいじめられたの?」


大澤花凛

「あんなのいつものことじゃん。」


大石大地

「俺はその度に精神的苦痛を受けてるの!理科が苦手な奴の気持ちお前らに分かるか!」


本人が言っていたが大石は理科が超苦手らしい。

そう言えばあいつが一年の頃に担任したことあるけどあそこまで成績にばらつきがある奴はそうそういなかった。得意の英語は5で他は3とか4で理科は2だ。

あいつは理科で40点以上を取ったことがない。

同じ理系の数学は出来るのに何でだ?理科ってそんなに難しいか?中学の理科なんて物理以外なら覚えるだけで超簡単だろ。


大石大地

「最初はこの化学反応式もわからないの?信じらんない。って言われました!化学反応式なんて覚えられねえよ!何だよ係数って!あれどういう仕組みだよ!そして次はオームの法則!俺、公式覚えられない!」


大澤花凛

「いや、みはじと同じように覚えられるから!」


大石大地

「電気のところは計算がややこしい!そして今回は生物!」


内村陽大

「今までのは苦手な人が多いだろうけど生物って覚えるだけじゃない?」


大石大地

「あんなややこしい図なんか覚えられるか。右心房だの左心房だの」


それから大石は理科に対しての文句を言い続け時間がなくなってしまうので強制的に話を終わらし授業を始めた。


今日の授業は哲学だった。

お題は「恥ずかしいってどう言うこと?」


みんなに恥ずかしいと思ったこととそれがどうなれば恥ずかしく無くなるか考えてもらい発表してもらった。


清水音羽

「やっぱりカラオケでノリノリで歌ってる時に店員が入って来る時でしょ。」


大石大地

「プリザエース買ってるの見られた時」


清野拓真

「ねぇ大地それ下ネタ!・・音羽のは店員が一緒に歌ってくれたら恥ずかしくなく無い?」


清水音羽

「逆に恥ずかしいよ!て言うか怖いわ!普通に友達とだったら恥ずかしくないかな。いそうじゃん。そう言うの。一人だったらマジで恥ずかしい。」


自分がたまたま近くにいた班の会話が聞こえた。

にしても清水音羽は今までマトモに会話できる人少なかったのに随分と話せてるな。第一印象から勝手に人見知りとか大人しめ系だと思い込んでたけど。

でも打ち解けてることはいいことだ。


清野拓真

「じゃあ大地のは?」


清水音羽

「大人数で買いに行けば怖くない。」


大石大地

「やだ。プリザエース買ってる集団とか。想像したら気持ち悪くなってきた。」


―――――(回想終わり)


みたいな感じだった気がする。

まあこれが俺のやり方だしな。

頭が固いんだよなあの人は。


内村陽大

「坂下先生!」


教室から出てくる坂下先生に声をかけると「なんですか?」と返事をしたので


内村陽大

「理科って・・・どう勉強したらいいんでしょうね。」


坂下真理亜

「なんですか?急に」


内村陽大

「なんか他の教科はそこそこなのに理科だけ馬鹿低い人がいるんです。」


坂下真理亜

「普通に聞いてれば分かるように教えたつもりなんですがね。でも苦手な人でも次の後期中間テストはちゃんと勉強してれば点取れますよ。覚えるだけなので。」


内村陽大

「それすらも難しいらしいです。その人はあの複雑な図が覚えられないと言うんです。」


坂下真理亜

「練習が足りないだけです。その生徒に言っといてください。苦手なら覚えるまで書いたりして練習しとけって。一気に覚えようとするから混乱するんじゃありません?少しずつ覚えないと。」


内村陽大

「は・・はい。言っておきます。」






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