49話
「平成最後の夏休みだから楽しみますって答えたの?」
「なわけ無いじゃん。」
「うっわ。チキンじゃん。」
明日から夏休み
学校が終わると重い荷物を持って帰る。
「今日の気温知ってるの?37度だって。」
「脳みそ溶ける。今年は暑すぎるよ。」
こんな炎天下の中
教科書が入ってるかばん以外に副教科で使う物を持って帰るのは本当にダルい。
―――――――(進英ゼミナール)
荷物があまりにも重いので一旦家に帰って要らない荷物を置き
着替えたあとに夏休みの宿題だけ持って塾に来た。
白澤光輝
「なにこれ、作文?」
清水音羽
「はい。」
まずは面倒くさそうな国語の作文
これは毎年3年生が書いてコンクールに出すやつらしい。
白澤光輝
「すごい枚数書くね。」
清水音羽
「前は六枚書かなきゃいけなかったんですけど国語の先生が全員のを六枚見るのはキツくて死にたくなるから最低でも2枚でいいって言ってたんですけど六枚書くと評価が一段階上がるので六枚書こうと思ってるだけです。」
白澤光輝
「テーマとか決まってるの?」
清水音羽
「複数決められてあってその中から選ぶ感じです。」
私が選んだテーマは「どうして勉強するのか」
これが自分にとって一番書きやすかった。
白澤光輝
「じゃあ書き終わったら見せて?」
清水音羽
「字汚いからダメです。」
白澤光輝
「普通に綺麗じゃん!」
清水音羽
「なんのために見るんですか。」
白澤光輝
「小学生の読書感想文の手本に。文章の書き方とか。」
清水音羽
「これは読書感想文じゃありません!わたし国語出来ません!」
白澤光輝
「4とってるんだから出来る方だって!」
清水音羽
「点数的には3でもおかしくないです!」
わたしはペンを止めて白澤先生に言い返していた。
「せんせー!読書感想文出来ました!」
すると小学生の子が紙を持って白澤先生にそう言った。
白澤光輝
「作文待ってるからねー。」
清水音羽
「誰も見せるなんて言ってませんから!」
――――――――
ずっとあの時の会話が頭から離れない。
「でも先生・・・世の中には遺伝子レベルで狂ってる人間がいるんですよ。
救いようのないカスみたいな奴が。」
もう何も言えなかった。
坂下真理亜
「先生!!内村先生!!」
内村陽大
「あ・・すみません。」
だめだ。思い出しちゃダメだ。
坂下真理亜
「気になるんですか。」
内村陽大
「・・・そりゃあ・・」
今日はほとんどの先生が早めに仕事を済ませて
俺は坂下先生を家に呼んでいた。
坂下真理亜
「あのときの会話清水さん聞いてましたよ。」
内村陽大
「ええ!!・・・よりによって一番聞かれたらまずい相手に。」
坂下真理亜
「他の生徒の方がかなりマズイと思いますけど。」
内村陽大
「どんな感じで聞いてたんですか?話しの内容的にあれだから・・・」
坂下真理亜
「ドアにへばり付いて泣いてました。小さな声でごめんなさい。って」
内村陽大
「ごめんなさい・・か。」
――――――――(進英ゼミナール)
清水音羽
「ああ。疲れた。」
書き始めてから二時間
やっと作文が書きおった。
ちょっとオーバーして7枚目はノートのページを切ったけど。
わたしは作文を書いた原稿用紙をホッチキスで止めて次やる教科のプリントを出した。
見開き20ページある数学の宿題だ。
内容は入試の計算問題
清水音羽
「ええ・・」
なにこれ超難しい。
意味分かんない。
白澤光輝
「ペンが止まってるねえ。」
清水音羽
「だって難しいんですもん。」
私が何分もペンを持ったまま問題とにらめっこしていると
授業を終えて休憩中の白澤先生が私に話しかけた。
白澤光輝
「数学か・・どれ?」
清水音羽
「この問題です。」
指を指して言った。
白澤光輝
「ああこれは・・・」
その問題を白澤先生は丁寧に解決する。
清水音羽
「おお!分かりました!」
本当に教え方が丁寧で分かりやすい。
白澤光輝
「ところで作文出来た?」
清水音羽
「しつこいです。見せませんから。」
白澤光輝
「ええ・・・ケチ。」
白澤先生は残念そうに自習室から去り
教室へ向かった。




